入学式
実は以前似た作品を投稿しておりました。アカウントがわからなくなってしまったため、新たに投稿させていただいております。
今日、入学式を迎えた。
新品のブレザーを着て、新品のネクタイを締め、髪をセットし、指定の靴下とおろし立てのローファーを履いた。
何もかもが今までの自分と異なる。当然か、入学式だからね。第一印象って言うのがいかに重要なことなのか。
桜に歓迎されながら校門を抜けると、先生と思われる人たちが受付を行っている。名前を伝え、クラスを教えてもらう。2階が1年生で、クラスは3組、出席番号は17番のようだ。学年ごとに階が1つ上にあがると誰かが言っていた気がする。
教室には結構人が集まっていて、扉をガラガラと開けると大半の人がぱっ、とこっちを見てきた。注目が集まるのが気恥ずかしくてそそくさと席に着くことにする。すぐに視線は元に戻り、教室ではまばらに会話が聞こえる。もうグループができたのか。
……、かなり緊張している。心臓はドキドキしてるし、汗がじっとりと体に纏わりつき、あまり気持ちのいいものではない。とりあえずトイレにでも行こうか、と思ったところで知っている顔ぶれがやってきた。
「藤也、夏那兎」
「同じクラスなのか」
「緊張してるだろ。まあ仕方ないか」
2人は肩に手をぽんと置き、にやりと笑いかけてくる。その顔をみると少し心が落ち着いたので、こっちもにやり顏をお返ししてみる。なんだ、意外と余裕あるんじゃんとか何とか言いながら2人は自分の席に戻って行った。
藤也と夏那兎は同じ中学だったわけではない。寮で入学式前に友達になったのだ。部活は3人仲良くバスケ部に入るつもりだけど、藤也と夏那兎はスポーツ特待生で、レギュラー入りを虎視眈々と狙っている。間違えた。堂々と、狙っている。スポーツ特待生の2人は3月の半ばから練習に参加していたらしい。2軍選手の中に入り込んでレギュラー選手の相手をしてるようだ。2軍選手だってかなりのレベルなのに、そこでやり合えているなんてすごい。
いつの間にか教卓に先生がいた。ちっさ可愛い。特にヒールを履いて160センチなさそうなところとか、その割に胸がおっきいところとか。あれはDかな?
先生は生徒を1列に整列させると、そのまま体育館へと向かった。体育館前で整列すれば良いと思うよ、……とは言わなかった。目立つのは危険だ。
入学式は恙無く進行し、校長先生からの言葉が長すぎて眠くなった等もなく、教室に戻ってきた。クラスは少しの緊張感を保っていたが、やっとそこから解放されたようだ。先生も真面目くさった顔から一転して柔かな顔つきに変わった。
「では、みなさん、自己紹介をして頂きます」