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2,「解体屋」

このゲームは、レベルが1つ上がると5つのパラメーターが自動で上がる分と、自らが手動で()り振れる分がある。


最初の機体以外は、問題なく「賢さ」に振れる。しかし、最初の機体だけ賢さの部分にカーソルを合わせようとすると、強制的に隣の「攻撃」又は「速さ」にカーソルが移ってしまう。


最初は、表記されてはいるものの、先のストーリーを進めるか、ある条件を満たさないと解放されないものかと思った。何故ならば、


――数字の表記が「00」だったから――。


しかし、2機目の機体を入手した折、問題なく賢さに振れた為、その異変にようやく気付く。


ネットの攻略サイトや、プレイ動画(など)、全てをチェックするも、同じ現象を確認する事は出来なかった。これはバグではないか?と思ったが、このゲーム自体が異質である。


それすらも、仕様である可能性も否めない。であるならば、このままプレイするのも「アリ」、そう俺は、思う事にした。



マスターが変な事は、前回話したと思う。その変なエピソードを、もう一つ思い出した。あれは、マスターが同じ場所をぐるぐるまわって、迷子になっていたある日。


偶然相手の落としたモノ。言い換えれば「戦利品」の中に、「メモリー」が含まれていた。滅多(めった)にない事だった為、マスターはかなり喜んでいた。


だが、その表情は次第に曇っていく。


そのきっかけは、2機目と一緒に依頼された敵を倒した時だった。何故かマスターは、2機目と私を交互(こうご)に見てくる。何をそんなに見比べているのか。


自身の(ひたい)を人差し指で、コンコンっと、叩く姿を見て、思わず笑ってしまった。


暫くすると、何か吹っ切れた表情になり、そのまま依頼は続行。何ら問題なく、依頼を完遂する事ができた。


そのタイミングで、ある程度の資金も溜まったからか、拠点を改装する事になった。しかし、ここでもマスターは変だった。


内装と外装は、すぐに決まったのだが、施設の名前に異常に悩んでいた。それも数時間どころではなく数日は経過していただろう。


あまりにも、悩み過ぎた結果。改装は一旦中止し、また迷子になる始末。


――ホント、よく分からない人である。


それでも、一生懸命に考えている姿に、文句は言えなかった。



そう言えば、先程金策はないと言ったものの、救済措置があった。3-1エリアを周回すると、ごく(わず)かの確率だが、2機目のメモリーが入手できるらしい。その為、レベル上げも兼ねて周回していた。


但し、救済措置とは名ばかりで、入手率は1%あるかないかという噂だった。それでも、依頼所の綺麗なお姉さんとの会話で得た情報だった為、数多くのプレイヤーが周回した。


俺も例に漏れず、その噂を信じて周回。結果的に、2機目のノーツを入手する事が出来た。それにしても、何故機体の総称を「ノーツ」にしたのか?


基本的に、そういった固有名詞に意味があるケースは少ない。だけど、音ゲー用語にも同じ名前がある。確か、画面に表示されるシンボルの事だったかな?


どちらにしても、ゲーム内の呼称について悩んでも仕方がないか。それよりも、救済措置の意味は、伊達ではなかった。いや、最早ヌルゲーに変貌すると言っても過言ではない。何故ならば、メモリーの値段は、


――1億円だったからだ。



結局、マスターが選んだ施設の名前は、「解体屋」だった。


名前だけ聞くと物騒だが、実際に誰かを解体するのではなく、暗い噂。所謂(いわゆる)、違法な組織を壊滅させる事を、比喩(ひゆ)表現として使用されているようだ。


ここでまた、変なマスターの選択である。


施設の名前が変わった途端、受注してくる依頼の難易度が、一気に跳ね上がったのである。それもその筈、違法な組織が、簡単に解体出来る訳がない。


1度の戦闘で、発生する費用も馬鹿にはできない。それでもマスターは、幾度も戦闘に駆り出されるのだった。


それでもマスターの指示に従うのが、私たちノーツの運命。ギリギリの戦いを潜り抜け、見事、勝利をマスターに捧げるのである。


それでも、どうしても言いたい。どのような劣勢であっても、私のマスターは、


――切札を、使わせてくれない。



ある程度、ストーリーを進めると、自身の拠点のビル経営が始まる。(うた)い文句通り、様々な経営に(たずさ)われるのだが、まず「解体屋」を最初に選ぶヤツはいない。


理由としては、メリットよりもデメリットが多い。メリットは、1つの攻略報酬が、他の施設よりも桁が2つ程違う。報酬だけでなく、戦利品の中には、あのメモリーも含まれている。


一方、デメリットは、そもそも攻略する事ができない。プレイ動画の何人か、ネタで解体屋を選択したものの、サブミッションでさえ、攻略出来ず、戦闘費が加算。


どう足掻(あが)いても、資金()りが赤の一途を辿(たど)り、破産。どうやってもゲームオーバー。詰む末路しかない。それなのに、俺がそれを選択した理由。それは、


――1機目が化物だったからだ。


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