【SF】マーフィーとあめふらし
雨が降りそうな天気だった。
傘を持ったほうがよさそう。荷物になるけど仕方ない。
私は傘を片手に家を出た。
その日は結局雨は降らなかった。
次の日。また曇り。
昨日降らなかったし大丈夫だろう。私は傘を持なかった。
すると、数分後には土砂降り。酷い目に遭った。
近頃ずっとそんな感じだった。
狙い澄ましたように、傘があるかどうかで降ったり降らなかったり。
苛々した私は、一計を案じることにした。
次の日も曇りだったが、手ぶらで家を出た。
少し行ったところで雨が降り始めた。私はにやりと笑い、鞄から雨合羽を取り出した。
すると途端に雨は止んでしまった。
あまりにも露骨すぎる反応に私は驚いた。
神様か天使か悪魔か知らないが、雨を降らす担当の奴はどうしても私を困らせたいらしい。
ならばこちらにも考えがある。私はさらに一計を案じた。
私は雨が降ったり止んだりする様子をスマホで撮影し、雨乞い祈祷師動画投稿者として動画サイトで活動を始めた。
投稿した動画は隙間産業的に一部の層から人気が集まり、そこそこの小遣い稼ぎになった。
しばらくすると雨降らしの担当者は私が雨降りをネタに利益を得ていると気付いたらしく、それまでのような嫌がらせをしてこなくなった。
これまでとは逆に傘を持たなければ雨を降らさないし、傘を持っていたら晴天だろうと雨を降らせてくる。
「これじゃ動画のネタにならない。困ったな」
空を見上げながら私は呟いたが、内心ほくそ笑んだ。
なにしろ、これで私はもう雨天に悩まされることは無くなったのだから。




