学校に行きまして、続
授業の合間は15分の休憩、短い時間だ
この短時間でエリーと、いじめられているという男爵令嬢の接触は考えにくい。
そもそもエリー達の居るクラスは王族と高位の貴族の子供が集まるクラス、そんな所に男爵令嬢が現れるとは思えないし、逆にエリーが男爵令嬢の居る所へ行くのも不自然だ。
オコジョなボクには関係ないけど
絶対的な身分制度があるので普通なら無理だろう
いくら王族のリオンに気に入られていると言っても、それは個人の付き合いの中であって
侯爵、辺境伯、公爵の子息令嬢に男爵令嬢から話し掛けるなんてマナー違反だからね。
エリーと一緒に家庭教師の授業を受けていたからボクは知ってるんだ!
時間的、そして身分的に考えるとお昼休みか放課後に何か起きそうだと予想した。
トコトコと散歩していると突然身体が浮いた
「こら」
「ギャッ!?」
後ろから両脇を掴まれて持ち上げられる
ビックリして振り向くと、そこにはレオンの従者アランが居た。
「ふう、やっと見つけたぞマロン、ダメだろう勝手に出歩いちゃ・・・」
じたばたじたばた・・・
「おい、暴れるなっ」
はーなーしーてー
脇を抱えてダランってされるのきらい!
ただでさえ長い胴が更に伸びてしまいそうな気がしてヤダー。
伸びちゃったら責任取れるの!?
「っと、騒いでもまずいな」
静けさに包まれている廊下で話し声は殊更に響く
アランはオコジョを小脇に抱えると、待機する為に与えられている部屋へと足早に移動した。
「で?どうして学校に来てたんだ?」
ボクは従者の控え室でアランと対面していた
この部屋には準備よく文字盤も置いてあったから尋問を受けている。
仕方なくボクは口を開いた、まあ文字盤を叩くんだけどね
コンコンココンコンコン
胴伸びちゃったら責任取ってよね
「いや伸びないだろ・・・、まあもし伸びたら責任?取ってやるよ」
なんかニヤニヤしてて釈然としない、ぶら下がり健康法で身長伸びるの知らないの?
ダラっとされたら伸びちゃうよ、きっと。
むう、アランこそなんでボクを
「・・・影からの報告と王子から言われたんだ」
え?
「マロンが校内を彷徨いているから保護してやってくれないか、と」
ボク、別に迷子じゃないし!
「オコジョが一人で歩いていて何か起こらないとも言えないだろう、教師に見つかったら問答無用で排除されるし」
だって、エリーが心配だし・・・
「エリザベス様が? まさか男爵令嬢の?」
あー、やっぱりアランも知ってるんだ!
教えてよ、帰宅したエリーもため息ついてるのに話してくれないし。
「あー、んー、」
ボクが要求するとアランは困った顔で黙ってしまった
なにかあるんでしょ?
「ある事にはあるが、エリザベス様が言わないのも取るに取らない事だけど、ただ疲れてるだけだと思う・・・」
どういうこと?
「見てもらった方が早いな、昼食時に多分また来るから一緒に行こうか、俺と一緒に居れば堂々と出歩けるしお互いに安心だ」
おお、流石アラン話が分かるね
「いや、王子に言われたしマロンの安全を考えるなら当然だろ、俺が言わなかったら一人でも納得するまで潜んでいただろう?」
まあね!
ふふん!と自信満々に反り返ったオコジョ
だからこそ心配なのだ、この人間のようなオコジョとエリザベス様は仲のいい姉妹みたいで、しかもオコジョの方が割と無鉄砲。
以前にも興奮した馬が暴走してしまった時、車線上に居たエリザベス様を助ける為に馬の鼻っ柱に噛み付いた程のオコジョだ。
下手に放置するよりは意思疎通が出来るので一緒に居て行動を誘導した方が余程安心だった
アランはマロンの気質を理解していた。