初練習
初練習の日
教室へ入ると、美咲が声をかけてきた
クラスで一番最初に仲良しになった女子
「真穂、男子が華原先生から野球部に真穂が入部するって聞いたってホンマなん?」
「うん。」
「おいおい、やめとけ。女に野球なんか無理無理。しかも、華原って女子に厳しいって話だし。」
クラスの男子からも言われるが真穂は「大丈夫。」としか答えない。
「どうしたん?」横からクラスで一番おとなしい菅野君が声をかけてきた
「真穂ちゃん野球部入るんだって。」
「ここ、練習厳しいんだってよ。大丈夫?」
心配そうなみんなをよそに真穂は「大丈夫」としか言わなかった
放課後、授業が終わり、野球部の集合場所になっていた体育教官室前へ
既に入部届けを提出した男子達が集まってお互いに話している
短髪で、がっちりした体格揃い
真穂を見るなり、「おい!女が来たぞ」「女が何の用だ?」の声
「私も野球部入るの」真穂の真剣な眼差しだが、「女が野球?野球バカにするな!野球ごっこしたいのか?」男子達が真穂をバカにする。
「うるさい!女だって野球できるんだから。私負けないから」声をあらげ自分に言い聞かせた
「どうした?」後ろからちょっと低い声でキャプテンの清水が声をかけてきた
「先輩!女が野球部入るらしいです。」
「女か。良い遊び相手になりそうだな。」一言残して、教官室の中へ
しばらくして中から監督、キャプテンが出てきた
「ここにいるのが今年の新入部員達。いいか、みんなお互いがライバルだ。いいか、野球部に入るって決めた以上逃げるな!諦めるな!わかったか」監督の声が辺りに響き渡る
「今年今までと変わったことがある。野球部に女か入ったってことだ。いいか、野球部に入った以上は男子と同じ扱いだ。だからいいか、真穂に対して女だって態度で接したりするのは禁止だ。いいか、男子と違うのは着替え場所だけ。後は全て一緒にする良いな」
「はい」
「そしたら、今日はまずユニフォームの採寸と野球部が使う場所の見学をしてもらって最後に練習風景を見てもらって」監督の声がこわばっている。
しかし、真穂はそれよりも野球ができる喜びでいっぱいだった。