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【ウクライナ情勢】防衛線を見守るあなたに  作者: 栗野庫舞
第4集 領土的野心はないと言うのに、領土割譲をいつも要求する。奇妙な現象
343/458

イスタンブール和平交渉

今回は、343.です。


トルコの首都はイスタンブールではなく、アンカラです。なお、第3の都市はイズミルです。


176.と内容がかぶります。304.も関連します。


T25試作中戦車「ロシアは早くウクライナから撤退しろ」

 あなたは公園にいます。


 あなたの後ろには、イギリスで開発されてトルコで独自改良・生産された、ピックアップ式トラックが止まっています。この車は侵略者ロシアと全く関係ありませんが、侵略者ロシアよりもはるかに有能です。


 それで今回は、ロシアによるウクライナ侵略の、最初のほうでおこなわれた和平交渉について、語ります。


 特別軍事作戦という、言っていることとやっていることが合っていない不自然な作戦が開始された当初のことです。侵略者ロシアは、占領の目標としたウクライナ東部ドンバス地方だけでなく、ウクライナの首都キーウがある北部、さらにはウクライナ南部に向けても、ロシア軍を侵攻させました。


 開戦からおよそ一ヶ月が経って、ウクライナ北部からロシア軍が撤退して行くのですが、その理由として多く言われるのは、次の三つです。


 一つめは、ウクライナ軍の反抗がロシアの予想よりも激しく、首都キーウの占領を諦め、当初の主張だったドンバス地方の全てを奪う方針に転換した、というもの。


 多分、あなたはこの説が最も有力だと思うのではないでしょうか。


 特別軍事作戦を遂行(すいこう)するにあたって、侵略者ロシアが首都キーウを制圧出来れば、戦局では大いに優位に立てたでしょう。


 ですが、東部ドンバス地方の同胞を救うことを大儀と掲げるなら、北部には侵攻せず、その全勢力を東部に回すべきでした。もし同胞を救うという大義が正しいのであれば、北部侵攻は正しくありませんでしたね。


 二つめは、北部の侵攻はロシアの陽動(ようどう)作戦だった、という説です。


 かつては、この説が多く唱えられていました。ただし、陽動だったとは、当のロシアは一度も言っていなかったと思います。


 三つめは、途中から出て来た説です。2022年の3月から、トルコの都市イスタンブールで停戦の協議をおこない、和平の合意寸前まで進んだものの、ロシア軍が北部から撤退するとウクライナ側が交渉を中止した、というもの。


 これは、イスタンブール合意とも呼ばれています。


 この交渉から一年以上経過してから、ロシア側が急に発表したという、とても怪しい説とも言えます。


 イスタンブール合意の内容は、はっきりとは知られていません。ただ、ロシアのウクライナ撤退、ウクライナのNATO加盟を破棄する、といったことが言われています。


 侵略者ロシア側を支持するおかしな人間は、


「ウクライナがイスタンブール合意をしなかったから、犠牲が増えて、今も負け続けている! 早く降参しないとどんどん悪くなるぞ!」


 みたいな、武力主義的なことを言います。これはおかしいと言わざるを得ません。


 和平合意が失敗に終わったのは、双方が和平の内容に納得がいかなかったからです。


 ウクライナが合意しなかったというのは、ロシア側の主張に過ぎません。ロシアとしても、侵攻まで開始したのに見返りを得ないで撤退するなんて、あり得るのでしょうか?


 そもそも、和平合意はイスタンブールだけでおこなわれたのではないのです。ロシアの侵攻後すぐの2月末から開始しています。


 どうせ、ロシアがドンバスを無条件に全部よこせと言ったから、破棄になったんじゃないですか。


 もしそうであれば、


「ウクライナのクルスク州侵攻で、東部ドンバスでの戦力をクルスク州に回したから、どんどんロシア軍が東部で勢力を広げている」


 という意見自体が、おかしなものになります。


 イスタンブール合意で東部を奪えなかったから、その後も武力で奪い続けているだけであって、ロシアにとっては、ドンバス全てを奪い取るのは確定事項だったのでしょう。


 仮にウクライナのクルスク州への侵攻がなかったとしても、ロシアの奪い取りの進みが遅くなるだけで最終的に全てを奪われるとすれば、今のクルスク州の奪い取りには一定の意味はあったでしょうね。


 話をクルスク州からイスタンブール合意に戻します。


 イスタンブール合意が出来なかったことに対して、ウクライナだけの責任だとなすりつけるのは、あのミンスク合意と同じですね。ウクライナと二つの人民共和国の双方が守っていなかったのに、ロシア側がウクライナだけを責める、おかしな構図と。


 なお、イスタンブールでの交渉は、終了後も合意の見通しはなかったようです。それでも、ロシアが北部での攻撃を縮小するとも宣言はしていました。


 ウクライナが西側にそそのかされたとか、ブチャの虐殺をでっち上げたとか、ロシア側の人間は言いたい放題ですが、これが事実だとして、ウクライナがイスタンブール合意を破棄したと仮定しましょうか。


 その場合、ウクライナが約束を破ったと非難して、ロシアが北部に再侵攻する口実を与えることになりませんか? ロシア側によると、ロシアはウクライナの何倍もの攻撃力を誇っているらしいですから、その武力で一気にやれる絶好の機会となったでしょう。


 ですが、以降の北部での侵攻に大きな動きはなく、戦場は東部と南部にほぼ限定されました。


 イスタンブールでの和平合意に関して確実に言えることは、和平合意が結局は結ばれなかったことです。


 ミンスク合意は結ばれたものの、ウクライナと二つの人民共和国の双方が守らなかった。


 イスタンブール合意は結ばれていない。


 これら二つでウクライナだけを責める人間は、やなり非難されるべき、悪質でおかしな人間です。


 そのおかしな人間の大部分は、ロシアはウクライナ北部から撤退したので偉い、と高く評価します。


 そうではなく、侵攻することが間違い、なのですよね。


 なんか基準がおかしくなっていて、怖いです。おかしな人間がおかしなことを言うのは、おかしくはない、とも言えますけど。


 ということで、今回の話題は以上です。ついでに、いつもと似たような話を三つして、終わりますね。


 一。南部ヘルソン州とザポリージャ州をロシアが勝手に併合したことは、明確な悪事です。


 二。ハルキウ州さえも未だに占領しているロシアが、クルスク州の占領を非難するのはおかしい。


 三。占領後のウクライナ四州住民投票を支持していて、なおかつイスタンブール和平交渉でウクライナだけを非難している人間のことを、おかしいと言います。

IV号潜水戦車「ロシア側はおかしい。ただそれだけ」

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