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6ー1 カスタマイズ Episode5

「カオリさん…あなたは武術の心得があるんですか!?」


ここはまだ青森県だろうか、それとももう秋田県に入っただろうか、あるいは岩手県まで抜けただろうか…とにかく、その辺の山中で、アユムはカオリに聞いた。


「記憶喪失って言ったでしょう…と、言いたいところだけど、あたしどうやら武術の心得があるみたいなのよね…あたしの身体を診た館平先生もそう仰ってたわ。」


「殴って、蹴って、投げて…一体どんな武術だったんでしょう…空手か柔道か…」


「あるいはそれらの複合かもね…」


「剣、は、どうなんでしょうか!?」


「さあ…ここまで来たら出来るかも知れないけど…」


「剣道じゃなく、片手で剣を振るえますか!?」


「…なによ、あたしにアレッツを操縦させようっての!?そりゃこないだ、勝手に動かしたのは悪かったけど…」


「いえ…あれはおかげで『軍隊』を撃退出来たからいいんです。そうじゃなく…」


     ※     ※     ※


「な…何かこそばゆいわね…」


そこら辺に転がっていた鉄パイプを片手で構えるカオリ。それをアユムは、三脚を着けたスマートフォンで撮ろうとしていた。スマートフォンにも、アレッツ改造に関するアプリがインストールされており、スマートフォンの画面には、カオリの姿が映っている。


「これで、カオリさんが剣を振るう動きをトレースさせて下さい。僕のアレッツの剣戟モーションを、カオリさんの動きに変えます。アレッツは剣の達人の挙動を手に入れるんです。」


「な…何か照れるわね…」


アレッツの剣戟モーションをデフォルトから変えるだけでも、相手は対処しにくくなる。


「え…と、どんな動きをすればいいの!?」


「適当に動いて下さい。」


「分かったわ。それじゃあ…」


カオリは改めて鉄パイプを構え直す。カオリの精神が不思議と研ぎ澄まされていく。鉄パイプ…いや、剣の先端まで、あたしの神経が行き渡って行く様な…


「………っ!!」ブン!カオリは剣を振るう。二度、三度…


「………」

カオリの動きが段々複雑になっていくと、アユムはその動きに見とれた。振り下ろしたかと思うと、自然な動きで次の攻撃に入る。素人目だが、剣筋が全く読めないのだ。


(欲しい!!この人の動きが…!!)


カオリを見つめるアユムの目が段々と熱っぽくなっていった。


「…ム、アユム!!」


「………え!?」

いつの間にかカオリは鉄パイプを振るうのをやめて、両手を腰に当ててこっちを睨みつけていた。


「アユム、いつまでやってればいいの!?あたしそもそも怪我から回復したばかりなんだけど…」


「ご…ごめんなさい…」

アユムはスマートフォンをタブレットに接続し、動画データを転送した。ここから剣戟の動きをデータ化して行く…


僕のアレッツは…きっとものすごく強くなるぞ!!


     ※     ※     ※


「…おかしい…」


アユムは頭をガリガリと掻いた。タブレットの画面の中には不格好にブンブンと剣を振るうアレッツ。早速キャプチャしたカオリの動きでシミュレートしてみたのだが、どう見ても強そうに見えない。


「なんで!?どうしてこんな事になってるの!?」

自分の動きとは明らかに違う画面内のアレッツの動きにカオリも戸惑った。


「何ていうか…動きの1つ1つ…特に上半身、肩周りに無駄な力がかかりすぎてるんです。まるで…肩から常に重たい錘を下げてて、その重さを打ち消そうとしてる様…な…」


アユムはカオリを見つめた。カオリも自分自身を見下ろした。正確にはカオリの…大きく膨らんだ胸元を…なるほど、確かに大きな錘を2つも下げている。


カオリはアユムを見つめ、ニッコリと微笑むと…


パシーーーーン!!奥羽と白神のはざま山間(やまあい)で発した平手打ちの音は、遠く十和田湖畔まで届いたと言う。


「………数値で調整します…」


左頬に手形の跡を着けてタブレットをいじるアユムと、向こうを向いてプンスカするカオリであった…

おまけ 大きさ比べ


ピロウ<ナヨタケ(リメイク前)<トオノ、テレサ<紫<ナヨタケ(リメイク後)<ユキ、エミリー、ウララ(この辺が平均値)<モリガン<オリヴィア<スエツムハナ<カオリ<ウズメ<バンジョー

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