056 愚痴、グチグチ。
7/15 ミス投稿を改稿。
若干短めですいません。
ほんともう、ごめんなさいです……
「それでは、私達はこれで」
毒感知役さんが下がるのに、メイドさんも一緒に場を辞そうとします。
「あ、あの!」
思わずでたおっきい声に、メイドさんがびくっとします。ご、ごめんよほんと~……
「私の勘違いで、怖い思いさせてごめんなさい!」
思いっきり頭を下げます。
「皆さんも、わざわざすいませんでした!」
改めて、毒感知役さんたちにも謝ります。
ごめんなさい以外が言えないよぉ~
「あの…、お気になさらないで、くださいませ。私なんかに、頭を下げられてしまうと……」
メイドさんが、私の肩に手を置きます。優しく上体を起こすよう促されて、私は頭を上げました。
「なんかなんて言わないでください。私が、勝手に毒と勘違いして迷惑をかけちゃったんですから……」
「そんな、それがお仕事ですし、わたくしどもの不手際で殿下にご迷惑をお掛けする所だったのですから……」
「いやいや、それでも私が勘違いしたせいで怖い思いさせちゃったんですから……」
なんて言い合っていると、「あー」なんてマー様の声が掛かります。
「そう言うのいいから。君は不問に処してあげる。だけどね、ボクの許し無く喋ってるのは……」
そこで剣呑な目になります。そうでした。王族の許しも無く勝手にメイドさんが喋るって駄目なんだった!
「わ、私のせいですよ!私が声かけたから!」
「はいはい。ミーレリリーのせいってことでこれもいいから、厨房の責任者連れておいで」
あぁ、意外と話が通じて良かった……。ほんと、これ以上メイドさんに迷惑かけたくないですからね……焦った……
「は、はいっ」
メイドさんが頭を下げて、毒感知役の方々と部屋を退室しました。
「全くさぁ」
あああ、マー様の視線が痛いです。
「やー、あのぉ~……」
「なんで、毒とそれ以外がわからないわけ?」
「なんでと言われても~……よく言うじゃないですか、毒にも薬にもなる~とか……」
事実、薬草と言われるものも配合の仕方によっては毒になるわけで……
しどろもどろにしていると、マー様の溜息が、そりゃあもう盛大に吐き出されました。
「修行ね。毒とそれ以外がわかるようになること。これ厳命。わかった?」
「は、はい……」
と言っても、修行ってどうすればいいのか……
「レーシ、グラフを今すぐ連れてきて。魔法学に関してはアレより秀でているの居ないから」
「はっ。……しかし、私が出ては護衛が……」
「いいよ、大丈夫。部屋から出ないから」
「かしこまりました」
と、レーシさんが礼をして部屋を出て行きました。
「ほんとは君とグラフを一緒にしていたくないんだけどねぇ~」
「はぁ」
「いちゃこらされるとムカつかない?」
「いや、仕事中にいちゃこらなんてしませんよ……」
「君等にそうする意思は無くても勝手に空気が甘くなるじゃない。ほんと勘弁して欲しいよね」
マー様がまたも盛大に溜息をつくと、両手を頭の後ろに組んで椅子に寄りかかります。
「マー様も、王子妃殿下といちゃこらなさればいいんじゃないですか?」
「やめてよ。ファーラとは政略結婚でなーんもないんだから」
「や、そこはゆっくり愛を育むというか……」
私の返答に、ものすごぉぉく嫌そうに顔を顰めます。
「あの脳内お花畑のファーラと?王子さまは斯く在るべきってボクに理想を押し付けてくるあのファーラと?誕生日はローズを年の数だけプレゼントして欲しいとか言っちゃうあのファーラと?」
いや、可愛いと思いますけど。乙女じゃないですか。
「王子妃なんだよ?いずれ王妃になるんだよ?あれでもう四十~……いくつか覚えてないけど年だけ言えばおばさんだよ?もうちょっと、しっかりしてくんないとさぁ」
「それはほら、マー様がご指導すればいいんじゃないですか?」
「やだよ。ボクが何か言うたびに目ーウルウルさせちゃってさ。『わたくしのこと、お嫌いなんですの!?』とか言うんだもん。ほんといやんなる。嫌われたくなかったら小説なんか読んでないで王子妃としての仕事をしろっていうの!」
ガバリと身を起こして、執務机をバンと叩くマー様。じゃあ、マー様は王子の仕事してんのか、って一瞬突っ込みたくなりましたけど、書類をパラパラ、判子をポシポシしていることもあるので、仕事はしてんの…かな。
「王も、王だよ。髪の色が白いってだけであんな女……宛がわれるほうの身にもなってほしいよほんと」
「マー様たちは私達普通の人間と違って長命なんですから、ゆっくり変わって行けばいいじゃないですか。何か困ったことがあるわけじゃないし、今までこの状態で平和だったんですから」
「変える必要のある女を宛がうぐらいなら、最初っから使える女を探せばいいだけじゃない。時間はたっぷりあるんだからさ」
「いや、だって神の血筋の方々の中からお娶りになる訳ですから、探すって訳にも」
「は?なんでわざわざ血縁者から選ばなきゃいけないの?」
へ?いや……だってあんたら、私らと種族違うでしょうに。
「あー、これ国家秘密だった」
ちょっとぉ!危険なことに首突っ込ませないで下さいよぉ!
なんか、マー様ニヤってしてるよ!ニヤって!絶対わざとだよこれ!!
「ねぇ、ミーレリリー?」
「は、はい?」
あー、いやぁな顔してる。いやぁな顔してるよこの人!
「長命になりたくない?」
「なりたくないです!全力で!私は、普通に生きて普通に死にたいです!『縁側』でお茶啜りつつ、「いい人生でしたねぇ、じいさんや」「そうだねぇ、ばあさんや」って言い合うのが理想なんです!二度目の人生はそんな感じで幸せに終わりたい所存であります!」
うっかり、びしっと敬礼してしまいました。
「えんがわって何?」
「あー、テラスですテラス。そんな感じのやつです」
ジャパン語がうっかり出てたみたいですね。
「ふーん。あーあ、君が結婚してなければなぁ……」
なければなんですか……既にあーたも結婚してるでしょうが……
「でも王前に誓うんだから、あの人だったら取り消せるんだよねぇ。ボクらの結婚も、君達の結婚も」
いーやー!やめてー!!
「ま、君の髪の色じゃギリギリアウトだけどさ」
「……そりゃ、良かったです」
「不遜」
「うぐっ……」
「そんなところが気に入ってるんだけどなぁ」
もういや、この空気……




