030 おやすみなさいの前にやること。*R12くらい?
脱字修正致しました。
「フフ、フフフ」
と、ちょっと壊れた声を上げたのはレーテ様で、曰く、やっぱりわたくし、守るとか無理ですわ。きっとエレースとわたくしの仲良くなるというのは、こういうことですのよ、フフフ。だそうです。つまり、同レベルで戦うみたいですよ?
「さぁ、一緒に寝ましょうね、エレース」
「やーよ!エレースはフィオパパとねるのよ!」
そう、エレースちゃんはいつも熊さんと寝ています。なので、この五日は私は一人奥様部屋で寝ていました。ママって呼んでくれたから!そろそろ一緒に寝たいななんて思ってたんだけど!レーテ様に先越されるみたいです。
「駄目よー、グラフィーオ様はミーレ様とお休みになるんですもの」
へ?
「じゃあ、エレースもフィオパパとリリママとねるもの!」
「駄目よー、わたくしと一緒に寝るのよ」
「やーよ!」
「駄目よー」
なんて言いながら、レーテ様はエレースちゃんをずるずると引き摺って行きます。エレースちゃんも本気の抵抗はしていないようですが、大丈夫なのでしょうか?オロオロと二人で追いかけます。
「じゃあ、こういうのはいかが?先に寝たほうが勝ちで、明日ミーレ様の隣で朝食をいただけるの」
ずるずる引き摺りながら、レーテ様が提案します。それって賞品になることなのか?と思わなくも無い昨今ですね。
「エレース絶対勝つもん!」
勝負事好きな子って多いですからねー。そんなに魅力的な賞品じゃないのに、乗っかっちゃいましたよエレースちゃん。ほんと、可愛いっ!
「では、勝負ですわね」
これで双方同意の上、一緒に寝るのが決定です。まぁ、穏便に事が進んでよかった…のかな?
途中で別れるもの何だったので、熊さんと私もお部屋の前まで同行な流れになりました。どうせなら、扉の前でおやすみなさいの挨拶したいしね。
「やぁ、ようこそ!」
「……なんであなたがここにいるのよ」
本日、レーテ様がお休みになる部屋の前に鳥がいました。げんなり声はレーテ様です。レーテ様の達てのお願いで棟を分けたはずなんですけど、なんでここにいるんだろうね、鳥。
「だって、今日はここに一緒に泊まるでしょ?」
なんか変なこと言い出したよ鳥。確か、「おやすみ、愛しのミーナ」とか言ってメイドさんに部屋案内させてたはずだよ鳥。
「エレースもいるなら安心だね!」
自虐!?それはボクに襲われる心配が無くてよかったね!って感じの自虐!?
「馬鹿なこと言わないで!」
「冗談だよ。お休みの挨拶を貰い忘れたからね、だから来ただけ」
途端に、レーテ様が真っ赤になります。あれっすか、おやすみのチューってやつっすか。
「ここでいいからさ」
と、鳥さんがほっぺたを指差します。
「そんなっ…だって……」
頬を染めながら、レーテ様が私たちをチラ見します。あぁ、美人が乙女るとほんと破壊力抜群ですね。危うく私が落ちかけそうです。元々美人さん大好物ですからね!百合ではない!断じて百合ではない!
「ちょっとこっちいこうねー」
私はエレースちゃんの目を塞ぎつつ、距離にして五メートル、廊下の曲がり角まで下がります。熊さんは誰よりも空気を読んでいたのか、既に角の向こうにいました。こういう時は素早いな熊さん。
「なにするの?」
可愛らしくエレースちゃんが首を傾げます。
ん、その疑問に答える為のママ度が私にはまだ足りない。なんせ、現と違って、人前でチューしない文化ですからね。説明しようにもテレビや写真のような媒体もないし……。普通は子供のうちに両親がちゅーしてるのを間近で見てキスを知り、ごにゃごにゃはほら、ね?体験した子が自慢がてら説明したりとかで覚えることですからね。
「んっと……」
ちらっと熊さんを見ると、ふわ毛からほんのり赤い耳を覗かせつつ、頬をポリポリしています。
「ちょっと今は上手く説明できないから、今度教えてあげるね。それでいい?リリママ上手に説明できるようにお勉強するから」
変に取り繕うよりは、この方がいいでしょう。エレースちゃんが素直に頷いてくれます。
納得してくれたところで、エレースちゃんを真ん中に挟んで、三人とも壁に寄りかかります。なんか、むしろこのまま三人で寝室に行っちゃってもいい気がしてきました。いや、でも折角折り合いの悪い(と思われる)エレースちゃんとレーテ様が一緒にお休みするんだし、待ったほうがいいか……
「終わったかな……」
ちらっと、角から顔を出します。
『ほほって言っ……あっ…ダメっ…んっ……』
『だって…ミーナがこんなに……魅力的なのが…悪いんだよ……』
おまちょー、なにやってんのよー、めちゃんこベロちゅーかましてんじゃねーかー。
「リリー?終わってますか?」
正直この時、私熊さんの声聞こえてたんですが、こう、出歯亀?だってねぇ?ねぇ?わかってくれるですよねぇ?
「リリー?」
熊さんが私の頭一つ上から、私と同じように二人を見ます。
「なっ……」
ん、硬直だね。だって熊さんだもんね。
『はやく全部…ボクのモノにしたいのに……』
『んっ…それは……』
『わかってるさ…っ……だから、これぐらいは…許してよね』
何この、え?なに、どうすればいいの?ここはやっぱりエレースちゃんを連れて戻った方がいいですよね?ん?これ、いや、え?このまま退散したら二人して部屋入っちゃう系?それマズイ系?ウマイ系?
いかん、シナプスの伝達が上手く行っていないですよ。ピンクオーラに当てられる!!!
「あー、ちゅーしてるのねー」
え!?
焦って声がした…つまり私の真下を見ると、私たちと同じように覗き見しているエレースちゃんがいました。三色団子の兄弟のように、下からテンテンテンと頭が並んでいることになっていますよ。黒、紫、茶って、あまり食欲をそそらない配色ですね。
って、あああああああ!なにやってんだ私!っていうか、ちゅー知ってたのねエレースちゃん!って、どうする!えっとその!あ、目を塞ごう!
なんて、私が混乱している隙に、エレースちゃんが飛び出してしまいます。
「あぁ!」
エレースちゃんを追うことが出来ずに、結局覗き見ポーズのまま私は固まってしまいました。
『もうちゅーはおわりよ!エレースしょうぶなんだから!』
四歳児強い!四歳児強いです!角から状況を見守るしか出来ない自分が不甲斐ないです!
『あーあ、お邪魔虫が来ちゃったか』
『おじゃまむちはオークなのよ!』
『はいはい、それじゃあボクはもう行くよ』
なんて、会話をして、最後にレーテ様の頬に軽くキスをします。レーテ様は恥ずかしそうにソワソワしています。ツンデレ可愛いです。
「えー…ここはおやすみなさいの挨拶に出た方がいいのでしょうか……?」
あれ?熊さん復活してる!?
「あ、えっとー…うー……」
今、一番へたれってるの私!?
『フィオパパー!リリママー!おやちゅみなしゃいなのー!』
そこまで遠くない距離なので、そんなに大きな声ではありませんでしたが、エレースちゃんが私たちに聞こえるよう声を張り上げておやすみの挨拶をしてくれます。
「えぇ、おやすみなさいエレース」
「あっ…おやすみエレースちゃん~」
熊さん以外と余裕なんですね。大人の余裕ってやつですか?もしや色々経験済み?私がもしかしてウブ?いや、そんな筈は無い。結婚初日に部屋に入ろうかどうか朝まで悩んでいた熊がウブじゃない筈がない!
と、思っている間に、エレースちゃんは顔の赤いレーテ様と部屋に入っていきました。レーテ様も挨拶してくれたんだけど、返し忘れたよー。
「っていうか、君達なにしてるのさ?」
ん?いや、えっとぉ……
「あー…あのですねぇ……」
あれ?そう言えば上から声がするんですが何故?と思って見上げると、熊さんが覗き見ポーズのままでした。冷静なようで混乱してたのね熊さん!我が同士よ!
「ウォークさんが、あんなとこであんなことしてるのが悪いですよ!」
これ、俗に言う逆切れですか?でもしょうがないよね?
「悪いって……君達はもうアレ以上のことをしてるでしょ?」
うっかり、熊さんを見ると、熊さんもうっかり私を見てしまったようです。て言うか、覗き見ポーズいい加減解くべきなのに、首以外動かないよ!二人して顔真っ赤だよ!
「え?もしかしてまだ何もしてないの?」
悪かったな!その心底驚いたって顔止めろい!!
次回はR15?




