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転生チートの意味がない。  作者: おうさとじん
2章:別荘大騒動。
17/67

015 ファンタジーを痛感します。

タイトルと違って話はシリアスです。

 とりあえず、このめちゃくちゃ男は人間じゃありませんでした。

 この、超絶イケメンは人間じゃありませんでした。あ、そうです、この男びっくりするぐらいイケメンです。髪は真っ黄色です。完全無欠の風属性です。


 私の驚きっぷりがご理解頂けるでしょうか?いやね、確かにさっきの話の節々で「人間にしておくには~」とか「人間なのに~」とか微妙に引っかかってはいたんですけどね?まさか、人外だと思わないじゃん!人の姿してて人の言葉喋って、人間である(だよね?)レーテミーナ様が好きと公言してるヤツが人外だと思わないよね!?

 まぁ、内心でそう思いつつ、冷静に見ます。どうやらこの人(?)は鳥族らしいです。鳥さんだそうですよ!本来の姿は人間ぐらいの大きさの鳥さんだそうですよ!改めて、自分がファンタジーな世界に生きていることを痛感しますね。やー、簡単な魔法とか、命卵とか不可思議設定には慣れてたんですけど、人外に遭遇は初めてだったりしますからね!

 そんな訳で、この人もとい鳥は、名前をウォークと言うそうです。鳥なのに飛ぶじゃなくて歩く……Walk……。 ちょっと変にツボったけど、三人には訳が分からないと思うので、頑張って堪えました。そんなことより怒りを持続させることのほうが大切です。

 ウォークさんは両親が居ないらしく、通称「白の森の学園」とかいうところで暮らしていたらしいです。そこに齢八歳の熊さんが伯父さんに連れられてやって来たとか。ウォークさんは当時四歳だったそうです。つまり、今ウォークさんは二十四歳ですね。白の森の学園は最果ての地にあり、相当入るのが難しいらしく、特に人間で入学出来た人はほんの一握りだとか。熊さんって凄い人だったんですね。あ、もちろん通うとか無理なので、学園の寮っぽいものに入ったそうです。

 さて、出会った当時は四歳差、熊さんは鳥さんを一生懸命お世話してあげたらしいです。一緒に勉強をしつつ、修行を積み、あんな馬鹿げたルールまで作っちゃう仲になったのです。ですが、熊さんが十三歳になった時、学園長さんからそろそろ卒業でいい的なことを言われ、ご実家からも再三帰って来いコールが届いていたのもあり、熊さんは素直に卒業していきます。鳥さんはと言うと、まだ九歳、世間に出るには子供過ぎます。という訳で鳥さんは熊さんにいつか会いに行くと約束したそうです。

 さて、帰ってきた熊さんですが、五年離れていた間、聞かずに済んだ呪詛(なんのことかよくわかりませんが、話しの腰を折るのもなんだったので、今度聞いてみようと思います)を聞きつつ、勉強に励み、社交界で優雅なひと時を嫌々過ごしていました。

 そうして七年が経ち、熊さんは二十歳の青年になります。そんな折、侯爵家になんかしらの繋がりで遊びに来ていたのが、当時十四歳のレーテミーナ様でした。つまり現在レーテミーナ様は二十二歳ってことですね。みんな年上だ!でも過去世と併せると私が一番年上だ!まぁ、二人の出会いは、ていのいいお見合いだったみたいですが、レーテミーナ様は熊さんのことをまぁまぁ気に入ります。十四歳から見れば二十歳は立派な大人ですからね。ひげも無かったらしいし、どうせ政略結婚するはめになるお嬢様からしたら「結婚してもいっかなー?」程度に気に入るでしょう。

 しかし、この時に起こったのが、先ほど私も体験した馬鹿らしい事件です。突然ガシャーンと窓が吹き飛び現れる鳥さん!咄嗟にレーテミーナ様を庇う熊さん!この瞬間、レーテミーナ様は熊さんにフォーリンラブった訳ですが、フォ-リンラブったのはレーテミーナ様だけではありません。闖入者ちんにゅうしゃ鳥さんもレーテミーナ様にフォ-リンラブです!

 それからと言うもの、熊さんを追いかけるレーテミーナ様、レーテミーナ様を追いかける鳥さん。の図が出来上がったそうです。しかし、ここ五年は熊さんがかなり忙しかったらしく、たまに会う程度になっていたとか……


 それにしてもはた迷惑です。

 ガシャーンが起きるのが分かりきっていたなら、事前に説明してくれていいはずです。

 ちなみに私が話しを整理している間、熊さんは鳥さんに私達の結婚の経緯を説明しています。


 「へぇー、グラフが言ってた子ってこの子だったんだ」

 鳥さんが無遠慮に私をじろじろ見ます。

 「うーん、美少女と珍獣って感じだからグラフがその醜いヒゲ面やめたらいい感じになるんじゃない?」

 おおう、美しきを好むと有名な鳥族に美少女とか言われましたよ!ちょっと嬉しいとか思っちゃったのが悔しい!怒れ!怒れ私!

 「まぁ、剃ったとしてもボクとミーナには負けるけどね!」

 ナルな鳥さんがナルい発言しています。事実、二人が並ぶと神々しいまでに美しさが目を攻撃してくるのですがね……

 しかし、思わずため息が漏れました。でもこの人?はこういう性格なんだと思えば、なんとか堪えられそうです。レーテミーナ様もそうですが、髪色の濃い人は性格がめちゃくちゃです。普通の人間では付き合いきれないです。私も何度、お父様お母様にイライラさせられて、振り回されて、後しょ……いや、今はそんなこと思い出している場合じゃないです。

 「……三人の関係と、今日の行動の理由はわかりました」

 「……………………」 

 「……………………」

 「わかりましたが、理解できません。なんで、事前にウォークさんが来ることを教えてくれなかったんですか?教えてくれればこんな風に怒らなくて済んだはずなのに、なんでですか?」

 冷静になるように勤めます。熊さんをジッと見つめます。私が一番怒りを感じているのは熊さんです。確かに、私がどうぞってレーテミーナ様を入れたけど、熊さん物凄い勢いでレーテミーナ様をスルーしてましたけど、それ見てレーテミーナ様微笑ましいとか思っちゃいましたけどね?

 「ごっ…ごめんなさい!私が悪いの!私がっ……」

 いや、確かにレーテミーナ様が諸悪の根源ですけどね、ちょっと黙ってて欲しいです。私は怒ってますよ!

 「違うよ、ボクが悪いんだ。襲撃かけたのはボクだしね」

 すっごい投げやり感が漂っててイラッてします。私に諭された時のお母様のようです。

 「違うの…私が…フィオ様に……」

 「ミーナ!ボクはそれ以上聞きたくない!」

 「違っ……違うの!聞いてウォーク!」

 ちょっと、何これ。親友がこの場に居たらぼそっと「とんだ茶番だな」とか言っちゃうよ?

 「二人とも!!」

 うわっ!熊さんが出会って初めて怒声を上げました。レーテミーナ様とウォークさんも驚いたのか、びくりと動きを止めます。

 「……二人で話し合ってきてください。レーテミーナ、君ももう、誤魔化すのはやめてちゃんと自分と向き合わないといけません」

 レーテミーナ様が、涙をこぼしながら俯きました。

 「ウォークも……すいません、なんと言えばいいのか分からないけど…わたしには言えた義理ではないかもしれないけれど……」

 そうして、黙り込みます。

 「行こう、ミーナ。ごめん、わがままだけど、どこか部屋を貸してくれる?」

 ウォークさんは返事を聞かずに、レーテミーナ様の肩を支えダイニングを出て行きました。


 私は、ますます頭がこんがらがって、どうすればいいのか分からなくなってしまいました。

次もシリアスです。

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