019 恥ずか死寸前です。
あの展開からこういう風に繋げるのはダメかもしらんと相当悩んだのですが、進めることにしました。
才能無いからしょうがない。どれか最適解か判断できないのです!
アルシラさん設え、我等が部屋に到着しました。
眠れるわけ無いですよね。
熊さんと二人きりですよね。
この部屋はテレビでしか見たこと無いけどホテルのスイートルームみたいにリビング?とベッドルームが分かれていて、私は熊さんにエスコートされるまま、ベッドルームに来ていました。
ベッドを見た瞬間の私の衝撃が分かるか!熊さんの手が高速で冷たくなっていく感覚に湧き上がる羞恥がご理解頂けるか!
恐る恐る見上げると、熊さんはベッドを凝視していました。むしろ固まっています。ふわ毛からちょこっと覗く耳が真っ赤ですよ。手は冷たい割りにな!私もですよ!変な汗出てきたよ!二人して部屋に入るって事がどう言う意味か分かってなかった!!
「あああ、あの……」
熊さんドモり過ぎです。ベルベット・ボイスが台無しです。あぁ、ベルベッド・ボイスとは歌手のなっと……納豆…違う違う。えっと、ナット…そういうのは親友が詳しいのですが、なんかベルベッド見たいな良い声の人のことです!ちなみに私的にはハリ○タのスネイ○やってたアランさんが極上だと思います。はい、現実逃避中です私。
「私はあちらに!」
そう言ってパッと手を離すと、熊さんはリビングへ飛び込みドアを勢い良く閉めてしまいます。と、とりあえず着替えよう。うん、着替えよう。
トランクが見当たらないので衣装棚を開けてみると、綺麗に服が掛かっていました。アルシラさん、ありがとう。しかし、目的のものが見当たらないので、下の棚を引くと発見です。
「よかった……」
昨日みたいなちょっとスケスケなネグリジェじゃなくて一安心です。私のネグリジェの横に熊さん用のバスローブっぽい、あ、ガウンか。まぁ、それが入ってます。どうやら熊さんはスリーパー派じゃないようです。つまり裸で寝る人か……
あうぅ……
と、とにかく着替えます!貴族と言っても普段着はワンピースが基本なので、脱ぎやすくて良かったです。
さて、着替えが済んだけど、どうしよう……。とりあえずこのガウンを熊さんに届けないとだよね。て言うか、熊さんソファで寝る気かな……?チラッと見た限り、熊さんにはあのカウチソファは小さそうなんだけど……
「うぅ~……」
まさか、旦那様をソファで寝させるわけには行かないよね。なんかどっかから部屋沢山あるじゃんって声が聞こえてきたけど、今の状況で別室に行くとか、やっとなんかちょっと分かり合えた気がしたのに関係が悪くなっちゃいそうだしな……
よし、よし、よし。ガッツ。私、ガッツ。
ガウンを手に取って、ドアをこっそり開けます。ソファ越しに、大きな背中を丸く丸めた森の熊さんが見えます。あれは構図的に顔を手で覆ってそうだ。くそぅ、へたれ可愛い……
「あの……」
声を掛けた瞬間、熊さんが勢いよく立ち上がりました。
「ははは、はいぃ!?」
声、裏返り過ぎですよ!だめ、ちょっと堪えられない。
「……ププッ」
私の笑い声に、恐る恐る熊さんが振り返ります。
「ガウン、使いますよね?」
声を震わせながらそう言うと、熊さんは錆びた音でもしそうなロボット動きで頷きます。なんかそのまま固まっているので、熊さんの傍に行ってガウンを渡しました。
「あちらで着替えてください」
ベッドルームを指すと、熊さんがギチギチ動きながらベッドルームに入っていきました。
頭回ってないんだろうなー熊さん。しかし、これで熊さんをベッドルームに移動させるという計画は成功です。後は……どうしよう、どうなるのかな……
しばらくソファに座っていると、かちゃりと音がしてドアが開きました。
ガウンを着た熊さんは、なんかすごく貴族のおじさまって感じです。ガウンから肌色がのぞいているので、やっぱ、シャツとかは着ない人なんですね……。恐る恐る視線を下げると、ズボンを穿いています。よかった、下は着る人だ……。て言うかズボンあったのね。
「その、ベ…ベッドに……」
「そ、そうですね」
立ち上がるまでは出来たのに、その後身体が言うことを聞きません。
「私はそちらで寝ますから……気にしないで下さい」
「いや、熊さんをソファで寝させるなんて出来ないデスヨ」
二人して固まります。どうしようね、これ!
「いや、でも……」
「熊さんじゃ、ソファから落ちちゃいます。だから…えっと、あの……」
私がソファでって言っても熊さんはそういうとこ気にしちゃうだろうから絶対譲らないだろうし、となると、やっぱり、あれだよね……
「…………一緒に……」
うわっ!なんかぶわってした!ぶわって!いや、わからないよね!熊さんがね、下から上に向かって一気に真っ赤になったんですよ!
「……ド、ドウゾ」
熊さんがドアを押さえて丁寧にベッドルームに案内してくれます。
「ハ…ハイ」
熊さんロボットとか言ってる場合じゃなかった!身体がギーギーする!
上手く動かない体でなんとか、ベッドルームに移動すると、後ろからドアを閉める音が聞こえました。ビクッってなっちゃったよ!振り向くと、熊さんがドアのほうを向いて固まってます。とりあえず、ベッドに移動しよう、そうしよう……
たどり着いて足を乗せると、ご丁寧に「ギシッ」っとか鳴りやがるのね!バネ入ってるんだねベッド!!もうどうにかしてこの状況!!!なんて心の中で叫んでもどうにもなりません。とりあえず、そろーりそろーりベッドに上がると、掛け布団をめくって滑り込みます。
「あの……熊さんも……」
声を掛けると、熊さんがビクッとします。その拍子にドアに頭を打ってましたが、スルーしておきます。
「わ……私には無理です……」
恥ずかしいのはわかります。私だって、恥ずか死ですよ。でも、ドアと会話してないでこっち向いてくださいよ。もう、とっととこの状況から開放されたいよ!
「私だって、恥ずかしいです……だから、ね、もう、寝ちゃいましょう……」
そう促すと、熊さんは振り返りはしたのですが、俯いたまま動きません。
「私は、さっき貴女を傷つけたばかりです……」
「いや、だからそれはもういいじゃないってことにしたじゃないですか!」
したよね?
「しかし、私のせいで……」
って呟いて、熊さんは硬直してます。しばらくそのままでしたが、もう、ちょっと何かが麻痺してきました。私は意を決してベッドをポスポス叩きます。
「……来てください」
馬車の中でのぐっすら~してた時と状況が違うのはわかってるけど、寝るだけなんだし、緊張することじゃないよ、そうだよ、なんでこんな恥ずかしがってるんだろう私、全然おかしくないよ!そうそう!
私だいぶ、壊れてますね。
しばらく動かなかった熊さんが、ゆっくり近づいてきて、ベッドに腰を下ろします。またその後が長かったです。「やはり、別室に」「もういいから、寝ましょう」「ではソファで」「ダメです」「せめて床で」「床で寝るなら私も床に」の攻防戦です。
そうして、やっとさっきの私のように、熊さんはベッドに潜り込みました。一生懸命近づかないようにしているっぽいのですが、このベッド多分サイズがダブルです。熊さん大きいので端に寄られると掛け布団が引っ張られて、私側がスースーします。
うん、なんか吹っ切れた。
「熊さんっ」
上体を起こして、声を掛けると熊さんが振り向かずに「な、なんですか?」と聞いてきます。
「こっち向いて下さい」
ちょっと強めの声で言います。熊さんが掛け布団で顔を隠すようにしながら振り向きます。大の大人がこんなに可愛いことしてどうする気なの!?
「右腕をこっちに伸ばしてくださいっ」
熊さんは私の左側にいたので、そうお願いしました。横になりつつも器用に首を傾げ、それでも素直に右腕を伸ばします。その手を逃さず掴まえると、私はその腕を枕に布団に潜り込みました。
「リ、リリー!?」
「ほら、もっと近づいてくれないと熊さん落ちちゃいますよ」
吹っ切れた私は強しです。
「し、しかし……」
「ほらっ!」
二人の間の空間を右手で叩きます。と、しばし逡巡していた熊さんが、もそもそと開いた空間を埋めました。そしてそのまま、空いていた左腕を私の背中に回し、強く抱きしめてきます。
あれ?熊さんも吹っ切れちゃった?
次回は恥ずか死はないよ!
リリーが言ってた歌手はベルベッド・ボイスで検索かけるとすぐ出てくると思います!まさにベルベッド・ボイスを具現化した声なので、聴いてみてください。惚れるよ!




