1.国境を勝手に越えて攻撃するほうが悪いに決まってる
平和が欲しい。
あなたはイギリスの酒場風の店舗の中にいました。
木製カウンターに座り、近くにあるテレビを観ています。
流れる映像は、侵攻されたことによって破壊された街の中。
戦争する二つの国があったとして、どちらの国が破壊され、どちらの国が破壊したのかは、語りません。どちらにも正義があって、戦っているからです。あなたが第三者だとすれば、どちらかが正義だと決めつけることも出来れば、それを否定されることもあるのです。
まずは、あなたにこのセリフをご紹介しましょう。
「ここはお前の住む隣国じゃない。そんな法は知らん」
これは『スケルトリアル!』という作品の、隣国の第一王子に死刑だぞと言われた際、主人公の冒険者が返したセリフです。
例え隣国の王子が死刑だと叫んでも、その国に死刑がなければ、そんなことにはなり得ません。そもそも、他人の国に入っておいて、好き勝手やるのはおかしな話でしょう。
2022年2月24日に始まった、ロシアによるウクライナ侵略。
この史実もまた、隣国が他国に入って好き勝手やっている出来事です。
ロシアとウクライナが決定的に不仲となったのは、今回の侵略よりも八年ほど前にさかのぼります。
当時、ウクライナはEUことヨーロッパ連合に加盟しようとしていました。
しかしながら、ロシアに親しかった大統領がEUとの調印を見送り、ウクライナの首都キーウで反政府デモがおこなわれ始めたのです。2013年11月のことでした。
「選挙で選ばれた大統領が暴力で追放された」
そんなネット上の書き込みを、何度か見かけました。
一つ言いたいのは、当時の大統領は2010年から大統領職に就いており、親ロシア政権になった途端、追放されたのではありません。
ウクライナ国内の経済問題、ロシアからの圧力もあって、当時の大統領がEUよりもロシアを選んだ結果、反政府の暴動が起きたそうです。
その後、親ロシア派とロシアが行動を起こします。
2014年、ロシア人の人口が特に多かったウクライナ南部のクリミア半島をロシアが編入。
同じく2014年、ロシアとの国境沿いにあり、親ロシア派が多い東部のドンバス地方で、二つの自称・人民共和国がウクライナからの独立を主張し始めます。なお、ドンバス地方とは、一般的にはウクライナ東部のドネツィク州とルハンシク州のことを指します。
さて、ここからが本題です。
ドンバス地方に二つある人民共和国でロシア人が虐殺されていると主張して、ロシアはウクライナに特別軍事作戦と称して、侵攻を開始しました。
これって、おかしくないですか?
まず、どんな理由があるにしても、隣国が国境を越えて侵攻するのは、国際的な違法であり、非難されて当然です。
百歩譲って、二つの人民共和国を仮にロシアの勢力下にあるという主張をのんでも、ロシアはウクライナの首都キーウに向かって攻め込んでいましたし、関係のないウクライナ南部まで占領しています。
ウクライナ南部もロシア人が多いから占領していい?
そんなわけない。
本来、国内のことはウクライナが決めることであり、他国が決めることではない。他国が決めるのであれば、まさに理不尽でしかないはずです。
2014年から2022年までの八年間、ドンバス地方の二つの人民共和国の支配地域は、およそ三分の一と半分でした。逆に言えば、その地域以外は、ウクライナ側の支配地域です。
国境を守らないロシアが、なぜ両州の州境を守って、州の全てを奪おうとするのでしょうか?
純粋に、迫害されるロシア人を守るのなら、二つの人民共和国の2月24日時点の支配地域を完全に防衛すればいいだけですよね?
ドンバス地方では八年間、紛争状態で、双方に被害は出ています。言いかたを変えれば、お互い武装をして攻撃し合っているからこそ、それぞれの支配地域があったのです。
その均衡をロシアが壊しました。
ロシア軍がウクライナ軍を撤退させ続け、一方的に支配を広げているのが今の状態です。
勝手に他国へ侵入。
この時点で不法侵入。
侵入後は、武器で攻撃。
人を撃つ。
車を破壊する。
建物を破壊する。
どんどん占領していく。
解放などと都合のいい言葉を使う。
やりたい放題。
民間人を盾にしている等々、卑怯なことにロシアの擁護派がウクライナ軍を非難していますが、
「なら撤退すればいい」
これでほとんどが解決します。
恐ろしい国は、虐殺から守ると言っておきながら、自分達が虐殺をしている。
ロシアは卑劣だと叫ばれて当然の、悪質な手口をいくつも行使しており、許されることではありません。
残念ながら、力に支配されたロシアは、早くウクライナから撤退しようとは考えていなさそうです。
そんな最低なロシアには、近い将来、破滅がやって来ることを願います。
それと……、忘れていました。あなたに語っている間、破壊映像を延々と映していたテレビが、つけっぱなしでしたね。
テレビを消しました。
悪もそんな感じで、一瞬で消えればいいのに。
ロシア語のウィキペディアの『ドンバスにおける武力紛争』のページの、二つの人民共和国の関係機関によると、2021年のドンバスでの民間人の犠牲者の数は、
死亡者:7+1
負傷者:32+13
となっています。
軍人は、
死亡者:70+20
負傷者:97+8
です。
これは正確な数字ではないかもしれませんし、人の死は悼むべきですが、大量虐殺から救うという名目で特別軍事作戦を開始するには、説得力の弱い数字です。侵攻中の被害のほうがはるかに深刻なのは、間違いではないでしょう。大量虐殺からの救助を理由としたいのであれば、被害が最も多かった2014年から2015年にかけてではないでしょうか。