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キューピッドと歩兵銃  作者: うにおいくら
~残された時間・I never lay down under my distiny~
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麻美の部屋



「なんで昨日は顔を出さなかったのよ!!」


 麻美は自分の部屋でいきなりキューピッドに突っかかった。

勉強机のPCのモニターには彼女が作ったWEBサイトの掲示板が映っていた。その前で椅子に座った麻美がキューピッドに食って掛かっていた。


「何が?」

いつものように麻美のベッドに腰かけていたキューピッドは怪訝な顔をして答えた。


「昨日、会いに行ったんでしょ?」


「ああ……行ったよ」


「だったらどうだったか教えてよ!」


キューピッドは返事もせずに麻美を見つめていた。


「で、どうだったの? 彼女はなんて言っていたの? キューピーちゃんになにかできそう?」

イラついたように麻美が再び聞いてきた。


「何もできないよ。彼女は淡々と自分の死を受け入れていたよ」


 吐き捨てるようにキューピッドは応えると、そのままイラついたように立ち上がった。

キューピッドは夕子の事をここで軽く言葉にして語ることに抵抗を感じていた。


麻美はその姿を黙って目で追った。いつものキューピッドとは雰囲気が違う事に少し驚いていた。


「でも、彼女が君に会いたがっていたよ『是非とも会いたい』って」

麻美の顔も見ずにキューピッドは夕子の言葉を伝えた。


「え?私に?」

麻美は驚いたように目を見開いた。


「そう。『あのサイトを女子高生が作っている』って言ったら会いたいって」

キューピッドは部屋の窓から外を眺めながら言った。


「え?そうなの。そんなことまで言ったんだぁ……でも私も会いたい!!」

麻美は身を乗り出してキューピッドに言った。


「あぁ……やっぱり」

キューピッドは落胆したようにため息をついた。若干、ここで麻美が会うのをためらってくれたらと思わなくもなかったキューピッドだが、その期待は儚く一瞬で跡形もなく打ち砕かれた。


「なによ? そのため息は?」


「いや、何でもない」

と言ってキューピッドは首を横に振った。


「まあいいわ。私も彼女に会って話がしたい」

麻美は既に行く気満々だった。このキューピッドにしては珍しくいい仕事をしたとさえ思っていた。


 キューピッドはこのあけっぴろげな性格の麻美が彼女に余計な事を言わないかという不安は残るが、羽鳥夕子の頼みでもあるので頃合いを見計らって連れて行こうと決心した。


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