様子がおかしくて
最近エリーの様子がおかしい
学校から帰ってくると疲れたような感じでため息をついたりしてボクを撫でていた
「なにかあったの?」
文字盤を叩いても弱々しく笑って
「なんでもないよ」と答えた
10年一緒にいたボクには分かる嘘だった
侍女に話を聞くと、
「確かに気落ちしてらっしゃいますね、お嬢様・・・」
学校で何かあったんじゃないの?
「それはそうかも知れませんが、マロン様にお答えしない事をわたくし共に話すとは思えません」
学校でエリーに護衛はついてないの?
「学校自体が貴族が集まる警備の厳しい場所です、王族以外は慣習的に護衛はついてないかと」
あ、そうなんだ
じゃあ学校でのエリーを知るには学校に行かないといけないのかぁ
よし!
という訳で学校に忍び込むことにした
学校のエリーを知る人物となるとレオンかタチアナちゃんしか居ない
屋敷や城で話すにはどちらともボクは二人きり?にならないから意外とハードルが高い。
エリーが話さないことをエリーの前でレオンとタチアナちゃんに聞く訳にはいかないからね。
朝学校へ向かうエリーが乗った馬車に忍び込む!
いつもはエントランスでそのまま見送るけど
静かに屋敷を抜け出して、エリーが乗り込んだ馬車の屋根に登った。
い、意外とガタンッ、馬車ゴトンッって
乗ゴトゴトり心地悪いのね・・・
オコジョは必至に屋根に爪を立てて振り落とされないようにしがみついた。
大抵は車室内のエリザベスか侍女に抱かれていたので知らなかったオコジョ、ちょっと胃の中が揺られてシンドイ思いをした。
生身の人間が屋根に乗ってたら吐いていただろう・・・
ほどなく学校の馬車留めに到着、エリザベスが降りて行ったのを確認する
馬車は一度屋敷に帰る為、再び走り出した
馬車留めは登校時間だけあって周囲に人目が多い
少し離れた所で飛び降り、恵まれた身体能力で壁を上り敷地に侵入を果たすオコジョであった。
敷地内は芝生が敷き詰められ、しっかり手の行き届いた庭園のような場所だった
王城とまではいかなくとも、大豪邸と言える公爵邸を遥かに超える広さに驚く
幸い、木や生け垣、噴水に石像と隠れる死角が多かったので一先ず近くの茂みに飛び込んだ。
ガサガサッ
「う、わっ!?」
わ!?
飛び込んだ先には先客が居た
周囲に馴染むよう緑色の迷彩柄を纏った男
顔は隠していて分からない
「なんだ、エリザベス嬢のペットか・・・」
怪しい・・・
ジトーと見て、その視線の意味に気づいたのか男は居住まいを正して話し始めた
「そんな目で見るなよ俺は王家の護衛だ、校舎に入る訳にはいかないから各所にこうして潜んでいるんだよ」
ほほう?
でも念の為顔は確認しておこう、実は他国のスパイとか良からぬ存在を見逃したとあればオコジョの名折れ。
ボクは無理矢理顔を隠しているマスクを剥ぎ取った
「わ、ちょっ、お前マジで頭良いなぁ、俺さえ疑うとか・・・、まあ良いけど本当に王家に仕える影だよ、ついでに言うなら公爵家の方にも着いたりしてる、レオン王子の婚約者となれば無関係とはいかないからな?
だからお前が賢くて人と言葉を交わせるの知ってる」
「キ!?」
なんだって?
「そんな警戒するなよ、俺達が報告をあげるのは国王陛下だけだ、公爵様がお前のことを賢いオコジョ程度にして隠しているのも知ってるし陛下も理解している、精々知ってても王妃様と王太子様までだろうさ」
ふむ
「俺達が仕事で得た情報を外部に漏らすことは決してない、それが王家に仕える俺達の誇りだからな、理解して欲しい」
なるほど
取り敢えずこの男の話を聞いてもいいかも知れない
ボクはそう思って、茂みの中に腰を落ち着けた。