仲間が出来まして
「キキウ」
「にゃー」
「キッキウ」
「にゃ、にゃーに?」
「カッ」
「にゃう」
オコジョと黒猫が話していた
彼の名前はクロ
猫だ。
クロの飼い主は、メイベル侯爵令嬢のタチアナ
タチアナはメイベル家の末子で上には兄が二人居る
その内の一人、次兄アラン・メイベル
第二王子レオンの従者アランである。
レオンは考えた
エリザベスと距離を詰めるにはどうしたらいいか
政略結婚で突然貴女は私の妻になります、と言われても簡単に飲み込める人は居ない。
婚約者だからと男性と二人きりになっても中々警戒は解けないだろうと考えた結果、従者のアランも巻き込み複数人ならどうだと思い至った。
レオンとアラン、エリザベスにもう一人令嬢を引き込もうとしたのだ。
爵位、王子の従者の妹、ペット有り
まさに好条件だったのでアランを通してタチアナ、ひいてはメイベル侯爵へ
そしてマスティーゼ公爵へと話を通した。
レオンの企み通り、タチアナとエリザベスは互いのペットを共通に仲良くなった。
初対面の時のような硬い顔を被った様子は無いので成功したと言えるだろう。
どちらによ爵位の近いお友達は公爵家も考えていた時期なので問題は無かった。
しかし・・・
「解ります!お腹ですよね」
「解る?お腹なのよ、ふふふ」
「キウ」
「にゃっ」
「ギ、キイッ」
「ニャーニゥ、ンゴロ」
片や、ウチのマロンがウチのクロが
片や、キッキ、ニャウニャウ
完全においてけぼりになった王子レオン&従者アラン
「こんな筈じゃなかった!」
「でしょうね」
その子は言った、むっつりと不満気な様子で
ローラン侯爵令嬢の腕に抱かれながら
「オコジョと何を話せっていうんだよ、言葉分かんねって」
「そうなの?」
「ああ、お見合いと称して雌猫と会ったけどニャアニャア言ってて訳分かんね、・・・って、うおっ!?」
「うん?」
「お前、喋れるのか!」
「うん」
「お、」
「お?」
「おおおおおお!同士よ!」
「オコジョだよ」
「違う、俺の名前は黒木虎之介、日本人だ」
「クロッキートゥラノスーケ?変な名前だね、ニホンジンってなに?」
「な、んだと、お前名前は」
「マロン」
「いや前世の名前だよ、覚えてんだろ?」
「さあ?」
「さあって・・・」
ガックリと肩を落とす黒猫
不貞腐れていたり、喜んだり、落ち込んだりと
情緒が不安定なのかな?
「・・・て訳なんだ」
「なるほど?」
黒木虎之介は他の世界である地球の日本と言う国で亡くなり、黒猫として転生したらしい。
やはり軽い物言いの神様に「身体出来てないから待っててネ☆」と言われて黒猫暮らし。
クロスケは普通の猫として生活しているらしくて
タチアナちゃんと話したりしていない為、会話出来ないストレスを抱えていた。
そんな状況でタチアナちゃんがエリーとお友達になるとして、相手もペットを飼っているからクロスケも連れてこられた。
出先、つまり公爵邸でボクと出会って感激したとか。
クロスケ検証によれば
普通の動物とは会話出来ないらしい
同じ猫でもニャーニャーとしか聴こえず、ボクのように肉体待ちの動物で中身人間だと会話出来るのだとか。
「まあ、俺と同じヤツに会ったのはお前が初めてだけどな」
と、クロスケは嬉しそうにニャーゴと鳴いた。
「・・・猫とオコジョって会話出来たんだなー」
「新発見ですね」
ぼんやりと女の子二人、動物二匹の会話を眺める王子と従者が居た。