第2話 雷の狼
朝が来た。この森に来て2日目の朝だ。一角ウサギ達はなにやら出かけるらしい。俺も付いていった。やはりウサギは和むなぁ。走る姿も可愛い。どうやら餌場にきたようだ。草をむしゃむしゃ食べている。俺も真似をして食べてみた。うん、うまい。ウサギの味覚になったようだ。むしゃむしゃと食べる。やはり肉より野菜だよな。ベジタリアン最高。
そして、眉間に意識を集中してみた。
《シルバージャイアントタランチュラ》レベル3
<スキル> 猛毒レベル2、擬態レベル1
<限定スキル> ジャンプレベル1
<擬態可能>一角ウサギ
<ステータス> 一角ウサギ(名称:不明)5
謎の数字が減っていた…。どうやら俺のウサギに慣れる日数はあと5日しかないらしい…。このままウサギのまま生活をしていてもよかったのになぁ…。残念だが諦めるしかない。残り3日となったら狼と戦おう。それで死ぬかもしれないがしょうがない。
だが、思ったより早く狼と戦うことになった。のんびりと日向ぼっこをしていた俺達の群れに1匹の金色の狼が襲いかかってきたのだ。俺は体毛を銀色にして仲間を助けるために立ちはだかった。ウサギ達は逃げていったが狼の足には負ける。追いつかれるだろう。俺が時間を稼ぐしかない。
狼は訝しげながら俺に襲いかかってきた。普通の一角ウサギと思ったのだろう。だがジャンプして避けた。避けざまに体毛を擦りつけてやった。ギャンとか泣いてる。猛毒レベル2だ。毒の威力もあがっているのだ。ひるんだ隙にさらに体を擦りつけてやった。足がブルブルと震えているが、狼の牙が掠った。俺の体から血が流れているが狼の口も痺れたようだ。
俺の全身が毒なのだ。相打ちとはいえダメージをさらに与えた。
痛みを無視して俺はさらに狼に向かっていくが、狼は俺が猛毒で食えないと判断したのか逃げ出した。その後ろから俺は毒の牙を突き立て毒の体で狼にしがみつく。振り払おうとするが俺は懸命に狼にしがみついた。かと言って狼は噛み付けば猛毒を食らうと懲りている。噛み付いてくる様子はない。
次第に狼は弱っていった。そして動かなくなった。俺は狼を食べた。狼になるのだ。全部は食べ切れないが十分食べたと判断して眉間に集中した。
《シルバージャイアントタランチュラ》レベル5
<スキル> 猛毒レベル4、擬態レベル2
<限定スキル> ジャンプレベル3
<擬態可能>一角ウサギ、雷大狼亜種
<ステータス> 一角ウサギ(名称:不明)10
おお、さすがウサギで狼に勝っただけある。レベルが2つもあがった。
狼は雷属性のようだ。なにげに強いらしい。それと亜種とはなんだろう?
俺は悩んだ。擬態レベルがあがったせいか一角ウサギでいられる日数が増えた。
このままあの和む生活を続けるべきかここで狼に変身するべきか。
だが、レベルをあげないと同じ姿は取り続けられないのだ。
仕方なく狼に変身することにした。体がじわじわと変わっていく。そして俺は雷大狼になった。
眉間に意識を集中してみた。
《シルバージャイアントタランチュラ》レベル5
<スキル> 猛毒レベル4、擬態レベル2
<限定スキル> サンダーボルトレベル50
<擬態可能>一角ウサギ、雷大狼亜種
<ステータス> 雷大狼亜種(名称:不明)60
なにやら擬態できる日数が増えた?強い個体になると擬態の日数も高くなるのか?2ヶ月も雷大狼でいられる。
では同じ雷大狼を食えばどうなるのだ?試してみる価値があるだろう。
そして、知識も増えた。どうやらここの森の熊は鎧で覆われた6mの熊らしい。並の強さではないようだ。タイマンだとまず勝てない。いきなり挫折した…。レベルをあげる相手が強すぎる。しかし、どうやらここには5mの虎もいるようだ。同じ5mの雷大狼よりは強いが熊ほどではないようだ。戦うならこちらを選ぶべきだろう。
それと亜種の意味も分かった。通常の雷大狼は灰色をしているらしい。
特別に雷属性の強い雷大狼が金色の亜種になるというのだ。やけにサンダーボルトのレベルが高い訳だ。これなら鎧熊にも勝てるんじゃないか?
とりあえず、俺は雷大狼のいるエリアに向かった。雷大狼のオスは縄張りを持っている。そこに侵入するのだ。
程無く、雷大狼を見つけた。灰色だ。俺に威嚇の叫び声を上げている。サンダーボルトが来た。
直撃を受けたがおれのサンダーボルトのレベルが高いのか効かない。俺がお返しにサンダーボルトを撃ち返した。
一撃で雷大狼は黒焦げになってしまった…。しまった…、これで食えるのか?
焦げて苦いが仕方なく雷大狼を食べた。これでいいだろうと思い、眉間に集中した。
《シルバージャイアントタランチュラ》レベル6
<スキル> 猛毒レベル4、擬態レベル3
<限定スキル> サンダーボルトレベル50
<擬態可能>一角ウサギ、雷大狼亜種
<ステータス> 雷大狼亜種(名称:不明)180
おお、レベルは1しかあがらなかったが、日数が増えた。もっと、雷大狼を倒そうと思ったが既にお腹が一杯だった。
擬態の能力は微妙に制限があるようだ…。
今日はこのくらいにしておこう。俺は自分の縄張りに戻った。もうウサギのモフモフとした生活には戻れないのだ。少し悲しい…。文字通り一匹狼で生きていくしかなくなった。俺は自分の縄張りでウサギの懐かしさを思い出しながら丸くなって一人で日向ぼっこをした。




