176.今さら合意があったと言っても、もう遅い!
T-80UD戦車「ロシア側の主張はいつもおかしい」
T-80Uのディーゼル・エンジン搭載型。
2023年6月17日。ロシア大統領はアフリカ7ヶ国の代表団とウクライナ情勢で協議をおこないました。
この際、ロシア大統領は昨年3月の停戦交渉で、両国が停戦条約に仮調印し、ロシア軍をウクライナ北部から撤退させたものの、ウクライナが合意を一方的に破ったと発表しました。
この話、すっごく怪しいんですよね。
あの当時、ロシアが北部から撤退したのは、ウクライナからの激しい抵抗を受けて、東部制圧を優先する方針に変えたと、当のロシアが言っていた気がするんですが。
確かに、実際にロシアは北部から撤退していますが、仮だとしても合意があったとすれば、和平条約がきちんと守られているかを見届けるまで、駐留したままにすると思います。あるいは、東部も南部も占領しているから撤退しても問題ないという、楽観論でもあったのでしょうか?
4月7日の時点では、ロシア外相がこれまでの合意案から逸脱しているのでウクライナの要求を容認出来ないと主張しています。ロシアは自国の要求を満たすまで和平交渉を続けると述べるなど、全然合意出来ていた感じがありません。3月の仮調印が事実なら、ウクライナが合意を一方的に破ったことを抗議していないとおかしいですよね。時系列はどうなっているのでしょうか。
合意の内容で揉めていたのに、それを考慮しないで、仮調印の段階で自ら誠実に撤退するような国なら、ウクライナに攻め込んだりしないと思いますけどね。
ちなみに、ロシアの擁護派は、北部のロシア軍の攻勢および撤退は陽動作戦だと言っていました。ロシアの発表は彼らの思いを踏みにじりました。
そもそも、なんで一年以上経ってから、アフリカ7ヶ国の代表団に公表したのでしょうか? 当時、その仮の合意を根拠に、ウクライナを叩くことだって出来たでしょう。
「我々は部隊を撤退させたのにウクライナは約束を破った!」
こう世界中に叫んでいたら、一定の支持は得られたはずです。
約束を破ったことを理由にして、もっと激しく攻め込んで首都キーウを征圧出来た機会を、どうして逃したのでしょう?
それ以前に、北部侵攻が悪いこととすら思っていないロシアやロシアの擁護派の態度には驚きます。
ミンスク合意でも、ウクライナと二つの人民共和国の双方が合意を守っていなかったのにもかかわらず、ロシアとロシアの擁護派は、ウクライナだけが合意を守っていなかったと常に言っています。向こうが約束という言葉を理解している人々には、到底思えません。
T-84戦車「ロシア側は撤退してから主張しろ」
T-80UDをもとに開発。




