表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【ウクライナ情勢】防衛線を見守るあなたに  作者: 栗野庫舞
第1集 敵が侵略を開始した
80/458

マイダン革命

番号ないですが、80.です。


グリレ自走砲H型「ロシアは不安を生み出している」

 今回は、八年前のウクライナの革命についてです。いくつかの呼び名がありますが、『マイダン革命』とします。


 2013年の冬、ウクライナの首都キーウで、当時のウクライナ政府の大統領がEUとの連合協定の署名を拒否します。ウクライナの経済難もあり、ロシアがEUよりも多い援助を出すと言ったので、そのロシアの提案を受け入れて拒否した形になったのでした。


 当時の大統領がEU加盟に向けた動きを止めたことで、抗議のデモがキーウで起こります。当初は割と平和的だったようですが、当時の議会が抗議デモの抑圧をおこなう法律を可決すると、翌年の2014年頃からデモが暴力的になり、犠牲者も出始めます。


 2014年2月22日、当時の大統領はキーウを脱出してウクライナ東部に逃げたとの報告がありました。大統領職は解任され、2月23日からは臨時の大統領代行が短期間、指揮を()ることになります。


 マイダン革命の背後には、アメリカがいたとも、ロシアがいたとも、言われています。


 3月1日、現在のロシア大統領がロシア系住民の保護を理由に、クリミア半島への軍の投入を上院に求め、上院は全会一致で承認します。


 3月7日、クリミア議会はウクライナからの分離とロシアの編入を求める決議を採択します。3月16日に出た編入支持は九割以上で、ロシアは簡単に領土を得ることに成功しました。


 3月には東部ドンバス地方で、ウクライナ大統領が解任されたことに対する抗議のデモが起きています。4月には反政府で親ロシア派の分離派勢力が二つの人民共和国の独立を宣言し、ウクライナ側との紛争が始まりました。


 親ロシア派の多くは、このマイダン革命が現在のウクライナ情勢の元凶だと主張します。ウクライナ西部が暴力的政変(クーデター)を支持したんだから、ウクライナ東部が独立してロシアになったっていいじゃないかと、クリミア半島やドンバス地方の分離を擁護しています。


 この件に関して思うのは、マイダン革命が元凶なら、当時のウクライナ大統領のEU拒否も元凶ではないかということです。


 あなたも日本の政治を知っているのでご存じでしょうが、日本の政治で一番上に立つ首相なんて、国内ではボロクソに批判されていますよね。現に親ロシア派だって、現在のウクライナ大統領をひどく罵倒しています。


 国のトップなんて、そんなものです。


 基本、首相や大統領なんて、ちょっとでも何かあったら非難されるような職です。マイダン革命で追放された当時のウクライナ大統領も、有能だったとは思えません。


 もちろん政府自体も、常に国民から不満をぶつけられる組織なのは、日本政府を見ても明らかです。


 五年の任期のうち、残り一年ぐらいだったウクライナ政権を崩壊させたことに対して、あまりにも失うものが大き過ぎると思いませんか?


 ウクライナはかつてソ連だったこともあり、国内にロシア人も多くいます。これは事実であっても、ドンバス地方はソ連時代からウクライナでした。ソ連崩壊を機にやっていれば良かった独立を、2014年のマイダン革命の後に、武力で一部の人間が引き起こしたから、不自然な印象が(ぬぐ)えないのです。


 EUに加盟すること、武力で独立すること、ロシアの一部になることよりも、安定的な日常生活を送ることのほうが、重要だと思うのですが。


 残念ながら、今のウクライナでは、安定的な日常生活を送ることが、より困難になったでしょう。


 クリミア半島が1954年にロシアからウクライナに移管された際の理由は、双方の経済や文化での密接な関係性をより深めるためだったそうです。ウクライナ側から見れば、ロシアがクリミア半島を奪い取った形になり、ウクライナ国内では反ロシア感情が増えました。


 犠牲者が出たことに対しては非難しますが、ドンバス地方の独立主義者から領土を取り戻そうとしたウクライナ側の行動自体は、正常だと思います。


 また、マイダン革命を語ったところで、ロシアによるウクライナ南部のヘルソン州とザポリージャ州の違法な住民投票と奪い取りは全く正当化出来ません。

BT-5快速戦車「ロシアは領土的野心を捨てろ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ