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転生チートの意味がない。  作者: おうさとじん
1章:奥様になりました。
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003 熊さんに出会いました。

2013/04/28 修正。

流行のドレスの描写を詳しくしました。

 恥かきました。どうも、リリーです。

 恥ってのは言わずもがな、ふぁっしょんです。ふぁっしょんですよ!たかが十年足らずで物凄い発展しちゃってたよ!

 シュミーズの上にコルセットでぎゅぎゅぎゅを腰を締め付けてグレート・ファージンゲールまじやめろ。あ、グレート・ファージンゲールっていうのは要するにパニエです。円筒形の馬鹿でかいパニエです。それを装着してからペティコート着て、ドレスです。広がり過ぎたスカートが、っていうかグレート・ファージンゲールまじ邪魔です。歩くとぶつかります。さり気無く鉄製だから当たるといてぇっす。

 そんなドレスなご婦人方の間で今ナウい髪型がうなじを見せるスタイルらしいですよ。プーフっていうロール巻きな感じの髪型で馬鹿でけぇ帽子被ったり、何故か頭の上に船作っちゃったり!しかも自分の髪色を濃くしたドレスが常識なんだそうです。十六世紀なの?十八世紀なの?統一しろこんにゃろう!!

 私のせいか!ベル○ラで褒められたからって色んな時代の服装描いちゃった私のせいか!

 ……私のせいですね。おーあーるぜっと。

 全部外した!ドレスは青のマーメイドラインでしたよ!髪は下ろしてるし!まぁね、ドレスはね、正直私のせいでもあるんだ。デザイン自体は私がしたからね。胸元はレースで隠す筈だったんだけどね?でも清楚には纏めたんだよ!まぁ…いい、そんなことはいいさ。

 パーティー会場です。ヴァーラント卿のお屋敷です。土地奪われたのは、何代も前の話なのと、お父様がアレなので、特に現当主であるヴァーラント卿との悔恨はありません。逆にほぼ関わりもありませんが。

 そうそう、着くまでが大変でした。

 まず、パパン、何故か着替えてない。ママン、私のエスコート役が居ないことに気付いてない。そして二人共に、馬車の手配を忘れていました。

 焦ったよ!めっちゃくちゃ焦ったよ!?急いでパパンを着替えさせて、近くの馬車を緊急手配して。オロオロするママンを宥めつつ、貸衣装を借りてきて近所の幼馴染(庶民)に無理やり着せて引っ張ってきて……。ちなみに、幼馴染はガチガチでしたが、会場に入ったらこっちのもんで、裏口からそっと逃がしてやりました。すまんエーリ。

 お料理美味しい。流石ここら辺一帯を占める貴族さまです。金持ちだもんな。むしろ、我が家で作った麦が確かこの家に納品されているはずだ。と言うことはこのパンが美味いのはうちのおかげだ!

 あ、ちなみに私は一人で壁の華をしております。もさもさ食ってるよ!お父様とお母様は持ち前の度胸というか天然と言うかで数少ない知り合いから輪を広げ、何故か大きな輪の中心になってます。

 淡いとはいえ原色なので、人の心を惹きつけるのがお上手なのです。ちなみに紫は敬遠されがちな上に、すでに命卵四個持ちなのが広まったので、特に誰も寄ってきません。良かったね!泣くよ!?

 まぁ、そんな訳でカーテンに隠れつつスミーコでもさもさ美味しいものを食っているわけです。コルセットさえなければもっとガッツリ食うのに……

 おっと?ダンスミュージックが流れ出しました。今がチャンス!さっき運び込まれたデザートを取りに行きます!

 なるべく空気になるよう、スネークです。あ、あれ系のゲームは苦手なのでやったことありません。いつかやろうと思ってたのになぁ……

 なんて思いながら、テーブル到達です。おぉ、これはまさにショートケーキ!ゲッツ!

 キュピーン!と目を光らせ手を伸ばした瞬間、なんか急に影が差した。

 いかん!接近された!焦って見上げると、そこにいたのは熊でした。

 えぇ、まごう事無き熊でした。

 あーるう日ーパーティー会場のなぁかー熊さんにーでああたー……

 「っ……申し訳ない」

 声が、だんでぃーだ!そして何にたいして謝ってるのか良くわからん!

 「いえ?」

 そりゃあ語尾にハテナがついちゃうのはしょうがないよね。

 明るい茶髪でもみ上げとヒゲの境目が無い熊さんが私を凝視しています。目線の先を追えばあーた、胸元ですよ胸元。

 おっぱいか!熊さんはおっぱい星人のようです!フフフ、友達にFカップがいたのでそんなに自慢出来ないかもしれんが、私は多分Cカップ強だ!見てしまいたくなるのも致し方あるまいが、見せん!

 ささっと、ショートケーキを手に取って、「では」なんて上品にいいながらそそくさとその場を後にします。

 なんか「…あのっ!」とか聞こえた気がするけど、きっと気のせい。熊さんと形容したからには、熊さんは大きいです。ありゃ、うつつでいう百九十センチを超えていそうです。かく言う私は多分百六十ぐらいです。でもビビリはしません。なんせ、転生前の私の父が百九十ピッタリでしたから!ちなみに今のパパンも百八十くらいあります。デカイ奴には耐性あるんだぜ!

 さっさと避けたのは、熊さんがかなり強い原色組みだからです。茶髪ですよ!明るめとは言え、結構濃い目でしたよ!日本語破綻してる!

 あんな、強い原色と一緒にいたら注目の的です。と言うか、定位置に戻って、ケーキ食いつつ観察して見ると、物凄い存在感を発揮してやがる熊さん。ひげもじゃのせいばかりとは言えなさそうです。熊さんも私と同じくスミーコに居りますが、人望厚いらしく、人がたかってます。そんな熊さんを遠巻きで見ている方々も沢山いらっしゃいます。ちなみに私は逆に全然注目されません。これが原色との違いです。

 妙な存在感を発している熊さんのご友人方は皆さんダンディーです。平均年齢三十代後半といったところでしょうか。ややしょげているのか、友人その一が熊さんの肩を叩いて励ましているようです。きっと、初対面の女性の胸元を見過ぎたことを恥じているのでしょう。恥じろ!

 友人その二がボソボソと熊さんに何か話しかけています。

 その声を聞いた熊さんがハッ!と顔を上げました。うぉっ!目が合った!むしろ友人連みんなこっち見てやがる!

 どどど、どうする!?

 と、とりあえず笑っとけ!!

 べったりと背中に張り付いている猫さんの力を最大限発揮して、お嬢様スマイルです!どやっ!と効果音が鳴らんばかりに微笑みつつ、すぐ目線を外します。

 もう見ない!もう見ない!だから、こっち見んな!手元のケーキに集中している振りをしつつ、ゆっくりカーテンの奥に隠れます。

 と、どんっと背中が何かに当たりました。壁ではない!壁よりやわこいぞ!

 「危ないよ?リリー」

 「お、お父様!?」

 なんでそんなとこにいるんだよ!振り向けばそこに、柔和な笑みを浮かべたお父様がおりました。壁とカーテンを交互に見ます。袋小路状態なカーテンの超奥にいるとか、何してんのこの人!?いや、私も人のこと言えんけど!

 とりあえず、奥からでます。相手が父親とは言え、こんな奥まったところに居るのが見られたらはしたないからです!

 「お父様疲れちゃった~」

 なんていいながら、フラーと人波に攫われて行っちゃった~

 ……何しに来たんだパパン……


 その後、とくにこれと言って何かあるわけもなく、あ、いや、行方不明のパパンをママンが探してたりはしましたが、つつがなくパーティーは進行しました。

 ちなみに今日の主役はうちの両親です。なぜかヴァーラント卿から土地をもぎ取ってきました。わけがわかりません。もぎ取った土地は麦畑にするそうです。開墾大変だー……

 とにかく疲れる一日でした。

 こう、精神に来たね!貴族とか無理!ほんと、冒険物語の主人公とかやりたかったよ私は!昔からRPG大好きっ子で将来は勇者になるの!とか言ってたのにね。フフッ……

 まぁ、無理なんだからしょうがないよね。諦めたさ。

 「いかんいかん」

 無駄転生チートを恨んでも意味無いからな。

 そんなことより、さっさとドレスを脱ごう。折角つめてきた美味しい物をさっさと腸に回してしまわねば。

 そんな訳で、ドレスを脱ぎ脱ぎ、寝巻きを着てベッドに潜り込みます。さくっと両親がせしめて来た土地をどう開墾するか考えつつ、私は眠りについた。


 翌日、とんでもない話が舞い込んでくることも知らずに……

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