夫婦とは
「では、また」
「うん、またねー」
「・・・オデット嬢、これまで申し訳なかった」
「お止めになってアラン様、これまでの行動は私の意志、貴方が謝る必要は御座いませんわ」
それに全くの徒労に終わった訳ではありませんので
そう言ってオデットさんは去っていった。
最初はアランを渡さないと言っていたけど、話していく内にボクに譲って差し上げますわとなった。
アランって貰えるの?
***
「マロン」
「ん?」
ガラガラと走る馬車を見送って見えなくなった頃
アランはとても真面目な顔でボクを見つめていた。
「どうしたのアラン?」
「庭での話の途中だったけど」
「うん」
「俺は・・・、マロンの事が好きだ」
「うん!ボクもアラン好きだよ!」
「・・・、いや、違、わなくもない、のか? いや、うーん」
ん?
アランは眉を下げて頭を抱えた、どうしたの?
マロンの幼さは承知の通り、男女の好きが通用しない
アランは考えるとどうにか伝える為に話し始める
「マロン、俺はな、将来的に夫婦になりたいって意味で好きで」
「夫婦?」
「ああ、夫婦だ、分かりやすく言うとレオン様とエリザベス様、伯爵と伯爵夫人のような関係だ」
「あ、解ったよ、なるほど」
「分かってくれたか、つまり」
「アランも一緒に居られるんだね、嬉しいな!」
「・・・・・・・・・・・・も?」
「うん! エリーも一緒だし」
アランは困惑した
マロンの常識教育は勿論母であるイリアによって進められているが、恋や愛という感情的な面は『好き』でまとまってしまい上手く理解させる事が出来ていない、長い目で成長を見守る方向になっている。
「ちょっ、もう無理、ぷふっ」
「アハっ、んっ、お母様バレてしまいますよ」
「・・・」
近くで笑い声をあげる母と妹、考え込むアラン
何がおかしいか理解出来ないマロン
台無しな告白になってしまったが、元々両家でそうなったら良いなと話し合いは済ませてある為、後日無事に婚約は結ばれる事となった。
その内容は一般的な婚約であったが
婚約期間は最低3年、マロンが精神的に成熟する事を前提条件に、その時本人の意思確認をした上での婚姻を挙げるとの条項が追加されたのは言うまでもなかった。
尚、本人としては
「好きな人みんな一緒で嬉しいな」
と、のんきに喜び、両家ともに苦笑させていた・・・