031 エアージャズに乗せて。
ごめんね、Rにはなりませんでした。でも次回は確実にR15。
「早く入りなよ」
実は熊さんが鳥さんによって無理矢理に私の部屋へと引っ張ってこられての、この状況です。鳥さんは私たちが部屋に入るまでここで見張るらしいですよ?
「いや、あのですねウォーク……」
「ゆっくり夫婦なんでしょ?それはわかったけど、それにしてもゆっくりし過ぎなんじゃない?口付けもまだってどうなの?」
「あー…いやぁ……」
だってまだ七日?あれ?八日?九日?ん?もう感覚無いけど、それぐらいしか経ってないですよ。
「いやあのーも、あーいやーも聞き飽きたから、さっさと中に入ってよ。ボクも眠いし。ほらほら」
なんて、私たちをドアの向こうに押しやり、鳥さんはドアを閉めてしまいました。
「……魔法の力を使って監視とかって出来るんですか?」
知識が全くといっていいほど無いので、聞いてみると、熊さんが唸ります。
「どうでしょうね…、学長が風の精霊を使役しているのは見たことがありますが、本来精霊は難しい指令などを受けることはありませんから……」
あぁ、じゃあ監視とかは気にしなくていいんですね。中で何が起こってるか知られるとか激しく恥ずかしいですからね。よかった。……あれ?私ちょっとほにゃららが満々?違いますよ!違いますよ!
「まぁ、その…私は……」
なんて言いつつ、熊さんが扉に手を掛けます。あ、出てくき満々ですね。私がっついてないよ!がっかりもしてないよ!してないったら!
「…………?」
熊さんが扉をガタガタさせています。鍵は内鍵ですし、掛けていないから開くはずなんですけど……
『やっぱりね。悪いけど締め切らせてもらうから。朝には開けてあげるよ。それじゃ、おやすみ二人とも』
おまー、とりー……
「ええと…、お邪魔します」
熊さんがこちらを振り向いて頭を下げました。なに、その挨拶。ちょっと萌えちゃったよ。
「お構いも出来ませんが……?あ、お茶は出せ……」
ないな。お湯無いわ。お茶の葉も無いわ。
「水は出せます!」
水差しがあるからな!
「……そうですね」
「…………」
なに、この空気どうすればいいの!?
「あぁ、そういえば……」
熊さんが鍵を取り出し、ツカツカと部屋の隅にある扉に向かいます。
「あ!そっか」
そういえば、隣が熊さんの部屋で、扉一枚で繋がってるんでした。すっかり忘れてたね!
「リリー、鍵はありますか?」
そう、この部屋は両方に鍵が掛かってて、私の部屋から私の鍵を、熊さんの部屋から熊さんの鍵を使わないと開かない仕組みになって…るから開かないじゃん!
「鍵はありますけど……」
「あ…開きませんね……」
フィオは混乱している!状態ですね。私もか。
「力技で……」
熊さんが、考え込むようにポツリと呟きます。
「いや、まぁそこまでしなくても……別荘では一緒に寝ましたし」
「…そうなのですが……」
うん、その後の「あんな二人を見た後で……」って言葉しっかり聞こえてますからね?
「着替えちゃいましょう」
私はサクサクと大型クローゼットに向かいます。てか、扉閉めて着替えてしまいます。なんでかここ、熊さん用のガウンとズボンあるのよね。いや、なんでも何もかもしれないけど。
「はい、どうぞ」
着替えを熊さんに渡します。なんか、別荘初日を思い出しますね。でも、熊さんもスムーズに着替えに向かいましたから、慣れてきたのかな?
戻ってきた熊さんとなんとなく向かい合ってソファに座ります。なんだろう、緊張しまくっていた別荘と違って、この変な沈黙。ちょっと辛い。
「あ!そうだ!お酒ありますよ!」
まだ十六ということもあって私は嗜まないのですが、何でかも何も無く、熊さん用のウイスキーっぽいものが常備されてるんですよね。ちなみに、熊さんのお気に入りだと言うことはアルシラさんが教えてくれました。熊さんもたまーに飲む程度だそうですけどね。
「あーしかし……」
「まぁまぁ、一杯」
私は戸棚を開けてさっさとお酒の用意をしてしまいます。この空気なんとかしたいからね!ほら、経験無いけど、宴会って楽しいらしいし!
「どうぞ~」
ロックグラスって言うんでしたっけ?小さめのグラス二つにトクトクとお酒を注ぎます。
「はい、乾杯」
私の勢いに押されて、熊さんもグラスを掲げます。ちなみにグラス同士を合わせたりはしないです。こちらの世界の豆知識っぽいものです。
「くぁっ、きついですねこれ」
普通に一口飲んだせいで、ちょっと喉がヒリヒリします。
「リリーは割ったほうがいいですね」
熊さんが立ち上がって、水差しの水を少し私のグラスに入れてくれます。
「ありがとうございます~」
熊さんはふわっと笑って、またソファに腰掛けます。それから少し、今日あった事について二人で和やかに会話をしました。
「なんか、これでピアノのジャズとか流れちゃったらいい感じなんですけどね~」
「ぴあの?じゃず?」
「あ~ピアノって言うのは大きな楽器のことで、八十八音出せる楽器なんですよ~」
気持ち良くほろ酔い気分です。
「八十八音ですか、すごいですね」
「ですよねぇ……。で、ジャズっていうのは音楽の種類なんですよ。こう、いい雰囲気のいい感じな……説明難しいです……あぁ、宮廷舞踏曲をもっと大人にした感じの?」
「大人にした感じですか?」
「ほら、宮廷舞踏ってカチってこんな感じじゃないですか」
私は立ち上がって、ポーズを取ります。あんまり上手ではないですが、お父様と良くワルツっぽいダンスをしていたので、出来ないことはないのですよ!
「音痴じゃなかったら、歌って説明出来るんですけど……」
そういいつつ、私はワルツっぽいステップでくるくる一人踊ります。
「こういう感じが宮廷舞踏曲だとすると、ジャズは~こう?」
あれ?これチークダンス?でもジャズってそんな感じだよね?
「あの…よくわからないのですが…すいません……」
なんて言いつつ、熊さんが顔を背けます。あれ?なんか空気落ちてきてます?ほろ酔いのつもりが結構、私酔っ払って突っ走ってました?と、妙に不安になると、熊さんが立ち上がります。
「その…ジャズの感覚……その……」
あ、な~る。わかりましたよ、ホームドラマな感じですね。お父様とワルツっぽいダンスをして、それをお母様が横でリズムを取りながらにこやかに見てるのとか、本当にヨーロッパのホームドラマか!って思いましたからね。実はちょっと熊さんにも期待してたんですよ。やったね私!って、やっぱり結構酔ってますかね私。
「こうですよ!」
私は立ちんぼの熊さんの手を握り、体を添わせます。
「ち!近くないですか!?」
「ジャズってこんな感じです。チークダンスって言うんですよ~」
「チークダンスですか……」
身長差がありすぎて、私の頬は熊さんの胸元です。
「チークって頬って意味で」
ゆらゆらとゆっくり左右にステップを踏んでいると、次第に腰が引けていた熊さんが調子を合わせられるようになります。
「本当は、頬と頬を寄せ合って踊るからチークダンスなんですよ」
「頬と…頬をですか……」
と、熊さんが屈みます。
「こう…ですか?」
ちょ!超絶美声バリトンが耳直撃したよ!?
「うひゃ!?」
変な声でたよ!
「……っふ」
そのまま耳元で笑われたよ!ア○オさんか!ジョ○ジさんか!ギロ○大好きです!って違う!
「リリー……」
ほふぅ!耳が!耳がぁあああ!
と、混乱していると、熊さんの顔が少し逸れます。釣られて私も熊さんの向いた方を見ると、時計が目に入りました。実は時間の配分も現と違かったりするのですが、そこら辺は機会があればということで!今余裕無いから私!
「もう、こんな時間ですね……」
「そ、そうですね!」
そろそろ深夜に掛かろうかという時間になってますね!ってあれ!?いつの間にかベッドに近い位置に移動してるよ!?熊さん策士!?策士なの!?
と、ふわりと体が浮きました。うん、へたれ熊さんがスマートなお色気紳士になっている気がしますよ。いや、でもお姫様抱っこじゃない辺り、やっぱりへたれ熊さんなのかな!子供にするみたいに両脇を支えて持ち上げられましたからね!
ぽすっ
ってぇえええ!!!ベッドに寝かせられたですよぉおおおお!!!
手持ちのJAZZ(100曲とか有名なのいれてある奴)聴きながら書いてたらこうなった。私のせいではない。
読み返したら、すごく恥ずかしくなった。JAZZという音楽のなせる業だと思う。私のせいではない!




