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6.告白は王道で?――いいえ、自爆です

あけましておめでとうございます。


実は新年からルーターの調子がおかしくなり、新年一発目に予定していた更新ができませんでした(言い訳☆)


やっと今日直しまして、更新再開ですっ!


――side 宝香(ほうか)



 正直に言いましょう。ええ。ものすっごく楽しいです。


 鉄道博物館には何度も来ていますから、展示内容自体はそらで言えるくらいに覚えています。なのになぜ楽しいか?


 決まってるじゃないですか!!好きな人と好きなスポットに来て、それだけでも嬉しいのに、在原(ありはら)先生ったら、私の説明をちゃんと聞いてくれて、更に質問なんてしてくれて、マニア心をすっかり引き出されて聞かれてないことまで話しちゃっても、嫌な顔一つせずに聞いてくれるんですよ!!


鴻崎(こうざき)先生、そういえばここには能勢(のせ)電鉄の車両はないんですか?」


「えーと、能勢電鉄の車両そのものは展示されてないですねぇ。同じ形の物はあると思いますけど」


「そうなんですか・・・以前、僕のことを能勢電鉄に例えられたでしょう?」


 ああ、そんなこともありましたね。覚えていてくれたんですね。嬉しいです!


「はい、イメージがぴったり一致したんですよ」


「わぁ、やっぱり一目見てみたいな・・・どんな電車か気になっちゃって」


 ああ、どうしてこうも嬉しいことばかり言ってくれるんでしょう!私の趣味に難癖をつけてくる人はいても、こうやって興味を持ってくださる人なんて滅多にいません。


 やっぱり、在原先生を好きになってしまうのはしょうがないことだと思います。


「じゃあ、ネットで見てみます?写真がいくつか載っているHPを知っていますけど」


「あ、じゃあ、帰りにネットカフェでも寄ります?学校のパソコン室で見るのはマズイでしょうし、僕、自分の所にパソコンないですし、さすがに女子職員寮に行くのは、ちょっと、というか、かなりヤバいので」


「あー、そうですよねぇ。職場恋愛OKとはいえ、寮の部屋に男性を連れ込むのは・・・」


「えっ・・・」


「え?・・・あっ!」


 うあ!ちょ、マズイです!!なに言っちゃってんですか、私!!職場恋愛とか!!口に出しちゃったらマズイでしょうに!!


「鴻崎、先生?」


「あ、そのっ・・・えと・・・他意は・・・あ、あるんですけれども!べ、別に気にしないでくださいっ!!」


 きゃ~~!!ますます何言ってんですか!!他意があるとか!!自爆です自爆!!


 もう、在原先生の顔がもう見れません!!で、でも、どんな顔してるんでしょう・・・やっぱり、迷惑そうな顔、でしょうか。ちらり、と在原先生の顔を確認した私は、ボッ!と顔が瞬間的に熱くなるのを感じました。


 だって・・・在原先生ったら、真っ赤になって私のことを見てたんです。それも、蕩けそうな笑みをうかべて―――。



――side 冬芽(とうが)



「あ、そのっ・・・えと・・・他意は・・・あ、あるんですけれども!べ、別に気にしないでくださいっ!!」


 鴻崎先生はそう叫ぶように言って顔を俯けた。どうしよう。ものすごく嬉しく感じている自分がいる。


 どうしよう。僕を泣かすことなく会話できる人が、遠まわしに僕への恋愛感情があると言ってくれている。


 たぶん、僕達は見てきた世間が狭い。今の今まで、自分の興味のあることに全力を注ぎ込んできたから、自分のことを理解してくれない人に合わせるということができない。


 弓弦ですら理解できない僕の心の脆さ。それが理解できてしまう(一度も泣かされていないのがその証拠だ)彼女も真の理解者はいないのだろう。だから、お互いに傷付け合わずにすむ相手を見つけて、それが恋愛感情に発展してしまっている。


 でも、それのどこが悪い?一緒にいて安心する人が好きな人になったってなんの問題もないじゃないか。他人の迷惑になっているわけでもなし。


 そう思ったら、僕の心は彼女に恋愛感情を持っていると言われたことに対する喜びでいっぱいになった。


「えと、それって・・・告白ととっても、良いですか?」


 勇気を出してそう問いかければ、鴻崎先生は真っ赤になってこくりと頷いた。


「・・・僕ってダメですね。女性に認めさせて安心してから、だなんて」


 僕がそう言って苦笑すれば、鴻崎先生はその意味を理解したのだろう、目を真ん丸く見開いて僕をマジマジと見つめてきた。


「鴻崎先生といると、とても安心するんです。――こんな僕ですけど、お付き合いしてもらえませんか?」


 これが今の僕の精一杯。それでも、鴻崎先生は嬉しそうに頷いてくれた。


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