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転生チートの意味がない。  作者: おうさとじん
2章:別荘大騒動。
18/67

016 シリアス路線に変更です?

どうにかコメディに戻したいです。

頑張ろうとして無駄に長いです。

私の技量の一杯一杯です。

 怒りを持続させるのは、とても難しいことです。昔からそうでしたけど、私には怒っていることが苦行で、何より大変なことです。


 「すいません、こんなことになってしまって……」

 「もう…わけがわからないです」

 「そうです、よね……」

 二人して黙り込んでしまいました。

 「……まずは、謝らせてください。私は、駄目な男です……。元々、引っ込み思案で……人と向き合うのが苦手で、避けていました。なんとか場を収めることばかり気にして……周りの人たちに嫌われたくなくて、言うことを聞いて……」

 くま…いや、フィオ様はぎゅっと両手を握り締めて、その手を額に当てました。苦悩が顔に浮かんでいます。こんな辛そうな顔、見たくないです。

 「いつも、考え過ぎて動けなくなってしまうんです。一つのことを処理するのも一杯一杯で……。全部言い訳ですね」

 そう言って、自嘲気味に笑います。

 「レーテミーナが来た時点で、ウォークと何か喧嘩をしたのだろうということは分かっていました。彼らの問題については……」

 「あの二人が、聞かせてくれる気になったら聞きますから、今はいいです」

 さっきは呆気に取られていたのですが、多分能天気な私には予想も出来ない問題を抱えているのでしょう。そして、フィオ様も。私は元々聞きたがりですが、親友を見習うことにしてます。相手が言いたいと思ったときに話しを聞く。それまではそっと傍にいる。そんな親友に何度も救われました。

 「ありがとうございます……」

 フィオ様は一度鼻をすすり、俯いたまま話しを進めます。

 「レーテミーナは、確実に……私のことを恋愛感情を持って見ている訳ではありません」

 えー…どう考えても惚れまくっているように見えたんですが……

 むしろ、惚れてないのに奥様の目の前で旦那様にモーションかけるって、どんな女ですか?まぁ、なんか理由があるんだろうなぁ……飲み込める理由だといいんだけど、いずれそれだけは聞かないとなぁ……

 「私は人の心の機微には疎いですが、これは本当です。……私には、わざわざ別荘にやってきた理由はなんとなく理解できても、聞くのは……」

 あぁ、苦手そうですよね、熊さん。あ、フィオ様。駄目です、私の怒りゲージはうっかりゼロになってしまったらしいです。

 「とにかく、彼女が来た瞬間にウォークが必ず来るだろうことは分かっていたので、何かあったのだとは思いましたが…今回は帰ってもらおうと思いました」

 あ、そこで選択肢ミスったのは私でしたね。なんか言おうとしてたの止めちゃったし……

 「レーテミーナが居るということは、本当に、必ずウォークは来ます。結婚したので奇襲の決まりは止めようと招待状と共に手紙を入れたのですが、そのことに関して返信が無かったので、一応警戒しないといけないと、そのことで頭が一杯になってしまったんです。」

 本当に、鳥さんとの関係がわけわかりません。あと、鳥さんとレーテミーナ様の関係も。

 「風の力を感知するように魔宝石を配置しないと行けないとか、衝撃の緩和に、外の風の流れを変えるにはどう地形を変化させるか、二人の喧嘩の規模によってはもてる精霊の最高位を使いかねないからどう対抗するか、私が風の力を扱えたら、ウォークに便りを飛ばすことが出来たのですが、それも出来ないのでとにかく貴女を危険な目に合わせないようにするにはどうしたらいいかと……」

 気の使いどころを間違えてます。阿呆です!熊さんは阿呆です!!いや、これも原色組みらしいといえばらしいです。彼らの頭の中を一度解剖して覗いてみたいです。

 「私は、貴女にとても甘えているんですね……」

 話し飛んだ?

 「私は、貴女にまず話すべきだった……、貴女にそう言われるまで気付きもしなかったんです……。本当に、すいませんでした、リリー……」

 私は盛大に、そりゃあもう盛大にため息をつきました。えぇ、嫌味ったらしく盛大にね!熊さん今にも泣きそうですよ!これはささやかな仕返しなので、可哀相とか思ってあげません!

 「もう、いいです。もう……熊さんは本当に不器用なんですよね。今日はそれが分かったから、それでいいです」

 熊さんの顔が、良く分からないと言っています。

 「熊さんは、不器用です。さっき自分で言ってましたよ?一つずつやるので精一杯って」

 「…えぇ……」

 「私も、実はこの一ヶ月超テンパってました」

 「テンパ……?」

 「あ、んー?私も一杯一杯だったってこと、かな?急に結婚の話が来て、お父様はいい人そうだよ~の一点張り、お母様はお父様がそう言うなら大丈夫だって言うし、きっと、好きな人がいたらお断りしてたんだと思います。でも、曲がりなりにも私は貴族の娘です。どうせ好きな人と結婚なんて出来ないだろうって思ってたんです。現示者で大人だと言う思い上がりもあります。これでいいんだって思い込もうとしてたんですね」

 私はたぶん今、熊さんを傷つけているんですよね。でも、気持ちはすり合わせていかないと駄目だって親友も言っていました。でこぼこの木をすり合わせて、いずれ少しの隙間があっても離れないように形を合わせていくことが大切だって言ってました。だから……

 「熊さんは、偉いと思いますよ?一生懸命、一つずつ自分なりに考えてくれたんですよね?私なんて、状況に流されて、なるようになるやって思ってましたから」

 きっと、私が一番不誠実だった。現実を見つめないで流されるままに生きて行こうとしていることに気付いてすらいなかったんだから……

 「違います」

 やけに、きっぱりとした声で、熊さんが私を見つめました。

 「貴女はとても…優しいんだと思います」

 私が、優しい?そんなまさかです。私はいつもみんながやらかすの見て、なるようになるわーとか思ってたズボラですよ。

 「貴女は、とても懐の深い人です。貴女の目は、見守る者の目だと思います。私は、見ていたから……遊ぶ子供達の後ろを、見守るようについて歩く貴女を、喧嘩する村の大人たちを、優しい言葉で宥める貴女を……」

 そうでした。熊さんは元ストーカーでした。

 「だから、私は貴女に甘えてしまったんです」

 話しが戻りました。

 「本当に……すいませんでした。私は、貴女を一番大切にしたいのに、傷つけました……」

 傷つけた……?私、傷ついたの?あれ?確かにちょっとイラっとしたり、思いっきり心配したり、びっくりするぐらい怒ったりしたけど……

 私……傷ついてたんだ……

 「あははっ」

 私が笑うと、熊さんがきょとん首を傾げました。

 「私、傷ついてたんですね!気付いてなかったんですよ?おかしいのっ」

 そう言うと、すでに青かった熊さんの顔から完全に血の気が引いた。

 「あっ!ごめんなさい!」

 「いえ、いえ……本当に…わたしのせいで………すいませ…すいません…………」

 「いや、違うです!なんか新しい発見があって!傷ついたってわかってなんかストンと来たって言うか!私、熊さんの事ちゃんと見てなかったみたいです!結婚二日目じゃしょうがない気もするんですけど、でも私、熊さんはこんな人~って勝手に決め付けてて、だからその期待を裏切られてイラッってしちゃったり、怒ったり……本当に、勝手に理想を押し付けて……興味が無かったら、私こんな風にならないのに、私、なんか傷ついたってことが嬉しいみたい」

 ちゃんと謝らなくちゃいけないのは私も一緒だったんだ。

 「ごめんなさい。私、ゆっくり夫婦になんて言いながら、ちゃんと熊さんを見ようとしてなかったんです。私、ちゃんと熊さんの…ううん、貴方のことを見ます。ちゃんと、分かり合っていけるように頑張ります」

 「……リリー…………」

 ちゃんと、姿勢を正して『私の旦那様』を見つめます。

 「ミーレリリーです。貴方の妻になります。よろしくお願いいたします」

 深々と、頭を下げました。

 そして、ゆっくり顔を上げると、熊さんが静かに涙を流していました。

 「……貴女は、私には眩し過ぎる……」

 泣かせて、しまいました。

 「本当に、本当に私でいいのですか?いや、すいません……、私から話しを通したのに、私が強引に……」

 「あー!もう!それに関しては、断らなかった私もアレですから!むしろ熊さんこそ私でいいの?って感じですよ!!」

 「貴女以上の人なんて、望めない…いえ、貴女以外を私は求めません」

 「あっ…ありがとうございます」

 「リリー、私は貴女のことが好きです。貴女のことを大切にしたいです。至らない点も沢山あると思いますが、どうか私の傍に……よろしくお願いします」

 そう言って、今度は熊さんが頭を下げました。

 「私、まだ貴方に恋は出来ていないけど……きっと、貴方に恋をして、愛にかえますから。だから……」

 「一緒に……」

 熊さんがそっと私の手を握りました。なんか、やっと私達は見せていなかったドアの内側をほんの少し見せ合えたのかもしれないですね。

 「リリー、私の月……」

 そっと、熊さんが私の手に口付けを落としました。




 この世界は太陽の変わりに月があって、と言うか空には月しかありません。星もないのですよ。だから、月ってのは、この世界を見守るただ一つの光、それぐらい素晴らしい存在みたいな意味なんです。満ち欠けするから不誠実。なうつつと違って、姿が変わっても見守り続ける者的な意味も持ってます。うつつ風に言えば「聖母」とか「女神」とかそんな感じですよ!?

 「ちょっと、熊さん言い過ぎですよ」

 私がテレテレすると、口付けた手をそっと握って熊さんは微笑みます。

 「そんなことありません」

 「いやいやいや、違いますよ」

 「違うとは思いません」

 「あぁ、もう!」

 そう叫んで、私は笑い出してしまいました。熊さんも控えめに笑ってます。なんかもう、なんなんだろう。

 「これも、すり合わせ…ですね?」

 私がそう言うと、熊さんはゆっくり頷きました。

 「そうですね…ゆっくり……」

 「一緒に歩いて行きましょう」

 そうして、私達の話し合いは終わりました。




 「部屋に、行きましょうか。いつまでも下に居ては、アルシラたちもゆっくり休めないでしょう」

 あぁ、そうか。後で手伝う気満々だったけど、三人しか来てないから交代要員いないんだもんね。私達が部屋に行かないと、使用人さん達も眠れないんだ……。う~ん、村育ちのエセ貴族は駄目ですね。もっと使用人さん達のことも考えなきゃ。

 「わかりました」

 正直、レーテミーナ様と鳥さんのことが気になりますが、私が関わっていいのかも分からないし、ちょっと保留です。ごめんなさいっ!

 「そういえば、呪詛とか何とかのこと、ちゃんと教えてくださいね?」

 「あっ……はい。隠すつもりはないですから、貴女の聞きたい時にでも」

 「長くなります?」

 「そうですね…たぶん……」

 「私も情報過多なので、じゃあそれはまたいつかにします」

 「はい、分かりました」

 結婚生活二日目にして、この怒涛の展開に私の頭は動作が重くなっています。ファイル断絶起こしてそうなので、最適化を掛けたいくらいです。

 寝れば勝手に脳みそが情報処理をしてくれるだろうから、寝ましょう!


 なんせ、小鳥がチュンチュン窓の外で鳴いてますからね……

 朝月、眩しくは無いけど眩しく感じる……

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