060 どっしり構えて待ててます?
時間についてちょろっと解説入ります。
ちょいと短めです。
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何しよう……
やることがなくて困ってます。
二人が攫われたのは昼過ぎだったらしいと言うので、消化に優しめなスープに、いや!ガッツリ食べたいっ!の可能性も考慮して肉厚サンドイッチも用意したし、お風呂に入りたい可能性も考慮して沸かしてあるし、ばっちり毛布を用意して待機中だし、それより何より寝たいってなるかもだからベッドメイキングもしてあるし……
風の精霊さん達曰く、特に傷もなく手荒なこともされていないそうだからそこら辺心配してないわけで、いやでも心因的ストレスは思いっきり掛かってるだろうから帰って来たら思いっきり抱きしめるぞ!って心構えだけはばっちりなんですけど……
あと、私が出来ることってなんでしょうね……
さっくり潜入して助けてくるって言ってたのを丸っと信じちゃってるわけで、もしもを考えないでもないけどすごく元気に無事に帰って来る姿しか想像出来ないのも事実。
そうして、後何が出来るかな?なんて考えながら温いお茶を飲んでいるとあほらしいことしか浮かばなくて……
待つのって、苦手っていうのではないけどなんとも落ち着かないんですね。
「今頃、救出したぐらいかなぁ」
この世界の時間は、地球とは違います。
一日は三十時間、一時間は三十分。一秒が地球と同じなら一日が地球で言う所の十五時間しかない計算になりますが、そこら辺どうなのかはわかりません。
そんなわけでこちらで言う二時間が経過しています。潜入してこっそり、なので帰って来るまでに四時間ぐらいは掛かるかなぁと踏んで、色々と準備していたのですが一庶民として育った自分の能力を忘れていましたね!
すっかりやれることをやってしまったので、手持ち無沙汰感が半端ないです。
「あ、御香とか!」
そうです!リラックス出来る香りの御香を準備とかしたほうがいいかもしれないですね!そうだ、何やってんだろう、ご飯とか御香とかの前にまず怪我している可能性だってあるんだ!薬箱薬箱!!
なんて、立ち上がった瞬間、元気な声が玄関ホールに響き渡りました。
「リリママぁー!ただいまなの~!!」
エ、エ、エレースちゃん!!
「エ…エレ゛ーズぢぁぁ~ん!!」
何故なのでしょう、絶対元気に帰って来ると思っていたのに、声を聞いた瞬間びっくりするぐらい涙腺が崩壊です。用意しておいた毛布の存在は記憶の彼方、私は足を縺れさせながら声の元へと走りました。
そこには、熊さんに抱えられてニコニコ顔のエレースちゃんと、鳥さんに抱き寄せられて申し訳なさげな顔をしたレーテ様です。
両手を伸ばして熊さんごと抱きしめると、エレースちゃんが私に抱きついてきます。手の離れた熊さんが、優しく私の背中を叩いてくれました。
「無事でっ……ほんっ………よがったぁ~」
思いっきり頬擦りをすると、エレースちゃんの小さな両手が私の頭に回りこみ、ゆっくりと撫でてくれます。まだ四歳なのに、守られる立場であるエレースちゃんに私が守られているような気持ちになりました。
一通りグズグズと泣いて、少し落ち着くとレーテ様へと目を向けます。エレースちゃんに比べて汚れの目立つレーテ様、きっとエレースちゃんを守ろうとしてくれたのでしょう。
きゅっとエレースちゃんを抱きしめたままレーテ様に向き直り、声を掛けようとした瞬間……
「ごめんなさい、ミーレ様!!わたくしがっ……わだぐじがぁ~」
なんでか、大号泣始まりました。
えっと……ごめんなさいと言うからにはレーテ様が何かやらかした結果こんなことになったと言う事?なんて思った矢先、エレースちゃんが腕の中でもがきます。ちょっと力を緩めると、レーテ様の方を向いて口を尖らせました。
「だから、エレースがごめんなさいだっていったでちょ!ごめんなさいはエレースだからレーテはいいのよ!!」
ん、毎度ながらよくわかりません。
「ですがっ…ですがわたくしがちゃんと……」
「エレースがわるい子したの!だからっ…だから……」
あれ?エレースちゃんも泣き出しそうです。
「ミーレじゃないもん!エレースがわるい子だもんっ!!うえっ……だから、ごめっ…ごめんなさいなのぉ~!!」
うわぉう!?耳元、大音量でエレースちゃんが泣き出します。
私が驚きに目を見開いて熊さんを見詰めると、熊さんも事情を知らないのでしょう。困ったように眉を寄せて「とりあえず、落ち着くまで待ちましょう」と私の背中を押しました。
談話室で腰を落ち着けると、エレースちゃんの背中をポンポンと叩く私と、その横に熊さん。エレースちゃんに負けじと泣きはらしているレーテ様を慰めるように抱きしめる鳥さん。な構図が暫く続いたのでした。
さてはて、何があったやら……
リリーは、自分は強い子だと思っているので自分が不安がっていることに蓋をして気付かない振りをするタイプ。
こういう子って、実は一番弱い子だと思ってます。




