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召喚勇者日記  作者:
1/6

1日目と2日目

2018年 6月21日(木)

文字を忘れないようにするのと、王様の耳をロバとアシに言い続けた床屋みたく、連中が読めない日本語で色々と書いて不満解消するために日記みたいなのを始めようと思う。

紙は拉致られる前にアニキにルーズリーフを無駄に買いだめさせられたのが大袋一杯にあるからその処分も兼ねる。

まず、端的に事実を書いて置く。下校途中に拉致られた。

それも只の拉致じゃなく世界線を超えての拉致。勇者召喚と言う名の拉致を行った連中は、俺の事を伝説の勇者とか言って持ち上げたけど、どこのラノベだ。

せめてもの救いはお約束通りに巫女さんが可憐な美少女(15)だったことぐらい。まぁ腹黒の可能性もあるけど。

召喚された後は、これまたお約束通りに王様の下へ連れてかれて、

『国がヤバくて召喚した。勇者の義務に従って魔物を殲滅しろ。代わりに国で養ってやる』

って内容を美辞麗句で飾り立てて喋ってた。唯一の癒しポイントの巫女さんは召喚の儀式場で分かれてこっちには居なかったのがツラい。

一応こっちの意思確認みたいな事はしたけど、周りに武装した兵士とか騎士っぽいのに囲まれた状況だと、こっちには、“はい or Yes”の選択肢しかないわけで。もし断っても殺されないとしても、元の世界に戻れない以上はお上に逆らうのが下策中の下策。

どう見ても出来レースみたいな問答だった。

ハゲて加齢臭にまみれてしまえ。

にしても、昨今のお約束の召喚チートに当てはまるのが、謎翻訳以外に今の所ないんだけど、大丈夫なのかな?

きちんと俺TUEEEな能力とか開花してくれないと死ぬ予感しかしないんだけど。

そこ等辺、明日誰かに聞いてみよう。



2018年 6月22日(金)

早速訓練だとかで騎士のオッサンに訓練場にまで連れてかれた。

その途中で歴代の勇者には武術が得意なのと魔術が得意なのが極端に分かれてるのが多いからその確認も取るって話を聞いた。

極振りとかピーキーにも程がある。ド○クエⅢの勇者みたいにオールマイティがなんだかんだで安定すると思うんだ。まぁ器用貧乏になるかもだけど。

でもって、確認を取る方法が体育会系で走り込みかや打ち込みやらを限界一杯させられた。競技場みたいな広さの訓練場を全速力で20週できたのは驚きだけど、身体を動かし過ぎて吐いたのは初めての経験だったクソが。

騎士のオッサンは、『初めて剣を振ったにしては筋は良い方』と言ってたけど、アレはリップサービスというか褒めて伸ばすタイプと見た。良い所を褒めた後に、さりげなく他の場所を注意してくれるのは精神的に楽だから助かる。

でも、昼飯は碌に喉に通らなかったから、肉とかは食えずにパンだけをスープに浸しながら少しずつゆっくり喰う破目になった。

その後の午後は魔術師のオッサンに講義場みたいなとこに連れてかれた。

騎士のオッサンといい魔術師のオッサンといい、こういうのは美人や美少女が相手してくれるもんじゃないの?

こっちでは占い師が持ってそうな水晶玉に手を触れて魔力量を測った。

電球ぐらいの光が出ると、大体宮廷魔術師クラスで多い方らしい。

けど、騎士のオッサンに聞いてた話しや、少し困った様な顔をしてた魔術師のオッサンから推測するに、俺は一般的な勇者とは違う、良く行ってオールマイティ、悪く言って器用貧乏な勇者らしい。

一芸特化の勇者が多くて、その運用メインでやってきたこの連中にとって俺は使い勝手の悪い勇者なことだろう。

ついでに属性とかは無いのかって聞いたら、『生物の魔力に基本的に属性とかはついてなく、もしついてたら他の属性の魔法は使えないでしょう』と言われた。

いわば生き物の魔力は無属性で、魔法にする際に他の属性に加工するもんらしい。

魔法特化ならゲームや漫画に出てきたようなのも出来たかもと思うと、少し惜しい。

後は魔力を増やす訓練や魔法を使うイメージトレーニングの方法を教えて貰って今日は終わった。

連中の思う勇者じゃなかった俺だが、明日からどう扱われるのか?

最悪の場合は逃げる必要もあるから金の種類、一般常識、文字とかも勉強しとこうと思う。





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