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【コメディ】靴屋の妖精
夏休み、靴職人をしているお爺さんの家に遊びに行ったとき、こんな話を聞いた。
「どうも近頃な、うちの工房に妖精が住み着いているようなんじゃ」
「なにそれ?」
「仕事を代わりにやってくれる妖精じゃよ。わしが寝ている間に作業台に置いておいた修理中の靴が新品のように直されてぴかぴかにされるようになってな。最初は思い違いかと思ったんだがね。海外のおとぎ話でそういう話を聞いたことはあるけれど、まさか本当だとはなあ」
僕は信じなかった。きっと僕のことをからかっているのだろうと思ったのだ。
「それなら実際にやってみようか」
お爺さんは作りかけの靴を作業台に置き、工房の鍵を閉めた。
そして翌日二人で様子を見に行くと、靴が完成していた。本当に新品のようにぴかぴかだ。
お爺さんの言うことは本当だったらしい。
僕はお爺さんに頼んで絵日記帳を作業台に置かせてもらった。
夏休みの宿題の絵日記。途中から描くのをすっかり忘れていてどうしようかと思っていたのだけど、これで問題解決。
心配事が一つ片付いた僕はその夜とても気持ちよく眠りについた。
翌日工房に行くと、絵日記はまるで新品のように全ページ真っ白ぴかぴかになっていた。




