幸運を呼ぶ「小さな天使」
昔々、とある田舎の村にリナという若い女性が住んでいました。
リナは何をやっても上手くいかないと思い込んでいて、毎日ため息ばかりついていました。
「また雨だ。洗濯物が乾かないし、庭仕事もできない。どうして私には良いことが起きないの?」
そんなことを呟きながら、リナは雨の音をぼんやり聞いていました。
ある日、リナが森を散歩していると、小さな翼を持つ不思議な生き物が現れました。
それは手のひらほどの大きさの、小さな天使でした。
「やあ、リナ!私は“ポジティ”っていう名前の天使だよ!」
天使はニコニコしながら言いました。
リナは驚きましたが、なんとなくその天使には逆らえない雰囲気がありました。
「どうして私の名前を知っているの?」リナが尋ねると、ポジティは答えました。
「あなたの心が助けを求めていたからだよ!それに、僕は“幸せの種”を配るのが仕事なんだ。リナにこの種をあげるね!」
ポジティが手渡してきたのは、小さな透明な瓶に入った金色の種でした。
その種にはキラキラとした輝きがありました。
「この種はね、“ポジティブな考え”を育てるためのものだよ。
でも、一つだけルールがある。それは、毎日必ず『今日の良かったこと』を声に出して言うこと!」
「え、それだけ?」リナは半信半疑でした。
「それだけだよ!試しに今日やってみよう!」とポジティが言うので、リナは渋々「今日良かったこと」を考えました。
「良かったことなんてないよ……。でも、雨音が少し心地よかったかも?」リナがつぶやくと、ポジティが拍手をしました。
「それだよ!小さいことでも大丈夫!ほら、種を見てごらん!」
驚いたことに、瓶の中の種が少し大きくなっていました。
リナはびっくりして、なんだか嬉しくなりました。
次の日、リナはケーキを焼こうとしましたが、焦がしてしまいました。
「また失敗だ…」と思ったとき、ポジティが耳元で囁きました。
「この失敗から学べることはある?」
リナはしばらく考えて、「次はタイマーを使おうって思った」と答えました。
その瞬間、種はまた少し成長しました。
リナは毎日、「今日の良かったこと」を探すようになりました。
雨の日には、「植物たちが元気になる」
忙しい日には、「こんなに頑張れた自分がすごい」
失敗した日には、「次はもっと上手くできる方法を見つけた」
種はどんどん大きくなり、ついに瓶を突き破るほど成長しました。
ポジティはその様子を見て嬉しそうに言いました。
「リナ、君の心にも“幸せの種”が育ったね!」
ある日、リナが村で収穫祭の準備を手伝っていると、リナの笑顔が村中の人々を元気づけていることに気づきました。
「リナがいると、なんだか安心するよね!」と人々が口々に言います。
ポジティは最後にこう告げました。
「リナ、幸せは特別な出来事から生まれるんじゃない。日々の小さな感謝や気づきが幸運を引き寄せるんだ。これからもその種を育てていってね!」
リナは「ありがとう、ポジティ!」と笑顔で答えました。
それからもリナは「良いこと探し」を続けました。
そして、リナの村はどんどん幸せに包まれていきました。
あなたも幸せの種を育ててみませんか?