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第十六話 未来:8

今回は先週から1週間で投稿できましたがストックがないのは事実ですので不定期更新となります

リーダーキメラを解放の魔石に変え、解放Lvを上げる。この瞬間俺の心臓が爆弾のように膨らんでは注射器で薬が注ぎ込まれるかのように血が流れるのを実感してしまう程に興奮していた。

『解放Lv5になりました』

『収納機能が強化され、道具袋の共有が出来るようになりました』

おお……ついに来たぞ! 念願の道具袋の共有だ! これで俺も密輸王の仲間入り……ってちゃうわ! 中世世界や現実世界の問題解決が簡単になったんだろうが。何物騒なことを考えるようになったんだ俺は?


閑話休題。

これで何が出来るかを一応まとめてみるか。

A4用紙やB5用紙、またはトイレットペーパーを中世世界に持ち込んで売る。これは大きなアドバンテージだ。何せあの世界は現実における中世と変わらん。ヨーロッパで識字率が低かったのは教育のせいもあるだろうが、書くものつまり紙が不足していたという背景にもある。それもそのはず、紙は作るのに手間が掛かるだけでなく高価なものだった。尻を拭く為だけ用の紙なんかあるはずもない。

しかし現実世界や未来世界ではありふれたものだ。それも安価であり、近くのドラッグストアやコンビニに行けばある、というほど身近なものでもある。

さてそんな身近なものを中世世界で向こうの値段相応で売りさばけばあっという間に金貨や銀貨にまみれた生活だ。その金貨を元手に株をしたり宝くじを買う。もちろん株と宝くじはセーブとロードを酷使するので倫理観で言えば宜しくないだろう。しかしそんな倫理観はこの際無視する。





「討伐完了。これより帰還する」

遠足は帰るまでが遠足、というがそれは正しいのか言っていいのかはわからないが心構えとしてはかなりいい。

リーダーキメラ討伐は帰るまでがリーダーキメラ討伐だ。もしここで気を抜いてキメラやリーダーキメラ達が現れたら対処が遅れてしまい、先ほど俺がこいつらを殲滅したように俺が殺される。油断するだけでも有利不利が逆転しそこから一気に崩れていくのは世の中の必然だ。

そしてマップを見ると何者かが凄い勢いで迫ってくるのがわかる。速度からして見るとキメラやリーダーキメラの類いではない。そいつらにしてはあまりにも速すぎる。そう、まるで飛行機のような速さだ。


「新種か……」

キメラでもリーダーキメラでもない別のゾンビが現れた。そのゾンビはワイバーンのように空を舞い、滑空している。

「ここからじゃ届かないか」

届いたとしてもあの速さじゃ当たらない。完全に射程圏外だ。撤退だな。

と、そんなことを考えていると新たにゾンビが地面から湧いて出てくる。……おいおい、元々は人間だろうが。何で人間の遺体が地面から出てくるんだよ? とりあえず時間停止機能を使わないと死ぬ。


撤退か殲滅か。


この二択に選択肢は絞られた。というか増えた。本来なら真っ先に撤退を選ぶところだが雑魚ゾンビが出てきている以上、無事に振り切れるとは思えない。噛まれたらすぐにロードすればいいだけだがそれに気づかなければどうしようもない。もしかしたらその自覚なしにゾンビになってしまうかもしれない。それだけは避けたい。


じゃあ殲滅がベストなんじゃないのかという考えもあるが、それは間違いでベストは尽くせない。むしろ選択肢としてはバッド(悪い)だろうな。ワースト(最悪)でない理由としてはそれが出来る可能性があるからだ。あのワイバーン状のゾンビ──以下ワイバーンゾンビ──を倒すにはまず周りのゾンビを殲滅して近づいてきたところをちまちま攻撃する。そして弱ったところを仕留める。要はヒットアンドウェイだな。

だが問題点はいくらか生じる。あいつに銃弾は効くのか? 効いたとしてもトドメを刺すには充分な火力を持っているのか? そして万が一の為のロードは出来るのか? 不安な要素ばかり頭に思い浮かぶ。


「やるしかない……か」

しかしこのまま放っておいたら奴がパワーアップして更にゾンビが増殖する可能性だって否定出来ない。そんなことになれば犠牲者が増え、こちらでしか手に入らない武器を購入することが出来ず、その武器がなくては倒せない敵が出てきた時に対策しようがなくなってしまう。

それに俺自身今まで同格以下ばかりしか相手しておらず、格上の相手がどういうものなのかわからない。この世界に限らず中世世界でも格上の相手は出てくるだろう。その時に備えてワイバーンゾンビとの戦いを経験する必要がある。

つまり自分の為でもあり、ゾンビ殲滅の為でもある為にやるしかない。だからといってゾンビ増殖が止まるとは思えないがやらないよりかマシだ。こいつの遺体は魔石に変えず、研究用にしなければならないから傷も少ない方が良い。


「攻撃開始」

今度は時間停止機能は使わないでゾンビ達をヘッドショットで倒していく。使ってしまったらワイバーンゾンビを倒す意味がレベリングしかなくなる。

本当に自分を強くしたいならそういった実戦経験が必要で、ステータスに頼らない方が良い。しかしステータス云々はもはやどうしようもないので時間停止機能を使わないことでゾンビ等の敵の動きを知ることが出来、実戦経験が増す訳だ。ましてや今回は格上。実戦経験を積むには丁度良い。


故に時間停止機能を使うときは本当にロードしなくてはならない状況、つまりこの周りにいるゾンビに噛まれた時、目前までワイバーンゾンビが迫った時、そしてじり貧に陥った時だ。ゾンビに噛まれたら自分がゾンビになる未来しかなく、ワイバーンゾンビに迫られた時や弾が無くなった時に至っては死あるのみだ。そんな状況になったら流石にロードし、セーブした場所まで戻らざるを得ない。


「次、弾補給用意」

片手銃に切り替える。その隙を見てゾンビが俺に迫るが、迫るゾンビ達をヘッドショットをしてそれらを収納する。その収納したゾンビはすぐさま火薬になって銃弾になる。そして銃弾は自動でリロードされ、銃に装弾された。

「鉄砲隊放て」

鉄砲隊もくそもこの場には俺しかいない。テンションを上げる為の必要な掛け声だ。妙な話だが俺の笑いのツボは他人とはズレがあり、気分を上げるのも同じくズレがある。つまりこの掛け声でテンションを上げられるのは俺だけだ。

「ギャグェェァァァっ!」

なんだよその雄叫びは、とツッコミを入れる間もなく、ワイバーンゾンビが俺に迫る。

勢いから計算して……ここだな。


俺の持っていたライトマシンガンが火を吹き、ワイバーンゾンビに襲いかかる。

「グギャァァァッ!!」

嘘だろ? いや嘘でもないか。通常のキメラですら脳を撃っても死なないほどタフなんだ。それの上位であるワイバーンゾンビが死ぬ訳がない。となれば、時間停止機能だ。余りこいつに頼ると身体が鈍るというより本当の意味で戦闘経験を積むことができない。しかしそれと引き換えに死ぬのは流石に御免だ。この状況でワイバーンゾンビが何を仕出かすかわからない上にこちらの攻撃が避けられるかもしれない。戦場は常に最悪のことを想定しなければならないというが俺は出来るだけ舐めプでやろうとしていたんだからこのくらいのイカサマは許されるだろう。そもそもメニューコマンド自体がチート、つまりズルだしな。


「死ね。俺の未来と経験値の為に」

人間ってこんな冷たい声を出せたんだと自分で声を出したにも関わらず、自分の声の冷たさに驚いていた。

そしてその瞬間、ワイバーンゾンビが空中で血を噴水の如く吹き出し、地上を緑の血で染色する。そして収納しようとするとワイバーンゾンビがまだ生きていた為に収納出来なかった。

しぶとい奴だ。このしぶとさを形容するには何がいいだろう……ゴキブリか? いや普通にゾンビでいいだろ。ゾンビのボスなだけあってしぶといのは当たり前か。

だがしかし、ゴキブリやゾンビが身体が頭と別れを告げたら生きられないように、こいつも身体と頭を別れさせることで死ぬ。いやゾンビ系統は死んでいるから活動停止させるの方が正しいな。人はそれを殺すというのだが。


今回は首を特に集中的に狙い、切り落とすイメージで殺す。条件をつけて殺すくらいなら時間停止機能を使わずとも今の俺なら出来るが、時間停止機能を使わずやると非常に手間だ。あいつの雄叫びか悲鳴かどっちかわからないその遠吠えによって湧いてきたゾンビ達を殺して収納し火薬に変えるという作業をしなければならないからどうしても時間がかかってしまう。


だがやるしかない。多少の無理は経験値にならずとも経験になる。その経験を生かすことが中世世界で役に経つんだ。

何せ現状では中世世界や現実世界で銃弾の補充が出来ないから他のものに頼るしかない。現実世界では銃刀法に違反する為に銃を持つことは自衛官か警察官にならないと逮捕される上にその職業についたとしても滅多に撃う機会はない。必然的に使えるのは未来世界と中世世界の二つの世界だが、中世世界で銃を使うには火薬を自力で作る──つまりそれまで収納していたゾンビを使って火薬に変える必要がある。しかし未来世界において火薬は現地補充が出来るから三つの世界で一番銃を使えるのはこの未来世界だ。

再び、ライトマシンガンが火を吹く。今度の攻撃でワイバーンゾンビが絶命するかと思いきやまだしぶとく生き残り、そのまま俺に突っ込む。くそっ、こいつ相手に時間停止機能なしじゃ無理か。アレだけカッコつけておいて出来ませんでしたなんて一番カッコ悪過ぎる。


意地か命か。


またもや二者択一。意地を取れば命を落とす可能性がある。しかし成功せずとも経験値にはならずとも経験になる。俺は迷うことなく、意地を選んだ。

「次の屍を超えろ。勝者、東海昭次……ってな」

意地を選んだ理由はワイバーンゾンビを含めたゾンビの弱点を思い出し、確信したからだ。そこさえ攻撃してしまえば奴は死ぬ。

ヘッドショットはゾンビを殺すには一般的なやり方だ。しかしヘッドショット以外にも弱点はある。それは心臓。意外と思うかもしれないがゾンビにも心臓があってその活動は停止していない。その根拠としてゾンビを銃で攻撃をすると緑色の血が吹き出すことが上げられる。本当に心臓が止まっているのなら血は吹き出さず硬直するだけにとどまる。頭がダメなら心臓もやる。恐竜に最も近いと言われている鳥類の心臓の場所を参考にワイバーンゾンビの心臓を探し当てると、勘が当たりワイバーンゾンビが力尽きたことを示すアナウンス『ワイバーンゾンビを倒しました』が表示される。


『レベル23に上がりました』

一気にレベルが23に上がったか。ぶっとんでいるというか、経験値が多すぎるというか……何にせよご都合主義様々だ。


そして時間停止機能を使い反省をする。今回の反省点は多い。それだけワイバーンゾンビが強かった証拠でもあるが、運任せで仕留めたにしか過ぎない。もしここで俺の勘が外れていたらと思うとゾッとする。考えたくもない。何にせよ次からは頭だけでなく心臓も的確に狙わないと無理だ。その為の立ち回りを三つの世界で学ぶ必要があるな。

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