表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暇つぶしショートショート集  作者: 鈴木空論


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

75/100

【コメディ】幻覚

 カーテンが明るくなっているのに気付き、しまった、と思った。

 いつの間にか朝になっている。

 どうやら二徹してしまったらしい。


 一昨日、ずっと楽しみにしていたゲームの新作が発売されたのだ。

 遊び始めて見ると期待していた以上に面白く、あと三十分だけ遊んだら止めよう……などと考えながらずるずる続けているうちに丸一日以上やり続けてしまったらしい。


 それに気付いた途端に腹が減ってきた。

 ゲームを始めてから缶ジュース一本しか口にしていないのだから当然か。冷蔵庫を開けてみたが見事に空っぽ。

 仕方がないので近くのコンビニへ何か適当に買いに行くことにした。


 サンダルでのんびり歩いていると、道の向こうからライオンが歩いてくるのが見えた。

 一瞬目を疑ったが、ああいつもの幻覚か、と納得した。


 個人差はあるが、人間は大体三十六時間以上起き続けると夢と現実の境がわからなくなる。

 そして、脳裏に思い浮かべた物を幻覚として実際目の前にあるかのように認識してしまうことがあるのだ。


 今回の幻覚はライオンらしい。

 新作のゲームで印象的な敵だったからだろうか。


 幻覚を見てしまった時に取るべき対応は、見えていない振りをすることだ。

 下手に反応してしまうと頭のおかしい人だと思われて近隣住民に通報される。


 以前、最初に幻覚を見て騒いでしまったときは本当に酷かった。

 警察を呼ばれた挙句、薬物使用を疑われて検査までさせられた。

 当然ながら薬物反応など出なかったからすぐに釈放されたが、あんな目に遭うのは二度と御免だ。


 ライオンはこちらに気付くと立ち止まり唸り声を上げた。

 今にも飛び掛かって来そうな迫力だ。

 いつもの幻覚よりも随分リアルである。

 それだけ脳が深刻な状態なのだろう。

 さっさと何か胃に入れて早く寝たほうが良さそうだ。


 警戒態勢を崩さないライオンの真横をそのまま通り過ぎ、そこから少し行った先にあるコンビニへ入った。

 弁当を買って戻ってくるとライオンは消えていた。

 やはり幻覚だったらしい。


 家に帰りさっそく弁当を食べ始めた。

 何となくテレビを見ると、近所の動物園から虎が一頭逃げ出したというニュースが流れていた。

 それを見て思わず箸が止まった。

 ひょっとしてさっきのは幻覚ではなく本物……?

 いや、逃げたらしいのは虎で、見たのはライオンだ。やはりさっきのは幻覚だろう。

 そこまで考えたとき、ふと気づいた。


 うち、確かテレビ無かったよな?


 するとこのニュース、というかテレビ自体も幻覚なのか。

 すると虎が逃げたというのも幻覚。


 もはや何が現実で何が幻覚なのかわからなくなってきた。

 急いで弁当の残りを掻き込み、布団に横になった。

 カーテンにライオンの影が映っていたが、まあ多分これも幻覚だろう。

 考えるのも面倒になってきたのでそのまま目を閉じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ