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序章

早川書房「戦闘妖精雪風」

フロム・ソフトウェア「アーマードコア」

日本サンライズ「機動戦士ガンダム」

などの多くのSF作品から多大なる影響を受けた作品でありますゆえ一部設定やシステムがちらほら出てくるとは思いますがオリジナリティを入れていく所存であります

誰がこれを想像しただろうか。

かつて北極圏と呼ばれた場所を中心に、地球の北半球は分厚い《雲海》に覆われ、その下には太陽光の届かない《新生海洋》が広がっている。温暖化の果てに氷が溶け、大陸の一部が水没して生まれた、人類にとっての未知なる深海。

時を同じくして、世界中の電子機器がハッキングされ、国家機密は暴かれ、研究機関や企業のデータは破壊された。その災厄は無人兵器にまで広がり、世界中の無人機は人間への攻撃を開始した。北半球は彼ら――いや、我々自身の無人機に奪われ、人類は沿岸の防衛線まで後退を余儀なくされた。世界がことの重大さに気づいたのは、その時だった。



「人工衛星すら奪われ、石器時代にでも戻った気分だな」

「石器時代にこんな400メートルを超える鋼鉄が海の上にあるかよ。ぼやいてないで給油作業に取り掛かれ! 後10分で発艦だぞ!」

紫の作業服を着た男のぼやきに、茶色の作業服に《整備長》の腕章をつけた男が一喝している。その光景を遠目で見ながら、俺は内心で毒づいた。

(呑気に構えていたから、こんな事態になったんだ)

手元の端末に表示されたブリーフィングに目を落とす。

『移動海洋基地より発艦後、目標地点の偵察任務及び、可能な限りの敵戦力確認を遂行せよ』

俺のいる移動海洋基地プロメテウス。元は世界最大の深海資源探査船で、今では人類に残された数少ない移動要塞だ。

その時、端末に「作戦時刻5分前」と表示された。俺は自分の愛機であり、半身でもある機体の側に寄った。

水空両用強襲指揮機 XAV-01《ネレイド》。人類の技術と未知の技術が融合した最新鋭機。しかし、そのあまりに複雑な管制システムは、常人の脳では処理できない欠陥機でもあった。ただ一人、俺を除いては。

その両脇には、俺の「僚機」が静かに佇んでいる。猛禽類を思わせるシャープな機首を持つ、《ネレイド》より一回り小型の無人支援機、QAV-02《サイレン》が二機。

俺以外、誰も乗っていない空っぽの部隊。それが第404実験飛行隊、通称アルゴだ。

「気分はどうだ、アキラ」

ヘルメットの内部に、声が直接響く。男でも女でもない、電子の合成音声のようでいて、どこか有機的な温かみを持つ声。俺の中に棲む、もう一人のパイロット。敵であるアビスから分裂した知性体、《リンカー》の声だ。

「最悪だよ」俺は短く答える。「お前と一緒の出撃だからな」

「否定はしない。だが、我々がいなければ、この箱舟は三日後には海の藻屑だ。君の憎む司令官殿も、それは理解している」

その通りだ。だからこそ、分裂したとはいえ敵である知性体が棲む俺が、隔離施設から出され、最新鋭機に乗ることを許されている。ブリーフィングの最後に聞いた、404実験飛行隊指揮官であるオオトリ大佐の冷たい声が脳裏に蘇る。

「サワタリ中尉。貴様が怪物になるか、人類の救世主になるか、この目で見届けてやる。……行け。そして、生きて帰ってこい。貴様と、その機体に巣食う『何か』から、データを持ち帰るまでは死ぬのは許されない」

信頼など、そこには一切ない。兵器として、研究材料としての価値。それが今、俺が生かされている理由だ。

「アルゴ隊、全機カタパルトへ。射出シークエンスを開始する」

無機質な管制官の声で、床が静かに動き出し、俺の《ネレイド》と二機の《サイレン》が、三つの射出レーンへと正確に運ばれていく。

俺は操縦桿を握りしめる。これは俺の身体の延長であり、リンカーとの絆であり、そして俺を人間たらしめている最後の鎖だ。

「リンカー。シンクロ率を最大に」

「了解。……アキラ、一つだけ。君の見る『海』を、私も見てみたい」

その言葉が何を意味するのか、俺には分からなかった。あるいは、この時はまだ、分かりたくなかったのかもしれない。

「アルゴ隊、全機射出!」

凄まじいGが全身を圧迫する。俺の機体にコンマ数秒遅れて、二機の《サイレン》が寸分の狂いもなく射出される。

三条の光となり基地から飛び出した俺たちは、灰色の雲海へとその機首を向けた。

「アルゴ・ツー、スリー、状況は」

俺の問いかけに、合成音声が寸分の間もなく応答する。

《アルゴ・ツー、オールグリーン。索敵モードに移行》

《アルゴ・スリー、オールグリーン。索敵モードに移行》

感情のない、ただの状況報告。俺は小さく息を吐き、編隊を率いて雲海へと降下を開始した。

「始めようか。せいぜい、派手な花火を打ち上げてやろうぜ」

人類の誰も知らない、光すら届かぬ世界へ。

救いようがない戦いが、今、始まる。


読んでいただきありがとうございます

可能な限り興味を持ちそうなものを取り入れていくつもりではありますがなにせ趣味の一環でもあり小説をアップするつもりで設定も書いたわけではありませんのであまり期待ハズレになるかもしれませんがよろしければ続きも見てください

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