三人組がパブにやって来た。後編
今回は、263.です。今回も暴力的な描写があります。
巡航戦車マークIII“クルーザー3”「侵略者ロシアはおかしなことばかり言う」
「我々が出て行った後、あいつは何をしたと思う? 電話で警察に通報しようとしていたんだよ」
「なんというやつ!」
エージェントさんの語りにべとべとさんが怒鳴りました。
「法を守らないような奴が司法の番人に助けを求めるなよ、うらぁっ! と蹴られて、通報は阻止された。民主主義の何が気に入らないだッ、うらぁっ! と別の仲間に蹴られた。侵攻は国際法違法じゃないんだったよなぁ、うらぁっ! と、さらに別の仲間に蹴られた。電話じゃなくて降伏しろよ、うらぁっ! と、続けて蹴られた。政府の侵略国非難に逆らう非国民がッ、うらぁっ! と、蹴られた。この犯罪者予備軍がッ、うらぁっ! と、蹴られた。支援に頼らないで自分でなんとかするんだろ、うらぁっ! と、蹴られた」
「総攻撃ですね……」
「うちも仲間に入りたかった!」
困惑している表情のジーリエスさんと、好戦的なべとべとさんでした。
「幾度も蹴られ、床に倒れていたそいつの顔を強引に持ち上げて、ボクは間近で脅すことにした。――我々は、この歴史的領土を保有する権利を放棄したわけではない。お前がまたふざけた言動を通そうとするのであれば、我々は再びここを解放をしに来るだろう。そうならぬよう、自身の悪行を反省しながら生きていくんだな、と」
エージェントさんの声には迫力がありました。
「その後、我々は自走砲と8人乗りセダンにそれぞれ乗車して、歴史的領土から出発した。もう二度とこんなところに来ることがないよう願いながら。……以上が、ことのあらましだ」
「侵略を擁護するやつの家を、廃墟にしなかったの?」
べとべとさんは不満を持っているようです。
「ああ。我々は腐り切った侵略国家とは違う。領土的野心も、持ち合わせていない。我々の目的は連中のような破壊と殺戮ではなく、おかしな思考の持ち主を正してやることだったからな。さらに付け加えると、この一件では驚くべきことに、死者は一人も出なかったんだ」
「なんという人道的な活動!」
べとべとさんは大声を出しました。
「とても素晴らしい物語で感動した! このお話は映画にして世界中に発信するべき!」
「感動的なドラマを見ても泣いたりしないのに、なんで涙を流しているんですっ?」
ジーリエスさんは涙目のべとべとさんに納得がいかないようでした。
と、ここで、ジーリエスさんはあなたの視線を見つけました。
「すみませんね、騒がしくて」
ジーリエスさんはあなたに謝罪しました。目つきが鋭くても、彼女が一番、真っ当なようですね。
それから少し経って、エージェントさんは店内のあるものに目をつけました。
「しかしこの店はいい。『本物』のドネツィク州の旗が掲げられている。ドネツィク州旗は我が国とも通じるものがあって素晴らしい。それに、ウクライナの国旗も美しい」
「うくらいなに勝利を!」
べとべとさんは大声で言いました。もう泣き止んでいます。
「ウクライナに勝利を」
エージェントさんも続きます。
「……ウクライナに勝利を」
二人の視線を感じ、ジーリエスさんも小さめの声で言いました。
続いてあなたも、彼女達に向かって、ウクライナに勝利を、と言いました。
彼女達は全員、それぞれの満足げな表情を返してくれました。
特にべとべとさんには、大層喜ばれているように見えましたとさ。
めでたし、めでたし。
侵略者ロシアが占領している地域は、クリミア自治共和国、セバストポリ特別市、ルハンシク州、ドネツィク州、ザポリージャ州、ヘルソン州、ハルキウ州。
占領されていた地域は、南部ミコライウ州、オデーサ州のズミイヌイ島、東部ドニプロペトロウシク州、ポルタバ州、北部チェルニーヒウ州、スーミ州、キーウ州、ジトーミル州。
合計15地域。
この数の分以上は蹴りつけようと思いました。
ウクライナの罪はあったとし、逆にロシアの罪はないと主張するおかしな敵を戒めるため、何度も蹴りつける内容になりました。おかしな主張を、おかしく再現してみたのです。
おかしなロシア擁護者達は、今回の話でも、「これは侵略じゃない、集団的自衛権の行使だ」って言うんじゃないですか。
巡航戦車マークIV“クルーザー4”「ロシアは侵略をやめて、ただちに帰るべき」




