断片資料|焼失村落
【地方新聞・朝刊 片隅の記事】
「山あいの集落で大規模火災 住民全員行方不明」
十五日夜、■■県■■郡の山間部にある■■村で火災が発生。
携帯の電波も届かない閉鎖的な集落で、全戸二十七棟が全焼した。
消防による消火活動は夜明け前に完了したが、
現場からは遺体がほとんど確認されず、
住民■■名が消息を絶っている。
地元関係者によれば、当夜は「夏祭りの準備」が行われていたとのこと。
焼け跡一帯に甘い花のような香りが漂っており、
警察では出火原因を慎重に調査している。
古老の話では、あの谷には「■■■■」という
“生きた神”が祀られていたという。
人々はそれを“母”と呼び、
毎年八月十五日、火を囲んで笑う習わしがあった。
取材ノートには次の一文が残されている。
「村人が笑いながら■■■■■■■■」
§ § §
【行政調査報告書(極秘資料)】
■■村焼失事案調査報告
一、概況
■■月十五日二十三時頃、■■■■■■により集落全域が焼失。生存者■。現場には、通常の火災では見られない赤黒いゲル状の凝固物が堆積していた。
二、不可解な点
近隣住民の証言によれば、火災発生時に村中から「笑い声」が聞こえたという。それは断末魔の叫びではなく、■■■■■■のようであったとされる。
三、過去の事例
旧公文書にも、同様の「村ごと消滅」した事案の記述あり。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■。
調査団は翌日未明に撤収、報告書冒頭に「音が降る」「笑い声の雨」との記述を残すのみ。
四、観測結果
収束後、数日間にわたり周辺一帯で「肉が焼けるような甘い匂い」が継続。
地下水より■■■■■■■■反応あり。
【記録者メモ】
この資料の原本を閲覧するのに一月かかった。
担当官に鼻薬を嗅がせ、何とか入手した資料である。
許可が下りた翌週、担当官が急に退職していた。
それが偶然なのか、
あるいは誰かが意図的に私に“読ませた”のかは分からない。
ただひとつ言えるのは、
これらの資料が、あの村が「存在していた」証拠だということだ。
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