第8話 イシュトヴァーン帝国
俺達はイシュトヴァーン帝国に逃げた。北の魔物の森に隣接しているのは、アルヴァ帝国を除けばエルフの里かこの国しかなかったのだ。
俺だけだったらエルフの里に逃げたのだが、シルビアがいたのでこの国に来た。
北の魔物の森の最前線にあるノートルダムドという街に逃げ込んだ。
どうやらアルヴァ帝国の皇宮は全滅はしなかったようだ。敵国の間者などは生き残ったのだ。街の人間も武器を持たないものは多少は生き残ったが実質は全滅に近いようだ。ほとんどは巻き込まれたのだ…。悪魔はかなり容赦しない性格らしい。アルヴァ帝国にダメージを与えることで不幸をまき散らしたのだろう。敵国の間者もわざと不幸を撒き散らすために生き残らせたに違いない。
俺のレベルもあの召喚でかなりあがった。大量に殺しまくったのだ。
《シルバージャイアントタランチュラ》レベル120
<スキル> 猛毒レベル80、擬態レベル60、トールの加護、サタンの呪い
<限定スキル> 古代魔法、精霊魔法、回復魔法
<擬態可能>一角ウサギ、雷大狼亜種、大鎧熊、ヒューマン、エルフ
<ステータス> エルフ(名称:アディスフィア・ジル・ジオベルク)43158
レベルは倍増していた。猛毒は使ってないがレベル80ってどんだけの威力なんだろうか。
イシュトヴァーン帝国はアルヴァ帝国の皇都が滅んだので攻め込んでいるようだ。アルヴァ帝国も貴族達が集結して対抗しているがうまくいくかどうかは分からない。王族がいないのだ。南の同盟国はアルヴァ帝国の支援に軍を出している。
世界大戦が始まっていた…。
俺達はとりあえずギルドに入っていった。窓口の女の子に名前を告げると奥に引っ込んでしまった…。
ギルドマスターとやらが出てきた。ヒューマンだ。
「あなたが悪魔を召喚するエルフか、噂は聞いている。私はギルドマスターのザーデスタだ」
悪い噂に決まっている。あれだろう…。
「俺はジオベルグ、こっちがシルビアです」
「この街は滅ぼさんでくれよ、ジオベルグ」
「あれは俺を殺そうとしたからですよ、俺は死にたくないから反撃しただけです」
「わかった、お前を殺そうとしないようギルドからも注意を促しておく」
「なにか討伐クエストを受けにきたんですが、いいのはありますか?」
「商隊がなんども襲われているんだ、その討伐クエストがある」
「相手はなんですか?」
もう、なんでもいいから受けよう。トールの加護もあるのだ。雷最大の召喚魔法も使えるだろう。
「水大猿の群れだ、それを討伐して欲しい、報酬は120万ゾルだ」
「分かりました、受けましょう」
ギルドを出るとシルビアが聞いてきた。
「いいかげん、教えてよ。なにがあったのよ」
「俺は召喚魔法を使うために精霊と契約しようとしたんだよ」
「それでなんでああなるのよ」
「俺はまず雷の精霊と契約しようとした。でも契約できたのは雷の神トールだった。トールの加護を得たんだ」
「それって最強クラスの神じゃない!なんで精霊じゃないのよ」
「それは俺も知らんよ、トールが勝手に出てきて加護を与えたんだ。次に闇の精霊と契約しようとしたんだ。出てきたのはサタンだった。俺はサタンの呪いを受けたんだ。いつでも闇の力を無限に使えるんだ」
「サタンって最強の闇の神じゃないの。どの神でもサタンには敵わないわ。精霊とかの次元じゃないじゃないの」
「俺はそのサタンの力を皇都で開放したんだ。それで皇都は滅んだんだよ」
「最強の神の力を振るえば1国でも滅ぼせるわよ、皇都だけで済んでよかったわね」
「そのせいで逃げ出すことになったがな、俺はついてないんだよ」
「最強の2神と契約してついてないってことはないと思うわよ、水大猿の群れなんて簡単に殲滅できるでしょ」
「ああ、今の俺ならできる。それで受けたんだ。それと今まで秘密にしていたがおれは狼じゃない」
「狼じゃないって熊だったの?」
「違うんだ、俺はただの蜘蛛だった。ただ、食べたものに変身できるんだ」
「狼でも蜘蛛でもあなたは私の命の恩人よ、気にしないわ」
「そう言ってもらえるとありがたい、ここではのんびりと暮らすさ」
「とりあえずは、北の森の街道の掃除からね」
俺達は北の森の街道を進んでいった。程無く、水大猿の群れが出てきた。20匹はいる!多すぎるんじゃないか?これ?
俺は詠唱をしたのだ。そう雷の召喚魔法だ。
「雷の化身たるサンダーバードよ、我が敵に稲妻の裁きを与えよ!」
巨大な雷の鳥が出現した。次々と水大猿が消し炭になっていく。俺達はその光景に唖然としていた。
見ているだけで戦いは終わった…。最強クラスの雷の召喚魔法だ。初めて見たが強力すぎるだろ、これは。
水大猿がいなくなるとサンダーバードも消えていった。トールの加護は恐ろしいな。
俺達は消し炭になった水大猿から牙を剥ぎとっていった。討伐の証拠品だ。
「さすがはトールの加護ね、あんな召喚魔法は始めて見たわ」
「神の加護だからな、あのレベルでも普通に召喚できる」
「雷の召喚魔法だけでも軍隊と戦えるわね」
俺達は水大猿の牙を回収してギルドに戻っていった。
「戻ってきたか、ジオベルグ」
「水大猿達は20匹いました。全部殺してきましたよ。これがその証拠品です」
牙を20個ほど出した。水大猿の牙を20個ともなるとかなりの荷物だった。
「さすが、噂通りの強さだな。報酬の120万ゾルを渡そう」
金貨の入った袋を渡された。俺達は酒場に行ってそれを半分づつ分けた。一人60万ゾルだ。
「あっという間に大儲けね、これは楽でいいわ」
そういえば、皇都で渡された金もあった。開けてみると500万ゾルも入っていた。
それも半分づつ分けた。あっという間に大金持ちになった。
肝心のステータスを見てみた。
《シルバージャイアントタランチュラ》レベル140
<スキル> 猛毒レベル93、擬態レベル70、トールの加護、サタンの呪い
<限定スキル> 古代魔法、精霊魔法、回復魔法
<擬態可能>一角ウサギ、雷大狼亜種、大鎧熊、ヒューマン、エルフ
<ステータス> エルフ(名称:アディスフィア・ジル・ジオベルク)50339
そこで以前護衛クエストで商隊長をしていたミストリアに会ったのだ。
「やっと見つけたわ、ジオベルグ」
「なんでミストリアがこの街に来ているんだ?」
「アルヴァ帝国は不利だわ、負け戦になったら略奪に合うもの。安全なうちにイシュトヴァーン帝国に逃げてきたって訳」
「イシュトヴァーン帝国は孤立しているんだから周辺国は敵国だらけだろ。どうやって商売なんてするんだ?」
「既に南の同盟の一つウォフォールが落ちたわ、イシュトヴァーン帝国がこの大陸を制覇すればいくらでも儲けられるわよ」
ウォフォールは大陸の一番西にある小国だ。イシュトヴァーン帝国と隣接していたが落ちたのか。南の小国は5つあった。
それぞれが同盟を組んで大国と渡り合っていたのだ。残り4つで対抗できるのか?
「アルヴァ帝国に軍隊を出しているうちに隙を見てウォフォールは攻めこまれたのよ。同盟国は軍隊を引き上げたわ。アルヴァ帝国はますます不利になるわね」
「それで俺に何のようだ?ミストリア」
「逃げるついでにあなたに会いたいって人を連れてきたの」
面倒事は御免だ。俺になんの用だ?
「私はワリャーグから来た使者のアラビアータというものです」
ワリャーグはウォフォールが落ちたことでイシュトヴァーンに隣接された南の小国だ。ウォフォールの南にある国だ。
「あなたに我が国を助けて欲しいのです」
いきなりぶっちゃけてきた。俺の戦力を過大評価しすぎだ。イシュトヴァーン帝国と戦うには帝都を同じように殲滅する必要があるだろう。軍隊とまともに相手をするのは面倒だ。
「俺は北の魔物の森で戦うのが好きなんだよ。イシュトヴァーン帝国と事を構える気はないな」
「南にも龍の森はあります。強さで言ったらこちらの方が上ですよ」
俺はその言葉に魅力を感じたのだ。
「分かった、帝都は俺が滅ぼしてやる」
主人公は呪われています。さらに不幸を撒き散らすようです…。




