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伯爵と伯爵夫人 3

夕食、フォアさんの予告通りオーストビーフのステーキだ

ほあ~、いい匂い、お家によってお肉の味付けが全然違う。

使っている香辛料も違うし、ソースや香草、下処理や仕込みの差もあるみたい。


「あ、消えちゃった・・・」


気が付けば目の前にあったのは空っぽの皿




「なに「いつの間にか消えた」みたいな雰囲気出してるのよ、たった今自分の口に放り込んだじゃない・・・」


後ろに控えていたレナがポツリと呟くと給仕していた使用人らが、くっと吹き出した。



「ちょっと・・・」

「・・・よろしいのですか?」

「良いのよ、家族の出会いの日をすっぽかす子に食事はありません」

「左様で・・・、では」


イリアが給仕の1人をつかまえて何かを指示する

そして数分後、マロンの前にはジュウジュウと音を立てる焼きたてのステーキが置かれた。

そのステーキは最初に食べたものより分厚く大きい


「え?」

「お腹いっぱい食べていいのよ」

「ありがとう!」






結局マロンはステーキ2().()5()()()を胃袋に収めた。

2枚目を食したあと、イリア夫人がもっと食べる? と自分の分も差し出したのである。


そこで驚いたのは夫人とマロンを除いた全員だった

家庭教師をしていた夫人は当然マナーに厳しい

若い使用人達はこんなにまで上機嫌で優しい夫人を見た事がない、しかも手ずから自分のステーキを切り分けるとマローネお嬢様にアーンと食べさせたのだから。


そして古参の使用人、特に執事クラインや侍女長らは目を赤くして肩を震わせていた。

当時婦人病を患い、次が望めないと悲しみに暮れていた夫人を知っている

養女と言っても、やはり()に向ける眼差しと行動は特別なのだと・・・


()()()()()()()は無作法だが、それを指摘する野暮は誰も居なかった。

なにかと世話を焼くイリアの横顔は幸せそうで、ホランドも胸いっぱいに幸せを噛み締めていた。




「餌付け完了? なんか肉ぶら下げたら釣れそう・・・」


小さく呟いたレナの声は、丁度近くに居た給仕の耳に届いた。

ブハァッ!と勢い良く吹き出した彼が不審な目を向けられたことを除いて、皆微笑ましく新しいお嬢様と夫人の食事を見守っていた。





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