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第45話 団長たちとの激闘

 朝、冷たい指先に頬をつつかれ、リオはまぶたをこすりながら目を開けた。

アストルが子どものような笑顔で覗き込んでいる。

「おはよう」と軽く挨拶を交わし、窓を開けると、冷たい秋の空気が流れ込み、王都の遠くからは鍛冶の音や商人の呼び声がかすかに届く。

街路には収穫祭の旗や花飾りが揺れ、人々が忙しそうに準備をしていた。

顔を洗って朝食をとる。食卓を立ち上がると、母サビアが「いってらっしゃい!」と笑顔で手を振り、

「行ってきます」と返して家を出る。

家を出ると、近所の人々が「今日は頑張ってな」と笑顔で声をかけてくれる。


訓練場では、赤い髪を陽にきらめかせたファルトが腕を組み立っていた。

「今日も実戦訓練だな!気合い入れていくぞ!」と声を張ると、「おう!」と全員の声が響く。

ミラは涼やかに笑い、セフィーナはアネリアと目を合わせ頷く。


やがて、壮年の剣士で忠義厚く、王国最強の騎士団を率いる騎士団長レオン、騎士団副団長で剣技に優れるカイル、魔法兵団長で賢者のクラヴィス、精霊教会の大神官であり支援兵団団長のセレオスの団長4人が揃い、場の空気が一変する。「さて、やるか」とレオンが口元を引き締め、カイルが「全力でいきます」と応じ、クラヴィスが「手加減はせんぞ」と笑い、セレオスが静かに頷いた。それを受け、リオも「僕たちも負けてられないね」と声を上げ、仲間たちが力強く頷いた。


模擬戦開始の合図をレオンが高らかに放つ。「始めっ!」その声と同時に、レオンは静かな銀色のオーラをまとい、ファルトの渾身の斬撃を《シールドパリィ》で軽々と弾き返す。この瞬間、リオが隙を突いて切りかかるが、すかさずカイルがカバーに入り、「甘い、甘いな」と冷静に言い放つ。


吹き飛ばされたファルトは闘志を燃やし、うっすらと銀色のオーラを放ちながら砂を蹴って「くっそー!」と突撃を繰り返す。レオンはその一撃を盾で受け止めるが、予想以上の重さにわずかに目を見開き、「……オーラか」と感心したように呟く。


カイルはリオの攻撃を受け止めるや否や、舞うような身のこなしで反撃に転じ、基本に忠実な剣技を波のように繋げ、斬撃を飛ばす《スラッシュ》を次々と飛ばしてリオを押し込み、あまりの速さにリオは息を詰めて前に出られない。


クラヴィスは両手に火魔法と土魔法を溜め、炎の槍である《ファイアランス》と、石の槍である《ストーンランス》を間髪入れずに次々と放つ。「おや、やりすぎたかのう?」と笑うが、その眼光は鋭い。その光景にミラが「二重詠唱!?」と目を見開いた。


セフィーナは迫る《ファイアランス》を、風の防御魔法である《ウィンドウォール》で軌道を逸らし、炎の槍は空へと飛んでいき、その熱量を肌に感じる。ミラは《ストーンウォール》で《ストーンランス》を受け止めるが、同属性の上位魔法の威力を完全には防ぎきれず、砕けた石つぶてが舞い、頬をかすめて「いたっ!」と声を上げた。直後、ミラは全力で《ファイアランス》を放つが、クラヴィスにふっとかき消され、「なんですってー!?」と驚きの声を上げた。


すかさずセフィーナが「アネリア、いくよ!」と声をかけ、アネリアが「任せて!」と応じ、二人で風の精霊魔法である《ウィンドストーム》を放つ。轟音と真空の刃がクラヴィス、セレオスに迫るが、セレオスは光属性魔法中位の防御魔法である光輝くディバインシールドでこれを防ぐ。「くっ!」とセフィーナが歯噛みする間に、セレオスが放つ《ライトアロー》が的確に彼女を狙うが、咄嗟に《ディバインシールド》を展開して何とかやり過ごした。


リオはファルトに合図し、水魔法の大きな水のウォーターボールを散弾状に変化させた《ウォーターショット》でカイルに散弾を浴びせ、その体を吹き飛ばした。カイルは「ぐっ…!」と顔をしかめ、痛みに息を呑む。クラヴィスの目が「ほう」と光る。カイルが吹き飛び、レオンが1人なったその一瞬がチャンスとなり、ファルトとリオが同時にレオンへ切りかかる。


待ち構えたレオンは巧みなシールドを使って敵を殴る《シールドバッシュ》とシールドを構えながら突撃する《シールドタックル》で二人を吹き飛ばし、リオに「本気で来ても構わんぞ」と告げる。悔しげに歯を食いしばったリオは「アストル、やるぞ!」と声を張り、アストルが「やっつけよー!」とご機嫌に応じた。


アストルが「いっくぞー!」と声を上げ、リオと共に特大の《ライトボール》を放つが、レオンの《シールドガード》で受け止められた。レオンは「これはなかなかだな」と感心し、アストルは悔しそうに唇を尖らせた。


アストルがリオに「加護の力を使おう」と提案し、リオがうなづく。祈りと共にリオの体を青白いオーラが包み始める。その様子に各団長たちが感心し、直後、リオがレオンに突撃し、何度も剣を打ち合う中、さらなる青白い光と銀色の光の剣劇がレオンとリオの間に響く。


回復したカイルがリオに切りかかろうとするが、ファルトが前に出てそれを抑える。レオンとリオは互いに間合いを測り、次の瞬間、レオンの剣が銀色に輝き轟音と共にリオを襲う。リオは吹き飛ばされ膝をつき、レオンが「ここまでだな」と告げた。ファルトが「あれは……!?」と目を見開いた。


戦闘後、レオンは「実戦訓練はこれで終わりだ。午後からはさらに連携を高めるために、自分たちで訓練をしろ。明日、再戦だ。解散!」と声を張った。


レオンは「ファルト、オーラの片鱗があるな。期待しているぞ」と告げた。カイルは吹き飛ばされたことを振り返り、「腕を上げたな」とリオを称える。セレオスは「防御の連携、よくできていました」と全員を褒め、クラヴィスは「リオ君、形態変化もできるようになったか、感心したぞ。明日はもっとしごくからのぉ」と笑い、ミラには「もっと状況をよく見るのじゃぞ」と舌を出してみせた。ミラは悔しそうに顔をしかめた。


リオたちは「ありがとうございました!」と揃って頭を下げた。直後、午前の訓練の終わりを告げる鐘が高らかに響く。


4人は悔しさから足取りも重く、その足で食堂へ向かった。食堂はいつものようにごった返しており、食堂のボスであるマリアの怒号が響くのも日常の風景だ。それでも暖かく香ばしいスープの香りや、鶏肉の香草焼きの匂いが胃袋を刺激する。


空いている席を見つけ、何とか腰を下ろす4人。ファルトが「くっそー団長たちを抑えるので手一杯だ」と息を吐き、リオが「隙がなくて踏み込めないね」と応じる。ミラは「反撃する暇がないのが癪ね」とため息をつく、セフィーナは「セレオス様の支援が的確過ぎて崩せません」と苦笑した。


食事を終えると、ファルトが「明日の再戦に備えて、一発かましてやろうぜ!」と鼓舞し、全員が力強くうなづいた。その勢いのまま再び訓練場へ戻り、連携の確認や新たな技の習得に励む。


午後の訓練が始まると、リオ、アストル、セフィーナ、アネリアの4人は円を作って作戦会議をしていた。

「うーん…何かいい方法ないかなぁ」とリオが腕を組むと、アストルが「じゃあさ、精霊魔法の合体魔法なんてどう?」と目を輝かせる。

「おもしろそうじゃない?」とアネリアも笑顔で同意する。


「じゃあ試してみようか!」

リオは新たに雷の精霊魔法ライトニングスピアを習得し、その槍をセフィーナの風の精霊魔法ウィンドストームに合わせて放とうとする。

しかし――。


「いくよ!」

「合わせるよ!」


次の瞬間、轟音と共に光と風が弾け、四人は盛大に吹き飛ばされた。

「いててて!」「ぼくの毛がチリチリだー!」

「タイミングがずれたみたいね」とセフィーナが苦笑し、アストルは「もっかいやろ!」とやる気満々だ。


何度か挑戦しては爆発と吹き飛びを繰り返し、砂埃の中で咳き込みながらも、4人の笑い声は絶えなかった。


そうして午後の訓練はあっという間に終わりの時を迎えた。


夕暮れ時、伝令がリオに近づき、「明日、訓練前にエルヴィンのところへ寄ってほしい」と静かに告げる。


「……いったい何なんだろう?」と胸の奥に小さな波紋が広がるのを感じながら、リオは沈む夕陽をぼんやりと見つめた。

エルヴィンという名前を聞いただけで、何かがさらに爆発する予感がした。


今回は団長たちとの実戦訓練と、午後の精霊魔法実験回でした。

昨日更新するはずが。。。

多忙のため、しばらくは週3回程度の更新になりそうです。

次回はいよいよエルヴィン登場──波乱の予感です。

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