16.非ナチ化という理由
前回の後書きは、旧ドイツ軍の戦車、アメリカから供与された自走砲、ロシアで生産された戦車の三台が、ロシア追放のために団結しているという、究極の皮肉でした。
マーダーI自走砲「ロシアは早くウクライナから撤退しなければならない」
あなたはパブに戻りました。
今回は、ロシアのウクライナ侵攻の理由の一つとされている、非ナチ化についてです。
まず、ネオナチの説明をします。ネオナチは、新しいナチズムという意味の言葉です。ナチズムは、かつてのナチス・ドイツが持っていた、民族主義的な危険思想でした。
ネオナチの解釈は色々ありますが、民族主義で過激派の個人・集団を示します。
ウクライナにはネオナチが存在し、ウクライナの政治や軍隊にも溶け込んでいるといった批判があります。また、ウクライナ以外の国でも、ネオナチは存在します。
現在、ネオナチは悪という、分かりやすいイメージが浸透しているようです。これを利用して、ロシア側はことあるごとにネオナチという言葉を用います。
親ロシア派SNSでは、おはよう、ありがとう、といった日常でよく使う言葉以上に、ネオナチという単語を多用しているように見受けられますね。そのせいで、逆にロシア側は大きく信頼を落としています。
それで、非ナチ化というキーワードは、ナチスやネオナチを壊滅させるといった意味になるでしょうか。
ロシアは侵攻の理由として、この非ナチ化を掲げたわけですが、大きな矛盾が生じてしまいました。
非ナチ化をするために武力でウクライナを攻撃する、そのために生じる犠牲はしかたないという、自らがナチスであるかのような侵攻を選んだのです。
そもそも、ウクライナのネオナチ思想を持つ人は一部であって、全員ではありません。ウクライナへの侵攻は、ネオナチでない多くの人々にも、危害を及ぼすことになります。
なお、ロシア側の主張は、基本的にこのような感じです。
親ロシア派を虐殺したらネオナチ。
攻撃するウクライナ軍はネオナチ。
攻撃するロシア軍はネオナチじゃない。
要するに、ロシアの言うネオナチとは、ロシアの意に反する者達、という意味なのでしょう。
非ナチ化は、侵略を正当化しようとするための言いわけでしかありません。
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