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プロローグ1:一人目の旅立ち

ここは、一番大きな大陸シックスアース大陸。名の由来は大陸が見事な正六角形の形をしているため、この名前がついたといわれている。貿易商がとても盛んで、いろんな人たちがこの大陸に訪れて、朝から夕までにぎやかだ。

今、一人の少女が鳥飛行船(この世界には大陸から大陸に渡るための乗り物で、船の形をし魔力で造った翼が生えている。海ではなく空で移動し、船よりも早い)から元気よく飛び降りた。ウェーブがかかった肩まで位の長さの黒い髪で、紺色の先が六角形の星ようで、周りが黄色の線に縁取られた魔女のような帽子をかぶり、紺色のリボンがついたダビデの星のメダルをVラインの服に縫い付けた胸までのある服と、黒いミニスカートの側面に、二等辺三角形のような紺色で黄色に縁取られた先に同じく金のダビデの星を縫いつけたスカートを着て、目の色は青くて細い少女であった。

「はぁ――…ついたぁ―――ここがシックスアース大陸の港ね――。人がいっぱい!!!」

少女は嬉しそうに一人でそう答えた。すると、それに答えたかのように少女の足元にいた自分の顔がかぶるくらいの紺色のリボンをつけた黒猫が、

「ニャ――。」

と答えた。どうやら彼女のペットらしい。彼女の名はアン。アンは今、夢と希望に胸を膨らませていた。何せアンは初めて一人で船に乗ったのだ。

とはいっても、旅行とかなどのそんな甘ったるいものではない。アンはある夢を達成するため、ペットの黒猫と共に旅に出たのだ。

けれど一体この先どうすればいいかは、まだ分からなかった。しかし、今は潮の香りをかぎ、カモメの鳴き声と人ごみのザワザワとした声を聞いて旅の実感を味わいたかった。しばらくして、アンはこれからどうするかを考えた。

「んー…どうしようかなー…特に行く目的はないし、かと言って全くここに来た目的は無い訳じゃないし…うーん…。」

それを見ていたアンの黒猫も『どうするの?』と言うような顔をしていた。

「まあとりあえずここのお店によっていいのあったら買って、そして旅館があったらそこに泊まりましょう。」

アンがそう答えたら、黒猫も『うん!』言うように首を縦に振った。さっそく、一人と一匹は店へ向かおうとしたそのときだった。


ドン!!


「キャッ!」

突然人にぶつかった。アンは転び、這いつくばった状態になった。

「おいおい、どこ見てんだよ。痛てーじゃねえか。おかげで、俺様の腕の傷口が開いたじゃねえか。どうしてくれる?」

ぶつかったのは、大柄の男で、連れのようなのが二人いる。三人とも腰や背中に、刀や剣を二、三本挿して一人は腕、もう一人は腹などに包帯が巻かれている。そして何よりも彼らは、目が大きくギラギラと光り、『ゲヘヘヘヘ』と品が無い笑い声を口からこぼし、とても顔つきが悪かった。どうやら盗賊か何からしい。

アンは大柄の男の腕をチラリと見てみた。自分とぶつかった男の腕には包帯は巻かれていたが、黄色く黄ばんだ包帯には赤々しい血はしみてはいなかった。男はギラギラとした目を、アンの顔にどんどん近ずいていく。周りの人たちは一体なんだと騒ぎ始め、ざわめきが激しくなってきた。

アンは、

「ごめんなさい。確かに私はよく見ていませんでした。すいません。」

そういって、笑顔で答え、ペコリとお辞儀をした。もちろんそれは下心で、本音ではその男の自己中心に腹を立てていた。

「ほ〜うお嬢ちゃんあんたなかなか礼儀がいいな。しかしなぁ、本当の礼儀ってのはなぁ、治療費も払ってもらうもんだぜ。そうだなぁ〜せいぜい百万Sひゃくまんシックスぐらいだな〜〜。」

(ひゃ、百万Sひゃくまんシックスゥ〜〜〜!!!?)

予想外だこんなの!、とアンはそう思った。何とかごまかせるとは思ったが、まさか金を要求するなんてアンの頭の中にははいっていなかったのだ。アンは一歩、二歩と下がりだした。するとだ

「アン、ヤバいブー!。このままだったら、オイラ達殺されるブー!!」

盗賊たちと、周りの人たちは『えっー!?』と目を丸くした。何故って驚くのも無理は無い。喋っているのはアンの黒猫で、しかも二足歩行で語尾が『ブー』なのだから。

「ラック!人が多いところでは、喋っちゃだめだって言ったでしょう!!」

アンがラックに喰いかかる。

「だってぇ〜〜船に乗ってる間も、喋っていなかったし、それに今、やばい状況にいるんだブよ。しょうがないブ〜。」

「だからって、喋っちゃだめなのは喋っちゃだめなの!!それといい加減その『ブー』って言う口癖やめなさい!!」

「こ…これは…いろいろと訳があって…。」

そんな話をしている間に山賊の頭らしい奴がアンとラックの前に立っていた。

「ほ〜う喋る猫とはな…。なかなか珍しいなぁ〜『ブー』って言うのは、微妙だが売ったら結構な金になるぜぇ〜。」

男はそういうと、ラックをひょいっとつまみ、ラックをじっと見つめてニヤリと笑った。

「いいい嫌だブ―――!!!おいら売られたくないブ――!!ア、アアア、ア――ン――!!!!」

「ちょ、ちょっと!ラックを放して!!!」

「じゃあ、なんだい?お前は俺様たちに百万Sひゃくまんシックス払うってか?」

男がそう答えると、もう一人の男が顔を出し、

「ようよう、あんた見たところ魔法使いみたいだな。悔しかったら俺たちにドバーンってな感じの魔法を使ってみな。どうなんだよ、おい。」

三人の男たちはワハハと大声で笑いだした。それを、商売人たちや観光客はただ皮肉な目で見るものや、どうすればいいか戸惑うもの、自分は関係ないとそそくさと歩くものなどがいた。アンは黙ってうなだれた。一体どうすればいいか分からなかった。かと言って、このままほっとけられない。アンは自分の未熟差と悔しさに唇をギュッと噛み締めたそのときだった。

「おい、やめろよ!!」

背後から、少年らしい声がした。もしかしたらここからが、本当の旅の始まりだったかもしれない………。

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