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【ジャンル不明】この橋渡るべからず
暇だったので散歩がてら近所の公園へ行ってみると、見慣れない立て札が立てられていた。
「この橋渡るべからず」
私は首を傾げた。
なにしろそこは公園の広場のど真ん中。橋以前に池もない。
誰かの悪戯かと思ったが、それにしては札の出来がいい。
塗装なども綺麗だし、少なくとも素人の手作り感は無いため不思議と説得力があった。
他の人も気になるらしく、私同様足を止めて立て札を見ていた。
立て札はしばらく放置されていたが、そのうち妙な噂が広がった。
それは「あそこには昔本当に橋があったらしい」というもの。
そんなはずはないのだが、その噂はどんどん広がりいつしか定説になった。
その後誰かが役場へ掛け合い、橋を「復興」させた。
そんなわけで、現在その公園の中央には池もないのに橋が掛っている。
あの橋を見るたび私は何とも言えない気分になる。