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7ー9 ダイダの独白 皆は蒼白

その後、ダイダが具体的に何をして来たかは、書いたら読者諸氏も作者自身も気分が悪くなるとだけ言っておく。北海道にいた頃と同じ、いや、それ以上だった。


弱者を標的にするいじめっ子の本能でアユムを追い、強者を避けるいじめっ子の本能でアユムの進路ともエイジ隊の進路とも交わらない道をたどった。しかし、ここ数日、奥羽山脈の峠で追い剥ぎまがいの事をしていたダイダは、ついに仇が通り過ぎるのを目にした。


どういじめてやろうかと舌なめずりしてる間に、空飛ぶ魚型アレッツに乗った変な奴と、これまた変な6人組がやって来て、何故か後から来た6人組の一人が出した緑色のアレッツと戦闘になった。何やってんだ、あいつら…


だが、チャンスだ…


ここ数日潜んでいて勝手を知ったる山道を登り、山腹でアレッツを座らせたまま出し、ものすごく長い銃 (ロングバレルパーティクルキャノン)を構え…


     ※     ※     ※


峠では蒼いアレッツと緑のアレッツが、人智を超えた戦いを繰り広げていた。斬っては受け、撃っては避け…


「アユム…」「うん…」


蒼いアユム機にはカオリが同乗し、


「タイチョー…」「うむ…」


緑のエイジ機にはカオリを乗せていた。


「「行くぞ!!」」


両機は向かい合い、同時に駆け寄り、


「うぉぉぉぉぉ!!」

エイジ機が縦に斬りおろし、


「うわぁぁぁぁぁ!!」

アユム機が横に薙いだ。


その瞬間、


     ※     ※     ※


「グェフフっ…!!」


ダイダの口元が嘲るかのように歪み、操縦桿のトリガーに指をかけ…


タァーーーン!!タァーーーン!!


     ※     ※     ※


アユム機のアンブレラウェポンとダイダ機のパーティクルキャノンは、同時にあさっての方向を向いて火を吹いていた。向けた先は山の中腹、そこには…


ロングバレルパーティクルキャノンの中程とグリップ近くを撃ち抜かれたダイダ機!!

「グェっ!?」


「アユム…」「タイチョー…」


アユムもエイジもそれぞれのオペレータから『山腹に不審なアレッツがいる』と告げられ、不意打ちで撃ってみたら案の定である。


「最上さん、何ですか、あれは…」

「私は知らん。という事は、君の仲間でも無いんだね!?」


「やべぇ…」

ダイダ機は立ち上がり、逃げようとするが…そこに山頂から飛来する紫の影!!

麓から山頂を大回りして再び降りてきたソラ機である。

それまでソラ機を監視していたエイジ隊の機体は、

「あれ!?いない…いつの間に!?」


「えい。」


ソラ機はワイヤーガンを射出、謎の不審機を引きずり下ろす。


「グェアァァァァ〜〜〜っ!!」


山肌にいくつもの大きなくぼみを作り、ゴロゴロと転げ落ちてくる不審機。


「あの網木とか言う男…ワイヤーガンだけでアレッツを…」

認めよう。あの男にあれ以上のアレッツは必要無い。他人の機体を強奪する必要も…


そして、山を転げ落ち、アユム達の前に引きずり出された、単眼カメラアイの、両腕だけが赤い黒アレッツのコクピットに、人型に変形したソラ機が手のひらを当てて、


「いけないアプリ、『マスターキー』、ピ、ポ、パ…」


ソラがパイロット強制排出アプリという明らかにヤバそうな物を使うと、謎の黒アレッツのコクピットから、搭乗者が座ったままの姿勢で排出され、地面に尻から落ちて「グェッ!!」と悲鳴を上げる。それはアユムが二度と見たくないと思ってた顔…


「ダイダ…」「どうしてここに…!?」


名を呼ばれてダイダはへたり込み尻をさすりながらも「グェフフフ…」と気色悪い笑いを浮かべる。


「渡会君、知り合いかね!?」

アユムが本州に来てから知り合ったソラやエイジは、ダイダの事を知らない。


「前にも言った、北海道で僕をずっといじめてた奴です。こいつのせいで僕は仙台に転校しなければならなくなったんです。中学卒業後、半々グレになったらしいですけど、SWDの後、北海道でアレッツ乗りの野盗をやってて、僕がアレッツを倒しました。」


「ふむ…言われてみれば、『ダイダ』は、アユムの台詞の中にあった名前だな。」

「ワタシもいじめの事は聞いてたケド、確かに、性悪そうな顔ヨネ…」

「しっかしいじめっ子から半々グレを経て野盗って、どんなクラスチェンジコンボっスか…」

初対面にも関わらず、3人のダイダへの印象は最悪へとダダ下がりした。


「その後、函館で海を渡ろうとする僕を追いかけて、陸戦機で海底を走って追いかけて来たですけど、途中で見失って…」

「ワタシと出会う直前ネ…」


てっきり海の藻屑となったと思ってた…


コクピットから放り出されたダイダが、アユム機、エイジ機、ソラ機をはじめとする7機のアレッツに取り囲まれる。


「おいお前!どうやって本州へ渡ったんだ!?」

「函館の海賊を全員ぶっこるるぉして、持ってたアレッツを全部ギって、乗り継いで海を渡ってやったずぇぇぇぇぇ〜〜〜!!!」


海賊を殺した!?

「タイチョー、こいつの身長は180cmくらい、結構な筋肉質っス。」

科学捜査アプリの算出した犯人の人物像とも一致するし、人を殺した前科もあるらしい。それにしても、渡会君と同学年という事は、この直立カバはこの外見(なり)で未成年か!?


「津軽半島で目撃された、海を行く魚型アレッツは、お前か!?」

「知らねぇ!が、見られてたならおるるぇだるるぉうよ…」


「その機体はどうした!?魚型でもないし、函館で乗ってたのとも違うな。」

「内地に渡ってから野盗からギったのよ!グェーーーッハッハッハ!!!」


「ならお前…青森の野盗とは会ったか!?」

エイジが核心に触れる質問をした。


「会ってすぐぶっこるるぉしてやったから、よく知るるぁねぇぇぇぇぇ〜〜〜!!グェーーーッハッハッハ!!!!!」


殺人をいともたやすく吐きやがった…

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