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転生チートの意味がない。  作者: おうさとじん
5章:王都で大奮闘…できた?
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050 夜会は恐怖の連続です。

 そうだ……、絶対マー様は王宮の関係者だ、高確率で王族だ!って思ってたのに、すっかりマー様の存在を忘れていました!


 「これは、マセラーセト王子殿下……」

 ちょ、今、熊さん王子殿下って言った?王子殿下って?おま、それ、王子さまですか、そうですか、王子さまですか。あの、傲慢なお坊ちゃまは王子さまなんですか……そりゃ…また……

 私がフリーズしている間に、熊さんがマー様と何かを話し、そして二人が私を見つめています。頭はフリーズしていましたが、なんとか耳は機能していたので、私は焦りつつも会釈をします。

 「お久しぶりでございます、マセラーセト王子殿下。その節は……」

 「やだなぁ、マー様って呼んでって言ったのに。それに、あの時はお忍びだったから、あんまり大きな声で言わないでね」

 耳打ちするような仕草で口元に手をあて、マー様が無邪気そうに笑います。いや、無邪気そうなだけで、私には邪気たっぷりに見えるんですけどね……

 「殿下、流石にこの場ですから」

 と、後ろに控えていた団服の人がマー様に声をかけます。

 あ、この人「いえ」の人だ……。そうか、マー様付きの王警団員だったんですね……確か名前はレーシさん、だったよね?

 「しょうがないか」

 マー様は肩を竦めると、給仕の人を呼び止めます。何かを伝えると、給仕の方は急ぎ足に去りました。

 「ほら殿下、挨拶は済んだんだし、ここじゃ守り辛いから早く四公のところに戻りなよ」

 なんで、王子さま目の前にして、お前はいつも通りなんだ鳥。っていうか、お前さんも王警団員だったのか、鳥。

 「お前は本当に不遜だよね。首飛ばしてあげようか?」

 「それって、解雇って意味じゃないよね?まぁそうなったら飛んで逃げるからいいんだけど。そしたらミーナ、一緒に逃げようね!」

 話しかけられたレーテ様が、「え?え?」と挙動不審な声を上げます。そう言えば、王子さま登場から沈黙していましたが、あれか、フリーズしてたんですね。わかります、その気持ち。

 「あぁ、コレがお前の運命のなんとかだっけ」

 「コレって酷いな。美しいボクのミーナに向かって」

 「確かに美人だけどね。僕からしたら、お嬢さん、君のほうがよっぽど好みだから」

 そう言いつつ、マー様が私の手を取ります。今度は私が「え?え?」と挙動不審な声を上げてしまいました。

 熊さんが、ピクリと動いたのが目の端に映りましたが、そんな熊さんをマー様がちらりと見つめ、熊さんは動きを止めます。

 「ふーん、花の指輪か……。随分と熱々なわけだね、グラフ」

 マー様が私の指に光る指輪を見て、そう言ったかと思うと、手の甲に軽く唇を寄せます。

 「マセラーセト様……」

 熊さんが地を這うような重低音で呼びかけると、マー様は私の手を離し、肩を竦めました。

 「ただの挨拶だよ」

 やばい、この空間から早く抜け出したい。


 いつもは四公に囲まれて特別に用意された王族用のスペースにいるはずの白髪(ほんの少し赤みがかっているような気がしないでもない)が、ホールの真ん中付近にあるとなって、周りがざわめいています。そして、そんな白髪が私の手にキスしたせいで、多分、私、今、凄い、注目、されてるよ!!!

 これ以上、私に何かされたら堪らんとでも言いたげに、熊さんが右手で私の腰に手を回して引き寄せ、左手で、フリーズしていた為に上がりっぱなしだった私の右手を取ります。これ、結婚式の写真でよく見る花婿花嫁のポーズですね。

 まぁ、このくらいの密着なら私たちの他にもチラホラやっている人がいるので問題はないのですが、熊さんがこんなに人目のある場所で、こういうことするっていうのにちょっと内心驚きです。でも、熊さんのぬくもりを感じられるおかげか、ほっとしました。

 「あーあ、本当に熱々だなぁ」

 つまらなそうに、マー様が腕を組みつつぶーたれます。そこからみんなして無言です。だって、熊さんは元々、威厳熊の時は無口気味だし、私もですが相手が王子さまなので下手なことが言えません。ちなみに、レーテ様ですが、既に職務放棄した鳥さんに引っ付かれてなにやら大変なことになっております。鳥さんが一番この沈黙を破る力を持っていると思うのですが、ああなったら使い物になりません。あ、そうかレーシさんが……


 ひぃ!睨まれてる!?な、なに!?私なにかした!?


 私が少し、ビクリとしたのが伝わったのか、熊さんが私の視線の先を追い、そんな熊さんの様子にマー様も視線をレーシさんに向けます。

 「どうしたのレーシ、そんな顔して」

 「そんな顔とは……?」

 「そうだね、言うなれば神の眠りを妨げる者と言わんばかりの眼光でお嬢さんを睨んでる顔かな」

 マー様の表現はまさにピッタリで、そりゃあもう、思いっきり睨まれていましたよ私……

 「あの、わたくしがなにか……?」

 熊さんの手をきゅっと握りつつ、おずおずと聞けば、やっぱり「いえ」と返ってくるだけでした。もうレーシさんのこと心の中でイエさんって呼ぼうかな……。そんなことしてたら、いずれうっかり口にだして「イエさん!」とか本人の目の前で言っちゃいそうだから、やめて置こう。熊さんの同僚なら会う機会があるかもしれないですからね。

 沈黙のなか、そんなことを考えていると、四人分のシャンパングラスを持った給仕さんが現れました。先ほど、マー様が給仕さんに話しかけていたのは、お酒を用意する為だったんですね。鳥さんとレーシさんはお仕事中なので、呑めるわけも無く、マー様、熊さん、レーシさんがたしなめたおかげで鳥さんから解放されたレーテ様と私が受け取ります。

 「それじゃあ、この出会いに乾杯クラーシャ

 マー様の声に合わせてグラスを上げましたが、その物凄い何かを含んだ物言いほんと勘弁して欲しいです。寿命縮みそう。

 ぐいっと一気にマー様がお酒を飲み干して気付きましたが、マー様未成年じゃね?いや、そりゃこの世界厳格に年齢で飲酒の規制とかしてないけど一応成人(十五歳)までは嗜まないのが暗黙のルールって言うか……

 「足りないな、もっと持ってきて」

 マー様の指示に、給仕さんが頭を下げて急ぎ場を後にします。

 「あまり飲まれては」

 「酒なんて水と同じだよ。あぁ、今のお酒美味しかったでしょ?僕の生まれ年のだから」

 明らかに、私に話しかけているのでつっかえつつも「えぇ」と返事をします。

 「でしょー?五十年ものだからね」

 と、自慢げな顔よりも、五十年という言葉が右から左に耳を通り抜けることが出来ずに脳に留まります。明らかに十代前半の容貌をした少年の生まれ年のお酒が五十年ものって、どういうことですかね。それ、言葉通りに受け取ると五十歳ってことになるんですけどね。

 「僕の聖誕せいたん五十年の宴で結構だしちゃったのは失敗だったよ。やはり神の子の生まれ年は全てが美味くなるものだからね」

 なんか、ご丁寧に説明ありがとうございます。あぁそうか、そうですよね。王族は神様の子供ですからね、私たちと寿命が違うんですね。そっかー、王族は特別っていうのは知ってたけど、寿命が違うってのは知らなかったわー……マー様は私が過去世を合わせても追いつけない年上だったんですね。びっくりした!!

 「あ、きたきた」

 もしかすると、常識だったらしいマー様の年齢に驚いているのは私だけで(だって、村育ちだったし…しょうがないじゃん……)周りは平然としています。

 なんだかびっくりと混乱と恐怖等の感情を入れ替わり立ち代り感じてあわあわしどうしだったのですが、身に馴染んだ気配が私を冷静にさせてくれます。

 その気配は、ホールをクネクネと曲がりつつ近づき、今まさにマー様の手へと受け渡されました。

 あれ?これ不味くね?と思った瞬間、うっかり素で発した言葉が波乱の始まりなのです。


 「あ、それ毒入ってますよ。飲んじゃ駄目です」

神の眠りを妨げる者=親の敵 的な白の世界ことわざ。

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