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兄と

マロンが着替えている間、レオンらは皆伯爵家で待っていた。

騎士の人数を分散させる訳にはいかないので、動くのならば全員でと決めていた。


「おい、アラン」

「ん?」


女性の支度は時間が掛かる為、応接室から客間に移り寛いでもらう事になったが、アランはジュード・リュミエール伯爵子息に呼び止められた。

伯爵家のジュードは本来侯爵家のアランに敬語を使うべきなのだが、長年ライバル視して来たジュードにその気は毛頭ない。


「マロ・・・・・・・・・、・・・妹は必ず無事で返せよ」

「それは勿論だ」

「いいか誤解するなよ? 俺は妹の事なんてどうとも思ってないけど、母上も父上も可愛がっているからだ! アイツが怪我をすると母が気を病む、・・・だからだ!」

「分かっている、この身に替えても必ず無事な姿で返そう」

「・・・ダメだ、それはダメだ」

「うん?」


ジュードの言動が少し怪しい、何が言いたいのかアランも掴めない。


「いいか!多分、妹はお前のことが好きだ、多分! お前から貰ったチョーカーは毎日着けているし、手紙も楽しそうに書いている、だからアランも怪我をするなよ! 俺はお前の事などどうでもいいがお前が怪我をすると妹が悲しむ、妹が悲しむと母が悲しむからだ、勘違いするなよ!」


「くはっ、男のツンデレっ、うひっ」


一緒に居たクロードが耐え切れずに笑う

レオンは先に客間へと行っている。


素直じゃない物言いにアランも笑いそうになるが

なるほどマロンはジュードとも良い関係を結べているようで、笑う訳にはいかないだろうと堪えた。


「分かった、ありがとうジュード殿」

「!、俺の事知ってるのか」

「それはそうだろう、学生時代の時から一つ下に優秀な人材が居るとな」


王子の従者アランは誰にでも知られていた、名乗っていなくとも知る人ぞ知る。

ジュードはそういった面でもアランに劣等感があったが、そのアランに優秀な人材と言われて報われたような気がした、悪い気はしない。



「ジュードだ、ジュードと呼べ、そのかわり俺もアランと呼ばせてもらう」

「ああ、宜しく頼むよジュード」


ガシリと握手を交わす二人、ふぅと険が抜けた様子になったジュードのひと言にアランは固まった。


「それにしてもアランはあんなのが好みなんだな」

「なに?」

「マローネの事が好きなんだろう? でなければチョーカーなんて独占欲の強い贈り物なんてしないだろ」

「!?」

「うはっ、なにそれ詳しく聞かせ、て下さいジュード様! あ、俺はクロードって言います、タチアナの従者見習いです!」

「何やら面白そう話をしているな交ぜてくれ」


先に客間に入っていたレオンも顔を出し、アラン包囲網は完成した。


先ず、チョーカーは首輪である

首輪を男性から女性に贈るということは「お前は俺のものだ」という意思表示だと、仲直りした婚約者ファナからジュードは聞いていた。

ファナもマロンを気に入って何度かお茶した時、必ずチョーカーを着けていたので訊ねた所「アランから貰ったの」と聞き、目を輝かせて話は盛り上がったのである。


同席していたイリア夫人も

「あらあら乙女の唇を奪っただけではなく、チョーカーもだなんてワルイ(ひと)ね、責任取って貰わなくちゃ♪」

とノったので、ジュードもアランが義弟になるのかと考えていた。

因みに夫人は確信犯だ。


アランからするとキスはマロンからされた上に、あの身体能力もあって回避不能なのだからどうしようもない。

そう訴えても唇を交わしたんだろ? と問われれば確かにその通りで、地味に外堀は埋められていた。




その後、アランいじりを散々した所でマロンの着替えも終わったのだが。

立派なドレスに身を包んだマロンはとても美しかった


「黙っていれば極上の令嬢なんだけどな・・・」

「分かる、中身は子供だからな」


と、ジュードとクロードが意気投合したとか・・・





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