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お茶会デビュー 7

ドレス?

指摘されてボクは自分の姿を見直した

ママと似た色合いのドレスはクリスが作ってくれたものだ

お揃いみたいでボクは好きだし、クリスにも感謝している。


「このドレスはクリス様から戴いたものです、今度店にも並べると仰っていました」

(クリスが新作ドレスって言ってたよー)


マロンの言葉にイヤミ3人組も同じテーブルの令嬢も目を丸くして驚いた。


「え、クリス様って、まさかワーナード伯爵様ですか?」

「はい、此方もご縁あってわたくしの身の回りは全てクリス様が御用意して下さりました」

(クリスと仲良くなったし、着る服少ないから商会で全部揃えたんだよね)


「マローネさんはワーナード伯爵とお知り合いなの!?」


ミリアの驚きは周囲の驚きと同義であった

飛ぶ鳥を落とす勢いのワーナード伯爵と平民あがりの養子が、どうやったらご縁を結べるというのか・・・

まだ伯爵夫人が手配を掛けて、と言った方が現実味がある。


伯爵家養子、お茶会デビュー、ワーナード商会の新作ドレス

およそ平民出身の人間らしくない要素の羅列にミリアと同じテーブルの令嬢は興味深く目を輝かせた。

どんな子なんだろう、知りたい!

この時点でイリアの目標は達せられたが、此処でやはり面白く思わない人間がいた


「ふ、ふふ、ワーナード様の新作なんて身に余り過ぎるのではなくて?」

「クリスに勧められたのですが、そうなのでしょうか? わたくしはこういったものに疎くて・・・」


マロン語(そうなの? ママとクリスは褒めてくれたけど、ボク分かんないだよね、教えてくれてありがとう)


貴族意「へえー、ワーナード伯爵の見立てにケチをつけるのね、知らなかったわ、ではどう言ったものが良いのかご教示頂けるかしら?」


「・・・っ!!」


暖簾に腕押し、糠に釘、まるで高位貴族の手馴れた応酬を受けているような感覚に、イヤミ令嬢達は臍を噛んだ。


マロンにそのつもりは無い


そして生粋の貴族であるからこそ引けなくなっていた

ドレスの話を無理やり無視をして、次にケチをつけたのは


「それにしても何なのかしら、その()()なバレッタは。私には恥ずかしくてとても着けられませんわ」

「ああ、これはお母様が是非にと、昔王家から賜った品だそうです」


マロン語(なんか知らないけどママが着けてくれたよ、王家から貰ったんだって)


貴族意「あらあら王家から下賜された品なのだけど、まあわたくしには過ぎた品かも知れませんわね、お母様に伝えておきますわ」


素敵は勿論皮肉だったが当然マロンに通じる訳もなく

王家からの宝飾品にケチをつけたとあって、イヤミ左右令嬢は静かに離れて行った。

イヤミ令嬢筆頭のマーズ伯爵令嬢は顔色を真っ青にした


「・・・・・・・・・、気分が悪いので、これで失礼致しますわ」

「お大事になさって? あ、馬車留めはあちらですよ」


マロン語(大丈夫? 無理しないでね、帰るならあっちだよ)


貴族意「さっさとお帰りになったらいいのでは?」


若干足取りが怪しいマーズ伯爵令嬢に親切心から言ったマロンだったが、完全にトドメを刺しにいっていた。

貴族とは難儀な存在である




御愁傷様・・・

端からマロンのやり取りを見ていたレナは心底同情していた。

この1ヶ月、令嬢言葉の練習はイリア夫人とレナが主に受け持っていた、その過程でレナは何かがおかしいと思っていた。

普段イヤミや悪口を言わないマロンが、令嬢言葉になると鋭く刺し殺すような言い方をしてくるのだ。

確認して初めて、貴族が捉える意味とマロンの言わんとしている意図が噛み合っていないことに気付いた。

会話は成り立っているだけにタチが悪い、レナは顔を引きつらせていたが逆にイリア夫人は10分程ホホホと笑い続けた、それはもう楽しそうに・・・

落ち着いたイリアは言った


「このままで行きましょう、会話は出来てるし意味を曲解するのは相手だもの」


レナは更に引きつった、伯爵夫人もやっぱりいい性格してる。

これからのマロン語の犠牲者を思うと、心の底から同情を禁じ得ないとレナは遠い目をした。

イヤミや悪口が効かない相手ほど疲れるものは居ないと、この日からレナは若干マロンへの当たりを改善した。






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― 新着の感想 ―
[一言] いつも楽しく読ませていただいています。 こういう主人公の言葉を貴族語にして相手が誤解するの大好きですw
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