ダメになるオコジョ
どうも、オコジョです。
あ、名前付けられました、マロンです。
洗われたら栗色の毛並みだったので、栗、マロンです。
エリーは5歳、安易な名付けなのも仕方ないです。
エリーはボクの飼い主、エリザベス・マスティーゼ公爵令嬢の愛称です。
「マロン、わたしのことはエリーって呼びなさい」
そう言われたので、そう呼びます。
「キギィ」
「うふふ、賢いねマロン」
「キウ!」
喋れません、オコジョですから!
まあ気分だよ、こういうのは。
オコジョだから本能に任せて生きても誰も困らない
トイレはちゃんとしてるけどね。
野良時代は垂れ流していたけど
公爵令嬢のエリーに飼われるなら相応の振る舞いを求められる!
と、勝手に思っている。
オコジョ界のトップスタアを目指すよ、ボク。
あ、違う、ボク人間だからね!
お屋敷に連れられて来て最初の一週間は隔離された
虫下しを飲まされて、病気の確認やらなんやらだ
殺されるかなと思ったけど、エリーは人一倍頑固で
「飼うって言ったら飼うの!」
と譲らず、父親の公爵が折れるまで騒ぎ続けた。
公爵には「エリーを噛んだら打ち殺してやる、いいな」
と言われたので
「キウ!」(了解!)
「!?」
立ち上がって敬礼をする、ボクは出来るオコジョなんだ。
公爵は目を丸くしてビクンと一歩引いていた
ふふふ、並のオコジョと一緒にするなよ?
賃金を支払うエリーには絶対服従を誓うよ
多分・・・
「マロン、お手」
「マロン、おかわり」
「マロン、起立!礼!・・・カッ!」
エリーはボクに芸を仕込もうとする
良いよ、媚びようじゃあないか、一発成功するよ。
カッはエリーにとって挨拶だと認識されてしまったみたい
両前足を上げて、犬歯を剥き出し、鼻に皺を寄せて・・・
「カッ!」
「マロンかあいいよー!」
あ、あ、あ、おなかは止めて、あふぅー・・・
「はい!次はこれ!」
ボク大のアンティークドールを目の前に置かれた
ブロンドの真っ直ぐな髪で青い眼の淑女だね。
「ダンスパートナーよ、マロン」
任せてよ、ダンスくらいなんて事ないよ
腋の下から背中に手を回して、ホールド!
見よ、華麗なステップ!
ちょこちょこちょこちょこ
ちょこちょこちょこちょこ
ちょこちょこちょこちょこ
(後ろ)足短いぃぃ、オコジョだからねボク。
胴長短足・・・
「マロンかあいいよ、ふふふ」
エリーが喜ぶなら良いか
ボクの頭の中では華麗なダンスを披露していたんだけどね
でもきっと、本体の身体が出来上がればスラッとしてモテモテだと思うんだ!
毛並み良いし、神様謹製の肉体だからね
いつ出来上がるかは分からないけど・・・
「マロン、ずっとそばに居てね」
エリーはボクの小さなおでこを指でコリコリと撫でた
あ、あ、止めてっ、もっとぉ・・・