事後説明
「酷い!レオ様もアラン様も知っていて教えてくれなかったなんて!」
「う、すまないベス・・・」
「私がどれだけマロンのことを心配していたか、レオ様は知ってましたよね? 嫌いです!」
「あぁぁぁ・・・」
レオンがガックリと膝を折った
ボクの事は早い段階で把握していて、全てを隠していたことがバレちゃったからエリーが怒っていた。
此処は学校の医務室、エリーは足首の捻挫と首に赤い痣が出来ていたからお医者さんを呼んで診てもらった、痕は残らないらしい、・・・良かった。
「エリー、ほらボクが平民だと近くに居るの難しいからレオンとアランは頑張ってくれたんだよ」
「それは解るけど、せめて無事だからとか言ってくれたら・・・、まさかマロンがイリア先生の養子になるなんて、大丈夫? お勉強は着いていけてる?」
「うん、ママもパパも優しいよ」
「そう・・・、ならいいけどイリア先生には挨拶に行かなきゃね」
エリーも養子に入るボクの時みたいに先生のママしか知らない、そだよね先生の養子だとドキドキするよね。
ピリっとしてる先生しか知らないもんね
でも実際のママは優しくて暖かいから大丈夫なんだよ?
「レオン様、質問良いですか?」
「ん、ああ、何だろうかメイベル嬢」
「あのバケモノ見て驚いた様子が無かったのですが、何か知っているのでは・・・」
「あー、確かに、リオン王子の話を聞いてもあんま動揺してなかったし」
タチアナがレオンに聞いた、クロスケは部屋の隅に、アランは大講堂の後始末と指揮の為に此処には居ない。
「・・・」
「レオ様?」
「今日ベスを迎えに行くのが遅れた理由でもあるのだが・・・」
レオンがエリーを迎えに行く直前
リオンが突然部屋で暴れ出したとの報せが届いた
正気を失っているらしく、侍従、侍女、医師、騎士らが取り抑えようとしたが異常な力を発揮していて、押さえつけるには乱暴な方法になりかねない。
王妃様と王太子、そしてレオンに報告を挙げて判断を仰ごうとしたそうだ。
レオンが駆け付けると部屋は滅茶苦茶でリオンはバルコニーに立っていた。
声を掛けても反応がなく、突如としてバルコニーから飛び降りるリオン。
自室は3階、しかも城の3階ともなれば相当な高さがある
慌てて下を覗き込むと平然と走り去る姿があった。
後を追う途中、兄と合流して辿り着いた先は馬車留め
聞けばリオンは普通の様子でパーティーに向かったとか、更にはエリーも既に出発していて、「レオン王子が先に会場へ、との指示を受けましたが?」と言う、覚えの無い指示。
嫌な予感に背筋が冷たくなりつつも兄の手配で騎士10人を取りまとめ、城内は兄に任せてレオンは騎士と共に大講堂へ・・・
「向かおうとしたら城門にバケモノが現れてな・・・」
「バケモノ? それってアノ、口が裂けて、爪が伸びたような?」
「いや、文字通りのバケモノだよ、3m程のワニやトカゲが二足歩行で・・・」
「は? 恐竜?」
話の途中でクロスケがビックリしたように言った
「きょーりゅー、って何?」
「クロード何か知ってるの?」
「あ、あー、知ってるっつーか、えーっと・・・」
クロスケは近くにあった紙とペンを使ってサラサラと何かを描き始めた。
描き終わった紙には二本足で立っているトカゲ、ちょっときしょく悪い・・・
「レオン殿下、襲って来たのってこういう・・・」
「それだ、・・・何故知っている」
「いやー、ははは、俺らの世界ではメジャーっつうか・・・」
クロスケが言うには、この二本足で立つトカゲは恐竜と言って、昔地上を支配していた強い生き物らしい。
馬と同じように走り、鼻が利き、肉食
レオンが相対した恐竜は「ラプトル」という名前で、知能も高く、連携して狩りを行う危険な種類とか。
エリーはクロスケの異世界出身、前世の記憶があることに「えっ?えっ?」と驚いていた。
「恐竜、ドラゴンか・・・、クロードが見聞きした会話の内容を考えると、これらは元人間・・・」
レオンが言うことはボクでも解った
あの婚約破棄の騒ぎの時、リオンは目がギョロリとトカゲみたいな眼になっていたし、エリーをいじめたギリアムって人は口が裂けてウロコも生えていた。
バケモノになるクスリがあるってことだ・・・