戦闘と発見ですよ
ウルスラの初期起動から10年が経った。
世界に広がっていたアビノウンゲートを一つ一つ破壊し続けた奏(16)とウルスラ。
そのかん奏が死にかけたり異空間に落ちたりボスっぽいの攻略したら隠されたゲートが明らかに!などいろいろあったがそれはまた別の機会に。
残すところアビノウンゲートがあと2つと言う殲滅最終局面に大手一歩手前の所から。
原初の翼を起動して、緑の丘の上空からマッハ11ほどで空をかけるウルスラ。
目的地がマップ上を駆け足で近づいてくる。
「400キロ前方、あの山の中腹か。敵機の状況は?」
肉眼では見えるはずが無いがウルスラの衛生兵器による全地球マッピング及びそのセンサーによって、はるか先の目標物を確認する。
『はい。ゲートが五箇所にばらけて設置されています。敵機は大型輸送機120、中型戦闘機は1200、小型戦闘機は3600、最小型は6000ほどです。それと各ゲートからはアビノウンが毎分100機単位で次々溢れ出てます。気持ち悪いですね。』
「全く同感。しかし約1万かー。毎分100機てのも周りの魔素全部食い尽くすつもりだな。送られてくるアビノウンは増える一方だにゃー。」
目標の山周辺一体は黒い雲が蠢くような状態になっている。圧倒的な物量差があるはずだが、ウルスラや奏には気負うかけらも感じられない。
『空間ごと消し去りますか?それなら旦那、BH弾頭ミサイルがありますぜへっへっへ。』
「環境破壊はんたーい。棒読みであくどい商人にならないでください。それにBH弾頭は砂漠で使って懲りたでしょうもの。」
『まさか砂漠が消え去って湖になるとは思いませんでしたね。』
「海抜がマイナス凄いことになったからわざわざ地下水引いたもんなー。土の中掘って進むなんてもうこりごりだ。」
山がぐんぐんと近づき、おそらく敵機が気付いたのだろう。黒い雲のようになっていた塊が形を変え、こちらに向かい始めた。
『敵機の索敵圏をまたぎました。』
「あのね、普通またぐ前に言うと思うんだ。まあいいや。対アビノウン兵装選択。飛行兵装はウルク30機ドルクマ50機、両肩にデルゴア装備で10発打ち尽くしたら亜空間パージ。高周波ブレード右手ヘカトン、左手ステイル装備。こんなもんかな?」
『了承、アクティベートします。』
白銀の身体に起動式が浮かび、空間に干渉する。
まずウルクが30機召喚され、長い槍のような三角錐型の機体ドルクが50機召喚される。ウルクは砲撃とブレードを備える中〜至近距離型の飛行兵装だが、ドルクは超高硬度高周波針をもって、音速で突撃する超至近距離突撃型飛行兵装だ。
次に起動式が両肩に伸び、4本の砲身をもち砲弾型の各種弾薬を発射するパックミサイルのような形の超長距離魔素収束電磁砲デルゴアが両肩に一門づつ召喚される。
「対敵までの距離は?」
『60キロ切りました。』
「減速停止しつつデルゴア全砲門射撃用意。ドルクを前に突撃させつつウルクを援護に回せ。さあ、殲滅開始だ。」
ウルクとドルク合わせて80機の飛行兵装が減速するウルスラをおいて飛び立ち、完全に停止したウルスラは前方の黒い雲に向かってデルゴアの砲身を向ける。
『ウルク及びドルクは魔素演算領域において管制。本機は空間アイゼンロック、砲門分割、魔道チャンバー内正常加圧中、ライフリング電圧上昇、魔素変換開始、臨界点突破。打てます。』
「挨拶代わりに消し飛びなさいや。てえ!!」
両肩の砲門がそれぞれ4つの方向に別れ、合計8発の空間魔素炸裂弾が轟音と共に空気を引き裂き発射される。
薬莢が排出されると、初弾の炸裂を待たずに次弾が装填され次々と轟音が鳴り響く。
ウルクとドルクを追い抜き、全方位を覆わんと迫りつつある敵機に空間を揺さぶる衝撃が走る。
初段8発で大型から最小型の内1200機が消し飛んだ。
次弾で1000機、次々弾で900機と一度の轟音で約1000機単位で敵機を屠る。
合計で10回の轟音がなり終わったあと、迫っていた敵機はその残骸を地面に降り注がせていた。
『敵機残り大型〜最小型まで約300機。かなり撃ち漏らしましたね。』
「敵さんも障壁展開してるしただでは終わらせねえってことでしょ。」
『ウルク、ドルク殲滅行動開始しました。』
「仕事が早いね〜子供達は。俺らも出るぞ!」
『既にデルゴアは収納済み。高周波ブレードヘカトン及びステイルへ換装してます。』
「お、こっちも仕事が早いや、好きだぜその抜け目ない働きっぷり。」
原初の翼を始動させ、敵陣へと突っ込んで行くウルスラ。
『ならあとでご褒美ですね』
「抜け目ねえ!!」
ウルクやドルクを追随する速度で飛翔し、眼前に迫った大型輸送艦を斬艦剣ばりに切り払い、山の中腹へと敵機を薙ぎ払いながら爆進するウルスラ。
「ゲートはどこかなー?」
ウルスラの前方下部、山の中腹に木々を抉って一部くぼんている箇所があった。その中心にはゲートと呼ばれる転送装置が次々とアビノウンを発進させていた。
「みーつけた!」
狂気の笑みを浮かべながら左手の装備を換装させる奏。
「左手ステイルを換装、ハザル!」
『了承。アクティベート。』
起動式が高速で編まれ、左手にもっていた空間を振動させる長剣が消え、代わりに腕の周りを覆うように6つの砲身を回転させながらガトリングのような銃撃兵装ハザルが召喚される。
「おらあ!!」
秒間350発もの弾丸が雨のように降り注ぎ、転送されてきたアビノウンと共にゲートが薙ぎ払われる。
『環境破壊がどうのこうのは言わないでおきます。』
「しまった!森がなくなっちまう!森さんごめんなさい!私は善良な虐殺者です!」
狂気の笑みから焦りの表情が浮かび上がるが虐殺者に善良もくそも無いのでやっていることはアホみたいである。
『残りのゲートはウルクの収束砲にて破壊完了しています。あとは残り150機を殲滅するのみです。』
「了解、えーと、なんだっけこう言う時になんか言うんだった、ああ!レッツパーリー!!!!」
『また何か変なもの読みましたね?』
左手のハザルをステイルに換装し直し、乱戦になっている空間に飛び込む。
防御力重視の重装甲中型アビノウンを片手剣のみで両断し、敵機の魔素砲を障壁で受け流し、受け流した勢いでまた剣を振るう。
見るものがみれば空間を会場にダンスを披露しているような動きだ。
『?こちらを無視して山を左周りに逃げている敵機編隊があります。どうしますか?』
「逃げることなど許さん、俺らで殲滅する!ここの残りはウルクとドルクで殲滅させる、行くぞ。」
スラスターを開き殺戮空間から単騎飛び出す。
山を右側に回り込むのは速度に自信がある為か、敵機を正面から粉砕したいが為か。
どちらかは分からないが、しかしここで奏の心にあるものは復讐心以外の何物でもなかった。
アビノウンとの距離が6キロほどの所で停止し、両手剣を亜空間へ収納する。
『敵機は大型輸送機一機を含む15機編隊です。』
「ほーら、鬼さんが正面からくるぞー。両腰換装。ナルタリ。」
腰の両側から膝上に起動文字が浮かび上がり、兵装が召喚される。
見かけは腰から太ももを底辺に台形が伸び上がったような形の兵装だが、その開口部が口を開けると均一に並ぶのは誘導型MBH弾頭の群れだ。
『全機補足誤差修正完了。予測では無駄なく一つの撃ち漏らしもありません。しかし、敵機の動きが少し妙です。』
「・・・こっちを見てない?森に何の術式撃ち込んでんだ?」
こちらに飛行している編隊は、ウルスラを認識しているはずだがロックすることなく、地面にに広がる広大な森へと術式を繰り出していた。
『術式索敵、詠唱なし、術式名、魔素還元。』
「!!!」
森が開けた所にアビノウンが差し掛かった時、森から飛び出る茶色い集団が奏のアイモニターに表示される。
「人だ!!敵機ロック!!ナルタリ全弾てぇ!!!!」
言うが早いか敵機をロックアイコンが捕まえ、ナルタリが発射される。
亜音速で飛来する合計30発のミサイルはその空間ごとアビノウンを消し去る。
15機編隊を丸ごと飲み込んだため、空いた空間に爆発的な風が流れ込み、森から飛び出た集団は倒れこんでしまった。
「しまった!!ウル!行くぞ!!」
『了承、集団のバイタルチェック。100%人間と断定しました。医療兵装の使用を提案します。』
「抜け目ないな!そう言う所マジで好きだ!!」
原初の翼はソニックブームが起きるため使えない。スラスターで速度を調節し音速になる少し手前の速度で集団の元へ飛ぶ。
「さっきのアビノウンは彼らを追ってたのか。」
『私たちを排除するよりも人間を消すと言うことが優先されたのでしょう。しかし彼らが私のレーダーに反応しなかったのは何故でしょうか、これが終わったら計器類のチェックを。』
「そうだな。彼らとも話したいことがたくさんある。・・・くぅ〜〜!!!人間だああぁぁいい!!!わあああ!!!」
先ほどまでの狂気的な笑みは何処へやら。
今の奏は孤独から解放され、喜び叫ぶ少年であった。
さっき好きだと言われて機嫌がいいウルスラに、流石に笑いすぎて気持ち悪いと突っ込まれて少し落ち着いたけれども。
何処から人がきたのか?
何故こんな所にいるのか。
次回、お話ですよ。お楽しみに。
作者
テレビっぽい!!
いやー、戦闘シーンは難しいですね!いろいろ読みにくくなっちゃいました(~_~;)
読みやすくなるために描写を結構省いたのですがなかなか読みやすくなりませんね〜(´・_・`)戦闘描写サボったわけではありんせん!!(OvO)キリッ!
奏の年をはっきりさせてませんでした、一話とニ話を調整して現在16になりました!ハッピバースデートゥー奏ー!!
「なんか、適当に重要なことを決められた気がする。」
『そういえば私の精神年齢って何歳なのですか?』
うーんとね、永遠の15歳とかどう?
『奏、アビノウンの次に撃破しなければならない病原菌がいるようです。』
「ああ、もう戻れないあの頃に憧れてるダメダメ君のこと?あーはなりたくねーよな!」
あのー、俺作者なんだぞ!
こんなこともできるぞ!
『外部兵装が!勝手にパージされます!奏、見ないでください!!』
ぶひひひひは!
「何とも色気にかける。」
『・・・2人ともそこを動かないでください。デルゴア換装。』
ちょまちょちょ!チョマテヨ!ちょっと落ち着きた間へ!
「そ、そうだ落ち着け、おそらく今のままでは色気がないだけであと少し先のウルスラなら色気が、」
『何をさらっといらん伏線踏んでるんですか?土下座して詫びなさい。』
ちゅどーんん!!
とかバカなことやりました!!
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