第二話 未来:2
どうもお久しぶりです。
チュートリアルってゲームの説明だろ? この世界がゲームだっていうのか? だとしたら試される大地の島にいるのも説明がつくがいくらなんでも適当だな。
『チュートリアル1. 〈メニューコマンドを閉じてみよう〉。メニューコマンドを閉じるにはメニューコマンドを閉じると言葉で発するか念じるかのどちらかでメニューコマンドを閉じることが出来ます。ではこのメニューコマンドを一度閉じて下さい』
そんなことを考えているとメッセージ画面が目の前に映り、鬱陶しさを促せる。チッ、わかったよ。俺の考察は後にしよう。
メニューコマンドを閉じる。そう念じると視界が灰色から元の色の付いた世界に戻りすぐさま灰色に戻る。
『チュートリアル1. 〈メニューコマンドを閉じる〉クリアです。尚、メニューコマンドを開きたい場合は先ほどとは逆にメニューコマンドを開くと言葉にするか、念じるかのどちらかで開くことが出来ます』
なるほどな。これでメニューコマンドが出来るようになったのか。……って納得出来るか! 何だよメニューコマンドって。ゾンビの世界でゲーム要素があったらもうゲームの世界にしか感じない。例え夢の中だろうが異世界だろうがリアルティを出しやがれと激しくツッコミたい。
『チュートリアル2. 〈セーブとロードしてみよう〉。セーブ&ロードを選択して下さい』
今度はゲーム要素お馴染みのセーブ&ロードと来たもんだ。もう完全に俺の大嫌いなゾンビゲーだ。せめてもの反抗に白色の文字が書かれたセーブ&ロードの項目の下に、項目自体が灰色に塗られた項目を選択しようとする。しかし『それはまだ解禁されていない為選択出来ません』と表示され、次の瞬間には『セーブ&ロードを選択して下さい』と指示された。
ったく、わかったよ。セーブ&ロードを選択すりゃいいんだろ! このまま選んでも永遠と続いてしまうんだ。選択肢がないならやるしかない。
『次にセーブの項目を選択し、セーブして下さい』
セーブを選択すると『セーブ処理をしますがよろしいですか?』と聞かれ、はいの項目を選ぶ。すると『セーブ処理が完了しました』と表示され、セーブが終わったことを意味していた。
『セーブが完了いたしましたのでロードの項目を選択して下さい』
そして先ほどのように抵抗するでもなく大人しくロードの項目を選択し、ロードをすると『ロード処理が完了しました』と表示され、一瞬身体が飛んだような感覚がした。
『チュートリアル2. 〈セーブとロードしてみよう〉クリアです。これらを駆使して死なないよう立ち回りましょう』
今のでロードが出来たのか。一瞬身体が飛ぶような感覚だけで済むとは思ってもなかった。セーブ&ロードは下手すりゃ、時間干渉どころか異世界まで干渉することになる。その影響を与えず無事に済むということは凄いことだ。……なんでこんな考察が出来るのかだと? まああれだ。昔取った杵柄、もとい中二病だったときに考察していたのを思い出しただけだ。現実観を感じられないのもそのせいだ。
しかしゲームオーバーではなく死なないようと表現するあたり、やっぱり現実なのかと実感してしまう。ゲームであれば死ぬなんて表現はしない。ゲームはゲームオーバーと表現がポピュラーで、死ぬと表現されるものであっても残機や所持金が減ると付け加えておくものなんだよ。そうでないとクレームが来るからな。
そんな俺の考えを無視してメニューコマンドのチュートリアルは進む。
『チュートリアル3. 〈道具の出し入れをしてみよう〉。道具袋の項目を選択して下さい』
道具袋の項目がさっき解禁されていなかった項目の中にあり、まだ項目そのものが灰色に塗りつぶされた項目があるのを見て、それを選択しかけたが止めた。どうせさっきみたいに解禁されていませんとかそんな風に言われるだけだ。故に道具袋の項目を選択した。
『道具袋の中にアイテム<傷薬>と<ビタミン剤>があります。今回は<傷薬>の方を取り出してみましょう。それを取り出すには「<傷薬>を取り出す」と言葉に出すか念じることによって取り出すことが出来ます。それでは実際に傷薬を取り出して下さい』
やっぱりチュートリアルなだけあって説明が丁寧だ。メニューコマンドを閉じたり開いたりする応用で取り出せばいい。そしてそれをすると俺の手元には傷薬があり、推測が正しかったことを証明した。
『では逆に道具袋に手元の傷薬を入れるには、道具袋にしまうと言葉に出すか念じると出来ます。やってみましょう』
これも応用で入れれば良いだけのことだ。これでわからない奴は相当頭が悪いか、ゲームに慣れていない奴達だけだ。
『チュートリアル3. 〈道具の出し入れをしてみよう〉クリア。荷物が嵩張ったり、整理が出来ないときは道具袋を是非とも使ってみましょう』
なんかこのチュートリアルは宣伝っぽく終わらせたな。
『チュートリアル4. 〈調合してみよう〉。道具袋の項目を選択して下さい』
調合ね。……ってコマンドの項目が灰色に塗りつぶされたままだ。いや道具袋の項目か。さっきまでそれぞれ項目が解禁されたからややこしくて仕方ない。
『アイテムと書かれている項目の隣に調合と書かれている項目がありますね? それを選択して下さい』
こんなところにあるのか……調合と。
『調合を選択すると調合が不可能なアイテムの表示が黒く塗りつぶされます。しかしそれ以外はそのままの状態になります。それでは<傷薬>と<ビタミン剤>を選択して調合するを選択して下さい』
<傷薬>はわかる。しかし<ビタミン剤>って何だよ? <ビタミン剤>ってサプリメントでしょ? そう思い、<ビタミン剤>を選択をして説明を見ると『調合用素材。飲み物や薬関係と調合することで効果を倍増させる働きを持つ素材。一応飲食可能だが特別な効果はなし』……何でもありだな。<ビタミン剤>を調合用素材として扱うあたりこのシステムはどうでもいいところでテキトーな感じがする。
そんなこんなで2つのアイテムを選び調合を選択すると<傷薬LV2>が出来上がった。
『チュートリアル4.〈調合してみよう〉クリア。このように調合をすることでアイテムの効果を上げたりすることが出来ます。尚、元のアイテムは成功失敗に関わらず失いますのでご注意下さい』
上げたり……ってことは他にも効果がある調合もありそうだな。それに失敗もあるか。厳しいもんだぜ。いやメニューコマンドが使えないパターンよりかマシだな。
『チュートリアル5. 〈武器の使い方を覚えよう〉。装備の項目を選択して下さい』
おっ、いよいよか? 装備の項目を押すと『銃全般の使い方をインストールします』と表示され、自動的にメニューコマンドが閉じると銃の使い方を理解する……そう言えば銃には安全装置とかそんなのがあったんだっけか? それがわからないと銃なんて使えないんだよな。当然これまで一般市民だった俺は安全装置のはずし方とかは知らん。しかし『インストールが完了しました』と表記されると安全装置のはずし方を熟知し、まるで手に持っている銃が自分の手足のように感じる。
『それでは装備の項目の説明致します』
自動的に装備の項目の所にメニューコマンドが開き、説明し始めた。
『貴方が装備できる武器は二枠となります。武器によって使用される枠は決まっており貴方の場合、枠が2と書かれているものを一つ、1を書かれている武器を二つ装備出来ます。尚、現在手にしている武器は装備品として認められますのでご注意下さい。現在手にしている武器を収納することで道具袋とは別の装備品袋に入れることが出来、装備を解除出来ます』
つまり武器なら装備品袋、それ以外なら道具袋って訳か。
『次に弾薬の項目を選択して下さい』
弾薬まであるのか……芸が細かいというか設定しすぎなんじゃないのか? ちなみに弾薬の他にも項目があるが、これは一体なんだろうか? そんな考えをよそに俺は弾薬の項目を選択してチュートリアルを進める。
『弾薬を収納した場合この項目に弾薬が収納されます。装備品の弾薬をリロードしたい場合、この項目にある弾薬を選択しますと武器を選択してリロードすることが出来ます。試しにやってみましょう』
あらかじめ用意されていた<練習用弾薬>を選択するとリロードや弾薬の入れ替えがあった。俺は迷わずリロードを選択。装備品袋にあった全ての武器が黒ずんで表記されておらずどれでもリロードが可能になっていた。何でもありだなこの弾薬。どうせ消えるからその場限定の物なんだろうけど。
『では試しに撃ってみましょう。弾薬のある銃を装備して好きな場所に撃って下さい』
好きな場所か。交通標識にでも撃ったらバレた時が怖いな……どこか適当な場所で良いだろ。
そして銃声が鳴り響き、チュートリアルに従うと恒例のものが目に映る。
『チュートリアル5. 〈武器の使い方を覚えよう〉クリア。火薬と特定のアイテムを調合することで弾薬が出来ます』
何度も見慣れたそれに俺は大して驚きもせず、次のチュートリアルを待つ。そして次のチュートリアルが表示された。
ストックが切れるまで一週間に一回更新していきます!