表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生チートの意味がない。  作者: おうさとじん
3章:お屋敷にて。
29/67

027 安心と安らぎの違い。

停電で、データぶっ飛んだんだぜ……

 私がお母さんになれたら、きっと、敵でいる必要はなくなるんだけどなぁ……


 「おかあちゃまってどんなきもち?」

 エレースちゃんを熊さんが抱っこしたまま、只今私たちは廊下を歩いています。

 「お母様かぁ……」

 正直、うちのお父様から安心を貰っていたかと言えば、むしろ不安を貰っていたし、お母様のことはいつも心配していたような気がします。うちの両親はぶっちゃけ規格外ですから、参考にはならないですよねぇ……

 となると、思い出すのはうつつの両親なのですが、思い出すとしんみりしてしまうので、実はなるべく両親のことは思い出さないようにしていたんですよね。お母さん…どうだったかな?

 「そうだなぁ……、安らぎ、かな?」

 「やすらぎ?」

 「そう、安らぎ。ぎゅっとされると柔らかくって、心がポワーンってして、いつのまにか眠っちゃう感じかな?」

 私が幼かった頃なんて、もう二十年以上昔だから、本当に抽象的なんだけど……

 と、エレースちゃんが首を傾げてから、私に向かって腕を伸ばします。熊さんが何かを察して立ち止まると、にこやかな顔で腰をかがめました。あれ?これはまさかあれですか?抱っこですか!?マジですか!!

 前言撤回していいよね!?近づかないことを心に決めてたけど、だって、エレースちゃんから抱っこって来たんだし!前言撤回していいんだよね!?

 なんて、思っていると……


 むにっ、むにむに


 うん?私おっぱい揉まれてますね?

 エレースちゃんはなんだか真剣な表情で、私の胸を揉み続けています。熊さんは顔を真っ赤にして硬直、周りの使用人さんたちはびっくり顔です。

 「エ、エエ、エレース?」

 おや、熊さんの硬直が解けるのが早くなってきましたね。突発的な事態への耐性が付いてきたと言うことなんでしょうか?

 「やらかい」

 「んー…ありが、とう?」

 まぁね、高校生のときは今よりちょびっと……本当にちょびっとですよ!ちょびっと太っていて、ブラのサイズがDじゃ小さいEだとデカイ。ぐらいのサイズだったので、よく友達にムニムニされましたよ。だから別に気にならないんですけどね。でも、この世界の人達は外でキスも出来ない恥ずかしがり屋さんだらけですから、マズイかもしれない……?

 「やすらぎ?」

 なんて、私の胸をモニモニとし続けつつ、エレースちゃんが首を傾げます。

 「んー、どうかな?」

 柔らかい胸を揉んだら安らぎが得られるってちょっと違う気がしますよね。それが安らぎだと、世の男性がたは…おっと、止めておこう。

 「だっこ」

 お?もしかして周りが動揺していた分、冷静だったのが役に立ったのでしょうか!抱っこだって!抱っこだってさ!やったね!と、一瞬にして興奮したのですが、なんとか抑えます。ここで引かれたら後々に響きますからね!

 私が腕を伸ばすと、エレースちゃんも腕をこちらに伸ばしてくれます。なに、この幸福感。でも、熊さんが再度硬直していたらしく動きません。そこでエレースちゃんは、なんと熊さんを蹴って私の胸に飛び込んできました。

 「おっ、とと」

 しっかりキャッチします。流石に四歳児ともなればそれなりに重量がありますね。しっかり抱えなおします。と、エレースちゃんのお顔が近くなって、マジ天使フェイスに眼福がんぷくです!

 「もうちょっとしたなの」

 「下?」

 とは、もうちょっと下で抱っこしろってことですよね?これより下げて抱っこって結構腕力要りそうなんですが、まぁ、畑仕事で鍛えたこの上腕ならばいけるだろう!

 「ほっと」

 ちょこっと下に抱きなおすとエレースちゃんが両足を私の腰にがっちり回します。カニばさみですか?しかし、お嬢様がこんな抱っこのされかたでいいんでしょうか?

 「ん~」

 気にしない様子のエレースちゃんが、ポスッと私の胸元に顔を埋めます。あぁ、そうしたかったのね。

 「やらかい」

 あれですかね?私さりげなく羞恥プレイされてますかね?熊さんは固まっちゃってるし、使用人さんたちは思いっきり目を逸らしてますよ?

 「これ、やすらぎ?」

 「ん~どうかな?どう思う?」

 「やらかいの」

 そんなに、私の胸はやわこいですか、褒められているんですかね?

 「ポワーンってする?」

 「ぷにってする」

 …そ、そうですか。

 「アルシラはぶにょってするの」

 ……コメントしにくいよ!!!

 私がなにも言えないで居ると、エレースちゃんが左耳を私の胸元につけて、目を閉じます。

 「ん~、ポワーンするかなぁ?」

 「ほんと?」

 「うん~。ポワーンはするけど、ねむくはならないの。だから、おねえちゃまはおねえちゃまね!」

 ガバリと上体を起こしてそう宣言されました。

 「でも、もうちょっとお姉ちゃんに抱っこされてたら眠くなっちゃうかもしれないよ?」

 そう言いながら、私は止まっていた足を動かします。

 「ねむくなんないもん!」

 なんて言いながら、私の首元にきゅっと手を回します。やばいです。私鼻血出てないよね?

 しばらく歩くと、エレースちゃんが熊さんを呼びました。熊さんが我に返って小走りに私たちに寄って来ます。

 「リリー、重くはないか?」

 声は優しいですが、威厳熊さんですね。

 「大丈夫ですよ」

 もう、エレースちゃんとの会話で仮面思いっきりはがしてしまったので、私は素でいきます。今更取り繕っても無駄ですからね!ごめんなさい!

 「しかし……」

 熊さんが中途半端に手を伸ばしています。あぁ、私を気遣うの半分、エレースちゃんを抱っこしたいの半分って気持ちだったんですね?パパ熊は娘が大好きなようです。

 「エレースちゃん、フィオ様が抱っこしたいって」

 「だめなの!ねるかねないかしょうぶなの!」

 いつの間にか勝負事になっていたのですね。ならば私の全力を持って寝かしつけてやりましょう!

 「勝負?」

 「エレースがねたら、おねえちゃまはやすらぎなの」

 「しかし、もしも寝てしまっては……これから夕食だが?」

 あっ!そうでした!これから晩御飯だからだめじゃんね!くっ……タイミング悪かった……

 「だいじょうぶよ、エレースねないもん!」

 「あ、自信満々だねぇ~?寝ちゃうかもよ?」

 「ねないもん!」

 「まぁ、そこまで言うのならいいが……」

 熊さんが、伸ばしていた腕を下げます。

 「ならば談話室に行くか」

 「そうですね、そうしましょう」

 一度部屋に戻って着替える予定だったのですが、エレースちゃんがしっかり私に抱きついているとか、私今、天国にいる気分なので、せめて夕食までこの幸福を味わっていたいです。


 談話室に着いて、私はカウチソファに、熊さんは一人掛けのソファに腰掛けました。メイドさんがお茶を用意してくださり、まったりとした時間です。ちなみに、エレースちゃんは私の腰に足を回したままべったり抱っこ状態なので、私はソファに寄りかかれません。座っているだけです。

 「よかったですね」

 熊さんがにっこりしています。

 「ん?何がですか~?」

 私の声が間延びしているのは、幸せ過ぎるせいなので、気にしたら負けてしまいます。

 「エレースと仲良くなれたようで」

 「なかよくないもん!」

 なんていいつつ、エレースちゃんが私の胸元に顔をこすり付けます。既に眠そうだけど、寝かさないようにしたほうがいいでしょうか?とりあえず、ポンポンと背中を叩きます。

 「……ねむくならないもん」

 ちょっと声が拗ねています。思わずクスリと笑うと、熊さんも同じように笑いました。ゆったりとした時間っていうのは、なんだか幸せでちょっとむず痒いものなんですね。


 「おはよう、エレースちゃん。ご飯食べられる?」

 夕食のお呼びが掛かって、私は優しくエレースちゃんを起こします。両手で目をこすって、暫く……私の顔を見た瞬間にエレースちゃんは言いました。

 「エレースねてないもん!」


 お母さんへの道のりは遠いようです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ