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第4話 シルビア

どうやら、俺の食ったエルフは前衛職と後衛職だったらしい。

ジオベルグのギルドカードを見るとレベル38とある。これは俺のレベルが反映されているのか?


「紹介が遅くなったわね、私はシルビア。あなたは名前はあるの?」


「狼に名前はない。ジオベルグのままでいい」


ジオベルグはエルフの里から出てきた魔法剣士だった。精霊魔法の使い手だ。得意な武器は双剣だった。

革製防具を着込んでいたのをそのまま着た。俺は姿を変える蜘蛛だ。姿を変えれば名前も変わる。名前はあまり意味が無いのだ。


この世界では魔法の属性は一人につき一つだけだ。

俺の食った4人のエルフの属性はそれぞれ、雷、炎、闇、聖だ。聖は回復魔法にあたる。

死んだヒューマンは魔法を持たない前衛職だった。

魔法には、古くから伝わる古代魔法、精霊を操る精霊魔法、そして聖の属性をもつ回復魔法がある。

俺は4つの属性を持つ魔法使いになったということだ。古代魔法使いは雷と闇の二人だったらしい。

そして、エルフがこのPTに多かったのはエルフのPTに臨時でヒューマンが2人入ったからだ。


ちなみに、あの大鎧熊は聖の属性になるらしい。つまり回復持ちの熊だったのだ。どおりでサンダーボルトを撃ちまくらないと沈まなかった訳だ。


シルビアのレベルは35。このPTの平均レベルが35だったらしい。あの森は彷徨いの森と言われて入ったらまず出てこれないという場所だ。薬草を取るだけであまり深くまで入るつもりがなかったのが名前の通り、迷うことになった。それで壊滅したらしい。報酬に目が眩んでついクエストを受けてしまったということだ。


「ギルドまで戻るわよ、ジオベルグ」


「分かった、どうせ報酬は貰えないだろうがな、ペルティで赤字だろう」


「あら、狼なのにやけにギルドに詳しいのね?」


「俺はジオベルグだ、こいつの記憶ごと姿を受け継いたんだよ」


「狼ってそんなことができるの?始めて聞いたわ」


「俺は変わり種なんだよ、亜種だからな」


適当に誤魔化してみた。


ギルドの街、センティアに着いた。


始めてこの世界の街並みを見たが中世のヨーロッパみたいな風景だ。

店ごとに看板が出ている。スプーンとフォークの看板が食堂。剣と盾の看板が武器屋、防具の看板が防具屋といったところか。俺達は剣とカードの看板の建物に入った。冒険者ギルドだ。


窓口の女の子がいた。記憶によるとレイジーというヒューマンだ。


「戻ったわ、レイジー。彷徨いの森は尋常じゃなかったわ、PTは壊滅したわよ、聞いた話と違うじゃない!」


「彷徨いの森に深入りすればあなた達のレベルでは死ぬわ。注意はしたわよ、シルビア」


「こっちは簡単な仕事だと思ってクエストを受けたのよ、危うく死にそうになったじゃない!」


「あのクエストはずいぶん長い間残っていたの、受ける人がいなかったのよ、達成できたの?」


「PTが壊滅したのに達成出来たわけないわよ!」


「そうするとペナルティが発生するけど、今回だけは無しにしてあげるわよ、それにしてもあそこで迷ってよく生きて帰れたわね」


「ジオベルグがいなかったら死んでたわよ!」


「ジオベルグがそんなに強いなんて見えなかったけどね」


俺のことを言ってるようだが、ボロが出るとまずいので黙っていた。記憶は受け継いだが性格は受け継いでないのだ。


「とにかく、レイジー、次からはクエストを出すときは注意してよね」


俺達は冒険者ギルドを出た。ジョッキと樽の絵が描かれた看板の店に入った。酒場だ。


「これからどうする?、ジオベルグ」


どうやら、死んだヒューマンと2人でPTをずっと組んでいたらしい。相棒を失ったのだ。


「俺はシルビアとPTを組んでもいいぞ、他に知り合いはいないしな」


この世界ゾルガースには、俺は仲間がいない。いた方がなにかと便利だろう。この国はアルヴァ帝国という。長年東にあるイシュトヴァーン帝国と小競り合いをしている。両方共大国だ。後は小国が南にたくさんあるらしいが、大国を恐れて小国同士で同盟を結んでいる。

北には魔物が生息する森になっていて人の国はないようだが、エルフの国だけは北にある。精霊の加護を受けているので魔物の心配はないのだ。ジオベルグとその仲間だったエルフ達もそこから来た。

この街はアルヴァ帝国の北寄りにある。そう魔物の森に近い街なのだ。


「ジオベルグは魔法を使えるの?」


「ああ、使える。古代魔法、精霊魔法、回復魔法だ。属性は4つある。雷、炎、闇、聖だ」


「一人で使える属性は1つだけなはずよ?」


「俺は人間じゃないしな、そういう決まりはない」


「まあ、そうだったわね、狼だしね」


いや、蜘蛛なんだがここは黙っておこう。


「俺はレベルをあげたいんだ、なにかいい方法はないか?」


「あなたは十分強いじゃない。一人で雷大狼を6匹も倒したのよ?」


「人間の姿になったから今は弱くなってるんだ。狼に戻れば強くなれるが人前であの姿になる訳にもいかないだろう?」


「まあ、そうね。てっとり早く強くなるならやはり討伐クエストね」


「ならそれを受けようか、だが大鎧熊だけは勘弁してくれ、あれはこの姿では勝ち目がない」


あれは回復持ちなのだ。俺の高威力のサンダーボルトを10発は撃たないと沈まない。強敵だ。


「討伐クエストを受けるなら仲間がいるわ、知り合いに当たってみるけどあなたのレベルはいくつなの?」


「レベルは38だな」


もっと、大鎧熊を倒しておけばよかった。暇な時に狼になって倒しに行こう。


「ずいぶん高いじゃない!私でもレベル35よ」


まあ、あの雷大狼亜種はかなり強かったからなぁ。できれば人間じゃなくてあの姿で戦いたい。


それから何日か臨時PTを探すことにした。ここは魔物の森の最前線だ。強くなりたい奴はたくさんいる。


4人PTが酒場で見つかった。ヒューマンは2人。前衛職の大剣を使うレベル40のアスガルと片手剣と盾を持つレベル36のミスワルドだ。ドワーフの魔術師はレベル34のウォドリフで杖を持っている。最後もドワーフで斧槍を持つ回復職のレベル38のガンドルフだ。ウォドリフの属性は炎、ガンドルフはもちろん聖だ。


この世界では次の属性のどれかを持つものが多い。炎、水、風、土だ。聖は珍しい。雷と氷はさらに珍しい。闇に至ってはごく稀だ。属性をもたないものもたくさんいる。属性でも戦闘向きなのは炎、雷、氷、闇だ。風と水は多少は戦えるようだが、土は戦闘向きじゃない。


シルビアは槍を持つ中衛の回復職だ。アスガルは無属性でミスワルドは水属性だが前衛職ということだ。


このPTのリーダーのアスガルが聞いてきた。ちなみに俺が狼から変身したことは秘密にしてある。


「シルビア達はあの彷徨いの森から生還したんだって?」


「そうだけど、PTは壊滅したわ。私達は生き残りよ」


「あそこの魔物はどれも強力だ。生きて帰って来ただけでもすごいぞ」


「まあ、散々な目にあっただけだけどね」


「さっそく俺達のPTに加わって欲しい、既にクエストを受けているんだ」


「ワシが説明しよう」


ドワーフのガンドルフだ。


「鍛冶屋の知り合いからの依頼なんじゃ、ドワーフには鍛冶屋が多いからな。それで鉱山までの商隊の護衛を頼まれたんじゃ」


「分かったわ、手伝うわよ、ジオベルグ」


「俺は構わないぞ、ついでに後でその鍛冶屋にも行ってみたい」


「このクエストが終わったらワシが紹介してやろう」


鉱山はこの街の北西にある。魔物と遭遇しやすいウォズニアック山だ。護衛がいないと通れないだろう。

丁度いい、この世界の鍛冶屋にも興味がある。俺も鍛冶屋をしていたのだ。後で紹介してもらうことになった。

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