6日目
2018年 6月26日(火)
待ちに待った3日置きの休日。
とはいっても、こんな来たばっかで右も左も分からない上に、筋肉痛が未だに取れてない状態で寝る以外に何しろって感じだったけど、とんでもないサプライズがあった。
召喚の時以来会ってなかった巫女さんが四人の護衛付きだけど訪ねてきてくれたのだ。
可憐な見た目に合った清楚な笑みで散歩に誘って貰った時には、その場で五体投地で神に感謝を告げたくなったぐらいだ。
てかやってた。意識を置いてきぼりに身体が自然と五体投地してた。
感謝と祈りはあんなにナチュラルに出るもんって初めて知ったけど、巫女さんと護衛の人達が若干引いてた気もするのは気のせいだと思いたい。
問題なのは俺に相手を楽しませる話術や会話のネタなんて無い事だけど。
アレコレ考えた末に無難にこっちの世界の事について聞いたら巫女さんは丁寧に教えてくれたのはホントに助かった。
けど、一通り教えてくれた後、巫女さんが俺の手を取って憂いを秘めた顔で「私を恨んでいませんか?」と聞いてきたのは以外だった。
巫女さんに恨み云々とか無いし、その時は手を取られた時に巫女さんの手柔らけぇとか思ってました。
巫女さんが言うには、年々増加していく魔物被害を食い止める為にという王宮側の要求を巫女さんが所属する教会は撥ね付ける力を持っていなかったそうだ。
日本人的な考え方だけど、魔物被害が拡大してく中で神に祈っても何も改善しなかったら、まぁ信仰も下がるだろう。そこに付け込まれての勇者召喚だったらしい。
ホントは巫女さんは俺の側でサポートしたかったが、力関係で勝っている王宮に教会側の要求を通すのに時間が掛かったと。
「私達の世界の都合を、異世界で平和に暮らしていた勇者様に押し付ける形になってしまい、どうお詫びしたらいいのか今の私にはわかりません。何かしようとも、私ではそれを通せない事も多いです。ですが、せめて勇者様の支えになれればと思っています。もし辛い事や苦しい事があるのなら、遠慮せずに私に仰って下さい。私は、出来る限り勇者様のお力になりたいのです」
そう真剣に言われた時、身体の筋肉痛が無かったら外とか構わずに巫女さんを押し倒してたかもしれない。
もしかしたら騎士のオッサンの地獄の訓練はこの時を見越しての可能性が?だとしたら行軍中の水虫は控えめで許してやろう。
かといってこのままチャンスを逃すのもアレなんで抱きしめていいですかと聞いたら、巫女さんの目を丸くした時は、『あ、失敗した』と思ったけど、その後に少し顔を赤くしながら俯いて小さな声で「い、いいですよ……」と言われてね。
うん、思わずすぐさま抱きしめちゃったのは仕方ないよね。
この世界は石鹸とかシャンプーとか発展してなさそうなのに良い匂いもしてたし、あのままだと本能に従って行けるとこまで行ったと思うけど、幸か不幸か邪魔者が来た。といういか居た。
護衛の人達の中でも年配のオッサンがウォホン!と咳払いしてムードをぶち壊してくれたお陰で正気に返れたので、オッサンに頭髪が薄くなっては加齢臭がキツくなるように祈っておいてやった。
その後は心なしか護衛の警戒度が底上げされた感じのなか散歩を続けて終了。
今回は俺の本能の昂ぶりを抑えきれずに暴走してしまったが、次回は清楚な巫女さんに合わせてもっと紳士らしく振舞って好感度を稼ごうと思う。
というか何で巫女さんの護衛がオッサンとかなのか、普通は護衛も美少女、美女ってのがお約束なんじゃねぇのかと―――(以下罵詈雑言)