自己紹介
自己紹介?そ、そりゃそうか。初日だからね。友達を作らせたいからか。こっちにゃなにも心配することはない。既に友達が2人もいるのだ。勝ち組だ。きっと何とかなる。何とかなる、何とかなる、何とか……。
「……、……さん、……佐々木さん?」
「はっ!!!すみません!佐々木青葉と申します。バスケ部マネージャーになる予定です。強豪京南に来れたことを幸せに思っています。よろしくお願いします」
よし、コレで掴みはオーケー、問題は何もないはずだ。どんと構えようそうしよう。
周囲をちらりと伺うと、自己紹介も半ばに来たからか、みんな特に気にした様子も、あれ?少し笑われている?何か変なことを言っただろうか?
藤也と夏那兎を見ると、微笑ましそうな目で見てくるし、ぽよん先生は苦笑した様子で、それは良かったですねと返してきた。解せぬ。
藤也と夏那兎はなんか気障なことを言っていたような気がする。正直どうでもいい。だって2人がスポーツ特待生だとわかった瞬間に、クラスの女の子たちが黄色い声を上げたんだもん。
自己紹介が全員一通り終わると、女の子が2人寄って来た。
「青葉くんてー、マネージャー志望なんだぁ。いがいー」
「夏那兎くんと同じくらいの身長だし、筋肉も結構あるでしょ?それに、強豪京南に来れて嬉しいんでしょ?選手としてはやらないのー?」
内心びくりとしたが、
「まあね、ちょっと怪我しちゃったからね。でも、バスケは好きだから」
と返事する。
そっかー、と言いながら2人はどこかへ行ってしまった。それと入れ替わるように、藤也と夏那兎が話しかけてきた。
「あれー、怪我してたんだ?青葉くーん」
「初耳だね」
……耳元で。
さっきのは嘘だ。マネージャーになるのは怪我が原因ではない。聞かれるかもしれないと用意しておいた答えだ。本当に怪我で出来ない人には申し訳ないけど、こう言えば大抵それ以上突っ込んで聞ける人はいない。
今日は授業がないので、HR後そのまま3人で部室に直行する。
校舎を出て、長い渡り廊下を抜けると、そこは青春の楽園であった。
つまり、汗臭い部室棟があるということである。さらに男バス、というプレートの掛かる扉を開けるとむわりとした空気が流れ出す。中には誰もおらず、藤也と夏那兎はずかずか部室に入って行き、荷物を放り投げるとさっさか着替え始める。入るのを少し躊躇していると、お前も突っ立ってないで入ってこいよ、と言われてしまった。そろり、そろりと中へ入る。ここがあの京南なのだ、と思うととても感慨深い。
ふと、机の上を見ると置き手紙が残されていた。さっさと着替えて体育館来い、というようなことが書かれてあった。
ぽよん先生=Dカップの先生